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第3話 初めての揺らぎ――知らない自分

違和感は、ゆっくりと形を変えていった。


それはもう、無視できるものじゃなかった。

身体の奥に広がっていた違和感は、

次第に無視できない感覚へと変わっていった。


落ち着こうとしても、うまくいかない。


ほんのわずかな動きや距離の変化にさえ、

敏感に反応してしまう。


「……おかしい」


自分でも分かる。


いつもの自分じゃない。


それなのに――


完全に拒否しきれない感覚が、そこにあった。


男は無理に何かをするわけでもなく、

ただ静かに距離を詰めてくる。


その自然さが、逆に意識を強くさせる。


「……っ」


わずかな接触。


それだけで、思わず息が漏れた。


驚いて、自分の口元を押さえる。


今のは何だったのか。


理解が追いつかない。


「大丈夫ですか」


落ち着いた声。


その声を聞くだけで、

なぜか意識がそちらに引っ張られる。


視線を向けると、

すぐ近くにその存在を感じる。


逃げたいはずなのに、

目を逸らせない。


その時――


ふと、視界の端に小さな機材が見えた。


「……これ」


思わず視線が止まる。


「記録用です」


男は淡々と答える。


その一言で、現実を強く意識させられた。


見られている。


記録されている。


その感覚が、胸の奥をざわつかせる。


恥ずかしい。


こんな状況を、誰かに見られるかもしれない。


普通なら、耐えられないはずなのに――


「……なんで……」


そのはずなのに、

完全に拒否できない自分がいる。


むしろ、その意識があるからこそ、

感覚がさらに強くなるような気さえした。


「そんなはず……ないのに」


小さく首を振る。


否定したい。


でも、身体は正直だった。


少しずつ、少しずつ。


自分でも気づかないうちに、

境界線が曖昧になっていく。


恥ずかしさと戸惑い。


そして――


わずかな受け入れ。


そのすべてが混ざり合い、

もう元には戻れない場所に足を踏み入れ始めていた。


知らない自分が、少しずつ顔を出す。


次回――

抗えない変化へ。

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