クラス内で
キャラクターが増える…管理できるかコレ?
今度もしかしたら解説・記録用の小説書くかもしれませんね。
翌日。
かなり珍しく夜明けの光で目を覚ましたミントは、昨日からの癖で真夜を撫でる。
「……何これ?」
彼女の視線の先、つまり真夜の額には、昨日は無かった小さな薄い赤色の粒のような物が見えていた。その粒はまるで宝石のように光っている。
「…ん」
これは何なのかよくわからない。というより真夜の種族すら知らないミントは、撫でる手を止める。
キュゥゥ、とじれったそうな声が真夜の口から漏れる。既に昨日の声『クォン』から変わっているのだが、ミントはそれには気づかない。
「…真夜って何の生き物?」
考えてもわからなかったが、その粒の色を見て「綺麗だな。」と呟いた。
そして、再び手を動かし始めた。
キュウン♪、と真夜は小さく鳴き、それから暫く静寂が続いた。
★
「…で、これがその真夜って言う子?」
「うん…種類が分からないけど、頭の良い子。」
「もしかして…カーバンクル!?」
「カー、バンクル?……説明して。」
ほかの学生達がそれぞれの教室へ向かう頃、ミントは学園長室を訪れていた。
エリーヌに聞くことがあった。
そして帰ってきたのがその答えである。
「カーバンクルってのは、薄緑の肌と体毛、それと額についたルビーの宝石が特徴の幻獣の種の一つよ。……カーバンクルにしては色が違うような気もするけど、子供だし、成長すれば変わってくるでしょう。」
確かに、真夜の色は薄紫の色である。さらに額のルビーはとても小さく、まだ成長の余地がありそうではある。
「…そうなんだ…これからもよろしく、真夜。」
それに対して、言葉を理解しているのか、真夜は鳴き声を返す。
「にしても、幻獣種なんていたのね…まさしく幻の獣だと思ってたのに…」
実はこの幻獣種。かなり希少な存在である。
人里にはまず下りてこないし、探すにしても場所を一定にしていないのがほとんどのため、まず見つけられないのだ。
ミントと真夜の出会いは奇跡のような確立で成り立っていた。
といってもどちらも自覚は一切していない。
「…真夜のことは後で調べるからいいとして、何処のクラスに行けばいいの?」
ミントは(彼女にとって)長い文を途切れることなく言う。
少しずつだが、話すことに慣れてきた。
「ミントのクラスはー…1stクラスに決定したわよー」
「そう、じゃあ行ってくる。」
そう言いながらミントは真夜を抱えて出ようとする。
「まって!あなたの担任の先生を先に紹介しとくわね。」
それを止めて、エリーヌは言った。
バタン!
直後、エリーヌの背後のドアが強く開き、中から誰かが飛び出してきた。
その誰かはエリーヌを超えてこちらに飛んできていた。
それを避けるためにミントは即座に左にステップを踏んでかわす。
一番早く反応した真夜は既に魔法を発動させている。
「ぐぼっ!」
その誰かはミントの背後にあったドアにあたり、ずり落ちる。
「…えい」
ついでなので、ミントはそいつを踏みつけた。
「うぼぁっ!!」
さらに真夜が魔法を放とうとするが、流石にミントは止める。
「……その踏んでいる人が担任のジェイ先生です…」
凄く呆れた表情で呟いたエリーヌ。
そいつ…ジェイ先生はすっと立ち上がる。
「始めまして!君、僕とイイ事しn…」ゴッッ!!!
反射的にさらに蹴りつけてしまった。
「…クッ…まぁ、いいや。じゃあ案内するよ~」今までのことを無かったことのように歩き出すジェイ先生、いやジェイ先生だった誰か。
だが、その服には、ミントの踏みつけた跡がしっかり残っていて、それがエリーヌを更に苦笑させたのは言うまでも無い。
「…次、やったら蹴る。」
そう忠告しながら後ろを歩きだすミント。
真夜は警戒のためにジェイ先生を睨み付けながらミントの肩上に乗った。
★
ガラッ、と音を立てて先に中に入るジェイ先生。
「よう、お前ら、今日は転入生の紹介から先にさせてもらうぞー」
とたん、クラス内が騒ぎ出す。
多少場所は違っても、転入生という言葉の響きは、興味の沸くものなのだろう。
「おし、入れー」
そう言われて、ゆっくりクラスの中に入るミント
入って少し歩き、皆の前に立つ。
少し恥ずかしい。
もちろん、ミント自身の容姿とその肩上の真夜を見てクラスメートたちは更に騒ぎ出す
「何あの子可愛い!こう、抱きしめたくなっちゃう!」
「な、何だこの気持ちは…もしかして此れが…恋…?俺が…?」
「肩の上にいるあの生き物も可愛いー!!!」
「アレは…カーバンクル…まさかな…?分からないが、可愛いな…!」
「男じゃないのか…残念だな。ああ、がっかりだよ。女性は範囲には入って無いんだ。」
前半はミントに対する、後半は真夜に対する発言である。ちなみに最後はただのホモである。
性転換して良かった、とミントは心から思うが、恐らく男の時でも相手されなかった可能性は高い。
そして、緊張で更にゆっくりとなりながら、自己紹介をする。
「く、クルス…ミント…です…よろしく…」
恐らく、コレを聞いたクラスメートの大半の考えを纏めると
『何この小動物!守りたい!』だったであろう。
「え…えと…じぇ、ジェイ先生、コレでいいですか…?」
ジェイ先生は、今までよりもキリッとした表情で、しっかり答えた。
「ああ!出来ればそのまま私に抱きつかれろぉぉぉぉ!!!」と叫びながら。
そのまま野生の本能を開放したかのように飛び掛ってくる。
だが、届く直前に真夜が魔法で発生させた突風が吹き、それはミントに届く直前でで止まる。
そのままミントはジェイ先生の腕を掴み、まるで柔道の一本背負いを体現するかのような動きでジェイ先生を床に叩きつける。
次いで二回目となる踏み付けを勢いのまま行う。
ぐびゃぁっ!と叫んで、ジェイ先生は跳ねる。
それだけで終わると考えたならばまだぬるい。
先ほど、『守りたい!』と考えたクラスメート全てがジェイ先生に魔法を放つ。
土魔法や水魔法、雷魔法まで、さまざまな魔法が一点に向けて放たれる。
「…え?」
直後、さまざまな魔法が重なりあって発生した複合魔法によりピチューンと音を立てながらジェイ先生は窓の外へ吹き飛んでいった。
余談だが、複合魔法は魔法をタイミングぴったりにあわせる必要があるため、今回は行ったクラスメート全ての息が合っていたことになる。
「……ん」ミントは満足そうにクラス内を見渡す。
クラスメート全員が息を揃えて言った。
『『悪は滅びた』』
悪なら仕方ない。
★
ジェイ先生の居なくなった直後の教室を纏めたのは、クラス長だった。
「とりあえず、ミントさんの席はあっち。色々大変だと思うけど、頑張って。教科書は隣のハールさんに借りてくれ。」
好青年に見える彼はそう言って窓際最後尾の席を指差す。
席に移動し、窓の外を見る。
…未だにジェイ先生は倒れていた。
4階から落ちたのだから当然か。生きているかな
…そんなことはどうでもいいか。そう思いながら視線を席に戻し、続いて隣を見る。
そこには、真っ赤な髪の色でそれをツインテール状に結んだ女子がいて。
その女子は、こっちを見て、満面の笑顔で喋り出す
「あ、ミントちゃん!私はネル・ハール!よろしくね!…で、どっから来たの?その黒髪って遺伝?肩の上のその子は何?」
そう矢継ぎ早に言い出した。
どう答えるとかそれ以前に雰囲気に押されて何一つ言えないミントに対し、更に声が掛かる。
「ネル、あまり質問しない!ミントさんも怖気づいているよ!」
その声の主は、背の高い女子。金色のウェーブが掛かった長い髪が印象的である。
ここまで書くと、高圧な金髪女子を思い浮かぶが、先ほどの声から少し分かるとおり、彼女の表情は緩く、少しキリッとした目よりも自然に笑みを持った口元にミントの視線が向かう。
「あ…ゴメンね…」ネルはそう言ってショボーンと言わんばかりにと俯く。
「全く、ほんとにネルは話し始めると止まらないんだから…私はカレン・ファイアオーレ。よろしく、ミントさん。」
そう言って手を出してくる。
ミントはそれをゆっくりと丁寧に掴むと、「…よろしく」と呟く。
ネルはそれを見て、「私も握手したかった…」と呟く。
「ハハ!ネルが凹んでる!おもしれぇ!」とそれを見た男子が寄ってくる。
髪の色は青、どちらかといえば濃い青よりも水色、いや空色に近い。
その言葉を聞いたユルが振り返り、叫ぶ。
「うるさい!アルには言われたくないよっ!」
「ああそうですかー。…ミントだな?俺はアルト・スカイア。ネルを凹ますとはお前もただモンじゃねぇな。」
アルと呼ばれた青年は、それに対しいい加減に返しながら自己紹介をし、手を差し出す。
ミントはカレンの手からアルトの手に移り、手を握る。
「うーし、ほーら、俺だってできたぜー?ネルはどうなのかなぁ~?」
そう言ってネルを茶化すアルト。
「…ふーんだ…どうせ私は煩くて握手もろくに出来ない女ですよ…はぁ…」と、ネルは本気で凹みだす。
それを見たミントは慌てて呟く
「えと、握手…してもいいよ?」
それを聞き逃さなかったネルは、まるで神を現世で見たかのような視線をこちらに向ける。
「え、いいの?やったぁぁぁぁっ!!ありがとーっ!ミントちゃぁぁん!」
そしてミントの手を掴み、ぶんぶんと振るう。
「あう…痛い…」とミントは声を漏らす。
「あ!ゴメンね!…大丈夫?」
大丈夫、と言いながらミントは三人に再び自己紹介をする。
「ぇ、んと、ミントでしゅ…です。ミントって呼んでいいから…これから、よろしく…?」
その会話でも噛んでしまったミント。
3人の返しは、
「「「何この子可愛い」」」
だった。
はい。はっちゃけました。すいません。
でも、これくらいのほうが、ライトノベルっぽくていいですね。好きです。
追記:キャラの名称ミス全訂正
ユル→ネルです。すいません。勘違いでやってしまった。