登校
4月8日午前6:40分
今日はこれから始まる高校生活一番最初の通過儀礼、入学式だ。
ベットから体を起こす。
窓から差し込む陽光が少し眩しい。だけど、いい感じにそれが体を温めてくれて気持ちが良かった。
時間的にも余裕がある。いつもならもっと遅い時間に起きるのに、不思議なものだ。
母が作る朝飯にありつけるまでまだ時間はある。
「さてと、着替えるか。」
正直温かい布団にまた潜ってもふもふとして居たかったが、また潜ったら寝てしまうと、今までの経験が
教えてくれたので起きることにした。
新しい制服を着た。
僕の入った高校の制服は、紺のブレザー、白いYシャツ、鼠色のズボンと一般的なものだ。
ズボンとYシャツを着た後ブレザーを手にした時、なんとなくそのブレザーに鼻緒を押し当て臭いをかいだ。
クン クン。
これは自分の癖みたいなもので、新しいものを身につける前に無意識にその臭いを嗅いでしまう。
「なんかこうすると落ち着くんだよね~。」
ブレザーの香りを堪能した後時計を見た。
6:57分
うん。そろそろ母の朝食ができている頃だ。
自分の部屋から出て一階に降りて、居間へ向かう。
キッチンには弁当の準備をする母がいた。
「おはよう母さん。」
「おはよう~。あら~新しい制服ね~。結構似合ってるじゃな~い。」
「うん。動きやすいし結構気に入ったこの制服。」
ちなみに僕の父は僕が一年生の時病死した。だから、今まで女手一つで僕のことを育ててくれている。
結構おっとりとしていて、いつもでも笑顔を絶やすことのない。母はそんな人だ。
今日の朝食はベーコンエッグと味噌汁とご飯だった。
朝食を食べ終わると、歯を磨き一度自分の部屋に鞄を取りに行った。
僕の通う事になる高校校則では特に鞄は指定はないので自由だ。
小学校、中学高と鞄は指定のものだったので、自分のエナメルバッグがとても新鮮みを帯びていた。
しかし僕は、この鞄の臭いは嗅がなかった。
エナメルバッグを買った当日にこれでもかと嗅いだからだ。
とりあえず、筆記用具とファイルを入れ玄関に向かう。
「あ、これあなたに渡すの忘れていたわ~。」
お母さんが今からエプロン姿で急ぎ足でやってくる。手に何か持っているようだ。
「これこれ。はい、どうぞ。」
母が渡してきたのはお値段の高そうな腕時計だった。
「こんな高そうなもの使っていいの?」
「あ~これね~。お父さんの形見なのよ。」
「え!?そんな大事なものを!!??」
「あ~別にいいのよ。その時計だって形見としてただ閉まってあるより、誰かに使われたいって思ってると思うから。それともその時計いやだった~?」
「ん~ま~、嫌じゃないけど。ま~ありがとう。大切に使うよ。」
母の言う通りなのでその通り身につけることにした。
「ちなみにこれいくらしたの?」
「え~と~、確か~10万くらいだったかしら~?」
「・・・ ・・・。」
「ほら~何ボーとしてるの早くいかないと遅刻しちゃうわよ~?」
あ、いけないつい肝が冷えるようなことを言われて硬直してしまっていた。
「うん、そうだね行ってきまーす。」
「はい。いってらっしゃ~い。」
とりあえす学校に向かうことにした。
早速僕は10万もする時計を見た。
7:20
「よろしくな。」
僕は腕時計に意味もなく話しかけてから、自転車で学校に向かった。
初めてこういった小説を書いてみました。
自分すっごい猫好きなんで、猫の良さが読者にも伝わるような物語になるように今後頑張っていきます!