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第10話

ヴィクトリアも何とか回復し、午後の授業である魔法実習を受けるため俺たちは講堂に来ていた。舞台の上には、金属で作られた魔法陣が置かれており複数の教師がスタンバっている。恐らくは、あれを使って召喚でもするのだろう。


「今日の魔法実習は、君たちの使い魔ファミリアを召喚してもらう。その姿はその者の性癖によって、様々な姿を持つ。中には、凶暴なファミリアが生まれることもあるが、その時は我々教師陣の力で抑え込むので君たちは気にせず召喚をしてほしい」


当たったよ。とは言え、召喚したファミリアが凶悪だったら学園生活はかなり肩身の狭い思いをしそうだな。そうならないことを祈るしかないが……。


「先ずは、アーサー・ラックスウェル。前へ」


あの時のバカか。彼は緊張の面持ちの中、魔方陣の前に立つとイスカンダル先生の指示通りにから教わった呪文である「使い魔召喚ファミリアウェルカム」を唱えると、魔法陣からまるで間欠泉のような光が発せられ、それが収まるとそこに一人の女性が立っていた。水色の髪は腰まで伸びており、たれ目ではあるが美形と言える。体つきも出ているべきところは出て、引っ込んでいるべきところは引っ込んでいるナイスバディ。見るからにいい女のオーラをはじき出していた。


「あなたが、私のマスターですか?」


しかも、声が井上喜○子ヴォイスだと!?蹴り飛ばしてやろうか、バカのくせに!!


「はい。僕は、アーサー・ラックスウェル。あなたのマスターです」


「私はアイリーン。種族名はウンディーネです。これからあなたをおま……」


ばきっ!アイリーンとか言うウンディーネがアーサーに誓いを立てようとしたその時、ものすご勢いで舞台に上がった女が有無を言わさず彼を殴り飛ばした。あいつは確か、ジークリット・メルツェーデス・アスペルマイヤーとか言ったはずだ。


「アーサー!あんた何、こんなエロいファミリア召喚してるのよ!あんたには、お仕置きが必要なようね」


どうやら知り合いのようだが、これは恐らく言いがかりだろう。大体、任意で好きなファミリア出せるなんて言われてはいないし、俺だってそのエロエロを召喚したいわ。それなのに、教師は凶悪なファミリアが出ることもあると言った。つまり、何が出るかは本人も学校側も把握できないと言うことになる。事前に分かっていれば、注意が行くはずだしな。


「……ぐ!?」


止めに行くべきか悩んでいると、アイリーンがジークリットの股間を蹴り飛ばした。ファミリアの攻撃力と言うのはなかなかのものなようで、その一撃で舞台下に転がりアイリーンは教師たちのファミリアに抑えられた。アーサーの命令で矛を収めたもののアイリーンはジークリットから視線を外そうとしない。やれやれ。


とは言え、さっきのは明らかにジークリットが悪いと言うことでアイリーンはおとがめなし。召喚儀式が続けられることに相成った。想像上の生物が現れるのかと思いきや案外そうでもないらしい。


「あたしは鳳凰人だったし、鳳凰が出るんじゃないか……使い魔召喚ファミリアウェルカム!!」」


何しろ、そんな彼女の前に現れたのは1羽のペンギンだったのだから。


「君が俺のマスターか。俺は、ペンギンのモイセスと言う。よろしくな」


「……あ、ああ。よろしく」


笑っちゃいけないんだろうな、これは。その後も、鈴奈がハイドと言う名の竜を、初音ははちゅという名のウサギを、ジークリットはサウスと言う名の塗り壁を召喚していた。最初現れたときは何かしらの動物の様だったが、自身の陰嚢いんのうを広げて壁と化したのだ。動物みたいなファミリアにも、固有の能力があると言うイスカンダル先生の話にはほっとしたが、俺はYamamotoだから一番最後になるんだよな。大落ちにならなきゃいいんだが。


「次は、東雲明日香だ」


「はい……使い魔召喚ファミリアウェルカム!!」


元魔王は、どんな使い魔を出すのか。興味半分、恐怖半分で見守っていると現れたのは人間の姿をした二頭身の少女。


「……ステファニー?」


「久しぶりですね、魔王。もうご存知かと思われますが、私の名はステファニー。種族名はギャグキャラです」


ギャグキャラねえ。教師陣が何の反応も示してないところを見ると、実害はなさそうだし放置することにしたようだ。他の連中もパンダだの、ぬえだの、ケンタウロスだの、オオカミだのと召喚していき、残るは俺とヴィクトリアを残すばかり。


「じゃあ、お先にね。あんたより強いファミリアだしてやるんだから。使い魔召喚ファミリアウェルカム!!」


出てきたのは、猫。名前はフォルテと言うらしい。どう見ても愛玩動物です。ありがとうございました。

さて、オーラスである俺の番と相成った。まともな使い魔が出てくれよ。


使い魔召喚ファミリアウェルカム!!」


目の前に間欠泉状の光がほとばしり、それが消えても姿が見えない。失敗かそれとも透明人間か。


「私の名はバムア。種族名は氷の精霊です」


声はすれども姿は見えず……。きょろきょろしていると、初音が「まれまれ、下です!下!」というので下を見るとそこにはリスの耳と尻尾をつけたやたら胸の大きな少女がドヤ顔をしていた。


「ちっちゃあ!?何だこの、ミニマム少女は!!」


「私、ちっちゃくないです!」


バムアが投げるクルミの直撃を食らって俺の意識は途絶え、気が付くと舞台の上でお湯の張ったタライの中に入れられていた。どうやらあのクルミにはモノを凍らすチカラがあるらしい。俺は改めて、氷の精霊バムアと主従契約を果たしたものの機嫌はしばらく悪いままだった。もっとも、甘栗を与えたら途端に愛想よくなったんだがな。まあ、能登麻○子ヴォイスだからいいか。


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