第8話 スライムさん
―side ジップス―
「さて、手に入れたスキルを試してみたい」
『サポートするのです〜!』
「助かるよ」
俺が今持っているスキルは、素材強化、整地、インベントリー、素材採取、素材合成、素材分解の6つ。
素材強化はクラフターのジョブを手に入れた時にデフォルトで付いてくるスキルらしく、もう試しているが、他のものを試すことにした。
ちょうどドライアドさんが虎の魔物を狩ってきてくれたので、それを使って色々やってみよう!
魔法についてもとても気になるが、なんとなくこっちの方が楽しそうだったので、後回しだ。
……って、そういえば……今更だけど、リチャードがくれたの荷物にクラフターに関する本ってないのかな?結構沢山の荷物がマジックバッグに入っているのだ。この機会に漁ってみよう。
「あっ……!あった。これだ。クラフターの心得」
やっぱりちゃんと入れてくれている。魔境に来た当初は落ち着きがなかったから、全然気づかなかったが、考えてみたらあの優秀な公爵家の嫡男がそんな初歩的なこと忘れるはずもない。
本当に生き残れるか分からなかったにも関わらず、追放されると決まってからのものすごく短い期間にこれだけの量を支援してくれてありがたいなと思う。お世話になっているし、定期的に生存確認くらいの連絡くらいはしたいけど、まあその方法は後でじっくり考えよう。
ふむふむ。ざっと基本的なクラフターの働き方やスキルなどが書かれている。
『私たちもクラフトスキルの知識もあるのです〜サポートするのです!』
「そっか、ありがとう、ドライアドさん」
だったら、本を読むより先にドライアドさんに解説してもらいながら使ってみるのが先かな?
サポート役としてこれほど心強い味方もいないだろう。ヴィー様に感謝だな。
『まずは、レアスキルのインベントリーを試すのですー!』
「そうだなー」
インベントリ……大商会やら貴族やら、世界的な冒険者パーティやらがこぞって欲しがるスキル。
ちなみに、このスキルが手に入ったと実家に知られれば即刻強制労働させられそうなので、言わないのが賢明だとドライアドさんが言っていた。
まあけど、今は魔境のど真ん中にドライアドさんと一緒に住んでいる。流石にここまではよほど強い冒険者とか騎士とかでも来ない限り、入れないし誰のも見られないから大丈夫だろう。
ふふっ……今の俺は自由気ままにスローライフを送りたいからね。誰にも邪魔はさせない。
「よしっ!じゃあ早速!イベントリ!」
--ピカーッ!
インベントリと唱えると、黒いボックスのようなものが現れる。
『ここの中に狩ってきた虎さんを入れて見るのです!』
「はーい」
虎をインベントリに入れてみる。
「おお?おおおー!」
虎を近づけると、勝手にスゥーッと中に吸い込まれて消えた。
重さも何も感じない。
『次は中に入っているものが何かという確認の方法を説明するのです』
「はーい」
『ウィンドウオープンッ!と唱えるのです』
「ウィンドウオープンッ!」
『言い方まで真似しなくていいのです』
「あっはい」
言われた通りに格好つけてみたら怒られた。意外と真面目なドライアド先生である。
それはそれとして、目の前には白いウィンドウが表示される。
ウィンドウにはフォルダーとボックスが表示されていて、中に何が入っているのかがわかる。
『そこの虎さんをタップしてみるのです』
「わかった」
言われた通りにさっきの虎さんをタップした。
--どしんっ!
目の前にさっきの虎さんが黒いボックスの中から現れた。
『成功なのです!』
「おおーっ!これがインベントリ」
--パチパチパチパチ!
便利だな。無重力で物を沢山持ち運べるなんて。
確かにこれはチートだろう。
『次はこの虎さんを色々いじくり回してみるのです!』
「いや言い方言い方、わかったけど」
『何も間違ってはいないのです!』
動物実験みたいだな。確かに何も間違ってはいないけど、ドライアドさんノンデリー!
--ガサガサガサ……ガサガサガサ……!
とそんなことを思っていると、周辺の木が揺れた。
「誰だっ!」
『出てくるのです!』
こんな魔境のど真ん中にまさか他の人が!?一気に警戒感高まる。
再び音がしたかと思うと、水色の透き通った丸い物体がダラダラ出てきた。
--ポヨンッポヨンッ
「……!?スライム……?」
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