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眠り姫異世界へ往く!  作者: MONOクロ
日常になるまで
4/14

世界観と魔法と歴史と。

そして話に置いていかれる主人公と。

翌日。

エレーヌが充てた部屋にて一晩を過ごしたミントは、突然のノックに目が覚めた。

…あれ、目が覚めた?

「………おかしいな」

何時もなら目が覚めることなくあと3時間は眠り続けるだろう。

珍しいことがあるものだ、と思いつつミントは扉を開けた。

「おはようございます!ミントさん!」

エレーヌだった。

「…敬語を言うのはこちらだと思う…ます。」

敬語は苦手だが、だからといって相手に言わせる理由が無い。

「あらそう?じゃあ遠慮なくっ!あ、そっちも無理に敬語使わなくてもいいわよ」

エレーヌの切り替えはミントより早かった。

「それで、今日の予定…は?」

「あ、そうだった。まずはコレをミントちゃんに渡しておくわね」

ちゃんまで付いてしまった。

仕方ないか、と思いながら彼女の手を見ると、白い肌の上には腕輪が乗っていた。

何コレ、と聞くまでも無くエリーヌが答えた

「これはね、あなたのその異常な睡眠力を抑える腕輪よ。どのくらい効果があるのかはわからないのだけれど、とりあえず付けてみて。」

言われた通りに付けてみる、

すると先ほどからの眠気が大分収まってきたのである。

「…すごい」

その効果にミントは素直に驚嘆する。

「気に入ってくれたなら何より。特注で作ったんだからね!…本来の用途は睡眠魔法の対策なのだけれどね…」

後者の発言はミントに届かなかったが、要は彼の睡眠は魔法より凄まじいと言う事だ。

「うん、ありがとうエリーヌ先生。」

「今日は学園を自由に歩き回ってきなさい、誰か友達が出来たらその子に案内してもらってもいいわよ。本格的に紹介できるのは明日から。」

遠まわしに友達を作れと言っているような気がしてならないが。

前の学校でも友達いたっけ?と考えていたら、エリーヌはそのまま出て行った。



 

      ★

それから一時間後、時間にして午前9時半頃。

といってもこの世界の時間単位が分からない為、確実な時間では表せないが。

だがミントの体内時計はかなり正確であり、地球では普通の時計を見るより彼女に聞くほうが確実、とまで言われたほどである。流石に電波時計には勝てなかったが。

それはともかく。


彼女は制服に着替え部屋から出ていた。

どこから行こうか。と悩む。

彼女の居るこの学園は相当広い。

何故かというと、この国の中では最先端の魔導技術と機械技術を駆使して建てられた建物だからである。

といってもこの国はあくまで魔法をメインにしているため、機械は他の国に劣る部分がある。

だが、魔法の発動に必要な魔力が無い人間もかなり居るため、この国の戦力は一部に偏っている。

と、この世界の人々には当然の常識をここで書くのはいいが、彼女はまだ何も知らないのでこれ以上は省略させて頂く。

つまりは閑話休題。


とりあえずミントは自身の部屋のある学生寮のエントランスに向かう。

エントランスは学生寮のうち、男子寮と女子寮のちょうど間にある。

部屋の形は正六角形で、角に転移魔方陣がセットされてある。

この転移魔方陣、たった一つで豪邸2つ分の値段がする。

だが、この程度の高価な物は学園中にある。エントランスはその一部である。

そのエントランスはちょっとした談話室の役目を果たしていて、ソファーと机が置いてある。


エントランスに問題無く着き、エントランスの壁に張られた学園内の地図を見る。

この地図、ここの人間ならば誰でも見れるが、持ち出すと軍規に問われる。

この学園は兵(一応別の名称がある)を育てる学園である。

つまり軍事学校。軍関係なのでそこの所厳しいのである。


「…とりあえず同じ学年の場所を行ってみよう」

そう言いながら足を踏み出す。

既に他の生徒たちは居ない。皆授業や実戦、訓練などに出ている。

ただ、ここを管理する寮責任者は居て、ミントを見て怪訝そうな顔をしている。

不審者と見て直ぐに追い出しにこないあたり、一応の説明はされているのだろう。

エントランスの6つの魔方陣のうち、北の魔方陣に入る。

もはや彼女にとって魔法は奇跡でもなんでもなかった。

受け入れるのが早すぎである。慣れとかそういった段階ですら無かった。


魔方陣を起動させるための魔力を流すスイッチを押す。

かつては魔力を自分で流すタイプが主流だったが、魔力の無い生徒が通っている場合も多い上、そうでなくても魔力をそれなりに使うため、今は転移魔方陣にはスイッチがセットで必要となる。

魔方陣はキィンと高い音を響かせ起動し、光がそこから溢れ出す。

ミントはその光に包まれるようにして姿を消す。


直後、学園の四階のある部屋の隅から光が出、同時にミントも現れる。

そして更に歩き出す。転移の魔方陣は素晴らしい。目的地はもう直ぐだ。

 「…慣れない。」彼女はそう呟きながらも歩みは止めない。


魔法やその魔方陣、その存在は受け入れていても、使う回数が少ないため、まだまだ感覚が追いついていないのである。

実際、初めての転移で吐く人間は多い。

学生寮にエリーヌと最初に転移してきたときにもちょっと困惑した顔だけですますミントがおかしいほうである。

余談だが、そのときにエリーヌは「私だって気分悪かったのに…」と自身の経験と共にミントに対し若干呆れていた。


そして第一学年の『クラス5th』と看板に書かれた教室の前を通る。

一般にこの学園ではクラスの分け方は実力制と兵種制である。

といってもまだ学園に入ってすぐの生徒には兵種は無く、訓練生として扱われるため、第一学年は実力だけで分けられる。

実力が高い順から、1st,2nd,3rd,4th,5thとなる。

と言ってもミントがどのクラスになるのかは未だ教えられていない。


5thの授業は、魔法の授業だった。

少し見て、「…意味解んない…」と呟いて更に歩みを進めた。

彼女は全く理解できなかった授業内容だが、実際基礎の授業なので、簡単なほうだったりする。

今回扱っていた内容は、魔法の発動の三大要因について、である。

4thへ向かう彼女を置いて説明すると、魔法には


1、その魔法の発動に必要な詠唱、または詠唱無しでも出来るレベルの魔法に対するイメージ力。

2、それぞれの魔法に応じた属性の適正と必要な魔力。

3、魔力を伝える導体(一般的には武器、マイナーなところでロープだったり)。


1つ目は説明がほとんど要らないが、イメージ力は、具体的な形が無いため、学園では練習できず、自身の特訓が必要である。

2つ目は、属性の適性無しでも魔法は一応使用可能であるが、有りよりは効力が下がる。

3つ目の導体は、魔兵装と呼ばれていて、魔兵装石、という物に魔力を流しこんでオリジナルの魔兵装を作るのが一般的である。ただ、魔兵装石を使用した作成は一回きりで、二回目以降は何故か作成できない。これは未だ原因が分かっていない。そのため作成した魔兵装を壊れてしまったりした場合(といっても魔兵装はかなり頑丈である)のみ、オーダーメイドで作成するときもある。


さて、そろそろミントが4thについたので話はここまでにして本編。


4thの授業内容は、地球世界における、算数であった。

大事な部分は、数学ではなく算数である部分である。

そう、算数なのである。

この世界における数学とは、学者の道に進む人間や、商売を学ぶ人間が身につける程度の学問で、算数ですら扱う場所は少ない。

地球世界の現代において、数字はあらゆる場所に多用されているのに対し、こちらでは未だ指で数えるのが主流である。

それをミントは、簡単そうだな、と考えながら次のクラスへ進む。


次のクラス3rdでは、フェアル王国の歴史についての授業であった。

ミントはその様子を見て、面白そうだな、と思った。

理由は、担当の教師が歴史をまるで戦史のように話しているからである。

更に内容は現在へと続く大戦の話で、生徒たちはミントより興味津々である。

地球世界にいる人間だって、今使っているPCは何時発明され、何時実用化されたかを話されたら大なり小なり興味が沸くだろう。それと同じことである。


ミントは足を止めて少しだけ話を聞くことにした。

教師が話す声は大きく、窓越しでも十分に聞こえてくる。

「お…お客さんだな。まぁいい、続ける。さて、50年前から今も続いている大戦における陣営は3つある。…そうだな、ヘンリー君、その3つの陣営は分かるか?」


ヘンリーと呼ばれたその少年が立ち上がり答える

「一つはこのフェアル王国と隣国のグランデ王国、敵の陣営にはギリーズ帝国、中立の立場にエルフの里、ノーレーン皇国、ヤマトの民が居ます」

ミントはヤマトの民、と言う言葉に少し引っかかりを感じながらも続きを聞く。

名前が被ることくらいあるだろう、とその程度の考えである。


「うむ、中々いい回答だ。ギリーズ帝国の別名が最近良く聞くようになって忘れられたと思ったが違うようで何よりだ。」


「『悪の大帝国』!」と茶化す生徒が出る。

同時に教室内から笑いの声が飛び出す


「そう、それだ。だがあまり妙な事を言ってもいかんぞ、その名前は話のネタにでもしてくれ。…そのギリーズ帝国の主な兵器は分かるか?ヘンリー」


「……機械兵器、でしょうか?」再び呼ばれたヘンリー少年は答える。


「…意外と優秀だな、評価を一つ上げておこう。そう、機械兵器だ。我々の使う機械とはレベルが違う。正に戦争のための機械だ。噂では、人が乗って動かすなんていうものがあるらしい。そうなったら私たちに出来ることは電撃系の魔法を打ち込むくらいしかない……」

と、話が魔法のほうに逸れていく。


ミントは、魔法の話を聞くのは億劫だ、といわんばかりに再び歩き出した。

と言っても普段の学校での授業では秘技である睡眠学習をするため、どちらにせよいつの間にか覚えている可能性が高い。


次のクラス2ndまでは、少し遠い。


ギリーズ帝国の兵は基本的に銃武装です。

フェアル王国は小さい国なのですが、それでも兵が対等以上に戦えるのは、純粋に弾丸も防ぐシールド魔法があるからです。

魔法強すぎだろ・・・

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