知られざる思いと、個人の思い
勉強嫌いでついに授業に反旗を翻した俺
坂蘭 踴元
俺の思いに賛同してくれる親友
赤羽 湧早
俺の思いに賛同してくれたのかわからない
三湯谷 咲楽
一校時目の国語の時間に反旗を翻した俺達は、そのままの勢いのまま二校時目の授業が始まろうとしていた。ラッキーなことに俺の左右の席が、二人の席であったことに俺はまたなにか起こりそうな予感がしていた。
個人の思いが授業を変えることになる。
「起立!礼、着席。」
キリッとした赤羽の声で授業の開始を告げた。赤羽はクラスの委員長であり、周りからも信頼されているリ─ダ─的な存在だ。
クラス全員が座るのを確認すると歴史科の吉田国尚(よしだ くにたか)先生は黒板に年号を書き始めた。
「カツ…カツカツ…」
チョ─クの音がクラスに響くが、それ以外の音は響いていなかった。
あくびやぼんやりしていたりする人が過半数を占め始めていて、授業放棄を始めるのも時間の問題となってきた。
…………しかし、俺の横に、クラスでたった一人、集中して黒板を見つめているやつがいた。
「……ねぇ」
その子は俺にヒソヒソ声で話かけてきた。
「ねぇ…歴史科の先生って普通…ハゲよね?」
「お前突然なに言ってんの!?」
三湯谷が問題発言に俺は小さい声で突っ込みを入れる。
「あら、突然お前なんて呼ぶなんてなかなか大胆ね…」
「いや!!問題はそこじゃないだろ!」
「わかってるわ…私があなたになんて呼ぶかが問題なんでしょ?」
「三湯谷…お前大丈夫か!?」
「あら、今度は呼び捨てなんて…さん付け終わるの早いわね?」
「お前ら、歴史科の授業放棄早くないか??」
赤羽の一言にようやく我に戻った。
「だってさ、三湯谷が突然あんなこというと思わなくて…」
「なるほど、まあよくあることね。今回は見逃してあげるわ。」
「なんで歴史科の先生がハゲなんだ?」吉田先生の頭は白髪であり、三湯谷の考え方がよくわからなかった。
「絶対ハゲよ!なんで白…いえ、なんで髪があるわけ!?あの芝生みたいな頭なんてどうかしてるわ!!」
「「いや、お前が一番どうかしている。」」
俺と赤羽は冷静に突っ込みを入れる。
「そうね…わかったわ……」
そういうと、三湯谷は自分の机の横に引っかけてある自分のバックからあるものを取り出した。
俺たちはそれを見て唖然とした。
「ば…バリカン!??」
俺は声にあげた。速効でハゲにさせることが出来る最強アイテムをちらつかせてきた。
「まて!わかった!!だからちょ…まて!」
ヒソヒソ声で俺は全力で目の前のバカを止める。
「私みたいな優秀な生徒がわざわざ間違った答えを指摘し、直すのは当然のことよ?私の考え方にも個人の自由があって……」
「自分の疑問を解決するのはいいことだと思うしわかるけど!なんとかはえてる髪の毛を剃るのはだめだと思わない!?」
「いや…普通にダメだろ?」
俺にまで赤羽の突っ込みをが入った。
ヒソヒソ声がエスカレートして、大きな声になっていった。これにはさすがに先生も気づいた。
「お前らうるさいぞ!とくに三湯谷!真面目に授業をうけているお前が一体どうした?」
先生が怒鳴りつつも、三湯谷みたいな真面目な生徒がうるさいことを疑問をいだいていた。
それを待っていたかのように三湯谷も先生に自分の思いをぶつけた。
「先生、ハゲのことをどう思いますか?」
「よくあることじゃないのか?」
吉田茂先生は自分のことじゃないと思いながら質問を返した。
「いまの授業内容の徳川家康がもしハゲだったら、江戸幕府なんてなかったんじゃないんですか?」
「いや、そんなことはないだろう!彼はそれでもきっと幕府を開いただろう。」
今現在の授業は徳川家康の江戸幕府の授業だったらしく、三湯谷は俺達と話をしながらも授業内容をきちんと理解していた。
「いいえ先生、ハゲな司令官や武将だったら指揮が下がり、戦いなど勝てません。だからカツラをつけているんだと私は推測しています。」
「三湯谷…よく勉強したな。私も見習わなければ……」
最終的に和解で終わっていた。
このあと先生は年号を書き終わり、まるで講義のように歴史上の人物の説明を始めた。
……なぜか男の人限定で
「…………はい、というわけで江戸幕府はさまざまな政策をしてきましたね。それで!家康さんはそんな江戸幕府を……」
その時、一人の生徒が手をあげた。
「先生!!」
一番前の席の女の子がいきなりの行動に注目が集まる。
「なぁ赤羽、あの子誰だ?」
「あれは南紅河 美乃里(なくかわ みのり)、演劇部部長。真面目な子だよ。」
赤羽は顎に手をあてて、眠そうに言った。
「まあ、彼女が面白いことをいうのはまずないわ。」
横で暇そうにペンを回しながら三湯谷が言う。
「先生、あの…」
「どうした南紅河、質問があるなら遠慮するな三湯谷みたいに」
先生の言葉に三湯谷はシャープペンを机にカツカツし始めた。きっと自分のことを言われたことにイラだちを感じているのだろう。
南紅河はもじもじしながら先生に言った。
「先生って………BLですか?」
沈黙するクラスの中にさかほど自分を出しに使われたことをイラついていた三湯谷だけが笑っていた。
「へぇ………そうなのフフフ…南紅河さん、どういうことなのか説明をお願いしますわ。」
話が面白すぎて、三湯谷の顔には笑みがこぼれていた。まるで悪魔の微笑みのようだ。
「だって先生は歴史上の人物…しかも男の人ばっかり説明して女の人は基本的なことしかいいません。先生!男の人、しかも歴史上の人物だけに好意を示している。違いますか?」
「なっ…なにをバカなことをいうだ南紅河。歴史上の人物をきちんと生徒に伝えることは教師として大切なことだ。」
先生は冷静に南紅河に返答する。しかし…この状況をゆういつ楽しんでいる三湯谷がそれを許さない。
「先生、徳川家康ってヤバくな~い?とくにあの関ヶ原なんて…」
三湯谷は唐突に徳川家康が活躍している歴史上の話を話題にだした。
「ヤバイですますな!いいか、あの戦いは彼がいなくちゃ始まらない!そして勝利を掴んだのだよ彼は!!!!………………ってあぁぁ!!」
誇りげに話す先生は、三湯谷の言葉の意味を理解した。気づいた時にはすでにいい終わったあと…、そして頭をかかえこみ、悲鳴をあげていた。
「先生………」
「マジか………」
「BLって…」
周りの生徒がやっと話についてきて、先生の本性に残念な気持ちをあらわにした。
「先生~?そんなに男が大好きなんですか~?」
バカにした口調で三湯谷が先生の心にとどめをさしていた。
「先生……別に歴史上の女性も好きになればいいじゃないですか…」
それに対し、南紅河も先生をなだめるように新たな提案を出した。
「それじゃあ ただの変態じゃないか!!!」
さすがにこれ以上はまずいだろと、俺は声をあげた。
「いいや、相手はBL…ただのド変態だろ。」
座って腕組みをして赤羽は俺の言った言葉につけたしを言った。
「私は……私は……っ」
「先生…わかっています。あなたはどうしようもない人だってことはわかりましたから」
「南紅河さん、「人」じゃなく「変態」の間違いよ。」
「あ…さすが三湯谷さんすみません…そうですよね!」
「二人とも会話がおかしいって…」
俺は女子の会話についていけなくなっていくのを感じていた。
そんな時に、ハッと我に返った先生が教卓の前で言った。
「人間…そんなもんだ。」
「いやいや、人間こうはなりたくないですよ!」
赤羽は席から立ち上がり先生を指差しながら言った。
「赤羽くん、君は個性というものをどう思っている?」
「それは………。」
突然の質問に赤羽はただ口ごもる。だが、三湯谷がその質問を返す。
「1人しかない能力それが個性。その成れの果てが先生あなた。そうおっしゃいたいんですよね…先生?」 赤羽に向けられた質問を三湯谷カバーするように回答した。
「うむ、そのとうりだ三湯谷………いやっ!成れの果てが私!?」
三湯谷の回答に先生は愕然している。
それでも三湯谷の話は終わらない。
「見事な個性だと思いますよ先生。しかし授業までそんな個性されては我々生徒まで先生のような変態になってしまう。授業は先生から学ぶ場です。少しはまきわえてください。」
心に突き刺さるような言葉をかけつつも正論、なので先生は反論できない。
「おいおい、演説中すまないが一応授業中だ。できればもう少し分かりやすく演説してくれないか?」
赤羽が三湯谷の演説に指摘をしたが、そのこととは裏腹に三湯谷の演説内容をノ─トにきっちりまとめていた。しかも重要語だと思われる単語について、マ─カ─までつけているまでの優等生並の書き取りっぷりだった。
「三湯谷の演説、そんなに凄いこと言ったか?」
「踴元、今の演説なかなかの説得力があった、あれは書き残しておかなければもったいないと思わないのか?」
俺は…心のなかで赤羽に叫ぶ。あれは三湯谷の完全な「アドリブ」だと。だが……
「三湯谷さん…感動しました!あのような見事な演説…ぜひ我が演劇に…」
俺は思う。アドリブだと気づかない少女がここにいたと。
「南紅河さん、あなたは授業というものをどう思いますか?」
南紅河は三湯谷の演説を聞いて、なに気に演劇部に勧誘をしたが、その勧誘を三湯谷は質問で話をそらした。
「それは…先生の話や黒板の内容をノ─トに写し、内容を理解して復習や予習などをして…」
「まったく違うは南紅河さん!」
「「「「えぇっ!?」」」」
南紅河並びに先生以外の俺たちは三湯谷の一言に驚いた。間違えるようなことを南紅河が言っていないのにまったく違うと三湯谷が言ったからだ。
「いい南紅河さん、授業とは人が学習能力を付けるための必要最低限の時間であり学ぶべき時間なの。」
「じゃ…じゃあ授業の内容とかは…」
「あんなの家でやるのが当たり前よ。授業なんてただのワ─クブックの役割でしたかないわ。自分たちが予習復習し、それを授業できちんとする。これが大切なの。わかる?」
「授業を嫌う三湯谷がよく言えるな~」ここぞとばかりに赤羽が言う。
「赤羽くん、それはあなたも同類よ。ならあなたは授業をどう思うの?」
「そりゃこれからの人生のためじゃないか?」
「そんな考えクソくらえよ。普通すぎる回答。結局のところ勉強なんて人生で役にたつなんてほんの少ししかないわ。それでもあなたは一般人?」
「すみません…」
赤羽はしぶしぶ頭を下げた。
「でわ、ここで勉強の反乱者、 坂蘭 踴本くんに同じ質問をして見ましょう。」
なぜか話題が俺に降りかかる。
「ん?俺か?」
「あなたは勉強についてどう思う?」
「やる意味。」
「BLをどう思う?」
「…絶滅危惧種類」
「でわ、学校に来てるのは?」
「なんとなく」
「じゃあ、学校をどう思うの?」
「リア充になるための量産場」
「なら、勉強をなぜうけるの?」
「机とイスがおいてあり、俺に座ってほしいというからだ。」
「そんなSMプレイは要求してないわ。」
「同じ質問するわ」
「なぜだかはわからない……」
話の流れはけっこう適当に流してきたが、勉強をする理由はあまりよくわからない。将来のためとか親とかよくある話だが、俺は本当にわからなかった。
「まあ、そのあたりは個人個人違うでしょうね。」
三湯谷はうんうんと首を上下に動かすが、その顔には笑みがこぼれていた。
「南紅河さん、あなたは先生にまだ言ってないことがあるでしょ?」
「はい!」
元気に返事を返し、先生に南紅河はひとこと言う。
「先生、BL雑誌って何冊あるんですか?」
笑顔でそのひとこと。その顔に向かって先生もひとこと。
「とりあえず、2月先までは予約はしてある。」
そして、授業が終わった。
先生のBLの件はあっというまに学校中にその話の話題が流れていった。
先生のBL雑誌は何冊とかの問題ではないことに我がクラスの全員は吐き気を隠しながら次の授業の準備をしていた。ただ南紅河は具合が悪くなり、三湯谷に付き添われて保険室に向かった。その後ろ姿は戦いに勝利して、勝ち誇る戦士の背中のように思えた。
「なぁ、 踴本。」
「なんだ赤羽?」
「お前……違う…よな?」
「違うわっ!!!!」
なぜか俺まで疑われる始末だった。
第2話遅れてすみません…(..)
新しい小説などで、あまりかけてませんでした。
ですが、どんどん書いていけるよう頑張ります!
第3話予告!
「なぁ赤羽、あの文字なんて呼ぶんだ?」
「字じゃないんじゃないか?」
「二人とも、あれは字じゃなくてカタカナ」
「「じゃあその下は?」」
「ひ…ひらがな?」
「わかるかぁ!!こんな授業してる意味がないだろ!」
「先生…あれ日本語…ですか?」
「「「それ聞いちゃうの─!?」」」
次回!
「センリツの数字?」