第6話 ピロンッ♪
―side ジップス―
ーーチュンチュン
翌朝、小鳥の囀りが聞こえて目が覚める。
魔境にもいるんだな小鳥。
「ふぁーー!よく寝たー」
『おはようなのです』
『おはようなのですー』
「うん、おはよう!」
ドライアドさん達が挨拶してくれる。そういえば、昨日は色々あったな。
魔境へ追放されて、神様と会って、ドライアドさんが色々助けてくれた。
知らなかった事実も判明したから、なんだかんだで人生における重要な1日だった気がする。
『ジップス様のために採れたて野菜で料理を作っておいたのです〜』
「ありがとう……ん?採れたて野菜?ん?ちょっと待て」
『?』
結界の外を見る。んんん??
なんかおかしくないか?
昨日まで明らかに生えていなかった植物たちが目に見える。
それに採れたて野菜とは?
『昨日のうちに、庭に植えてあった野菜を育てておいたのです〜』
「へー、えっ!?」
不審に思ってテントの外を見る。
昨日は種子の状態だったのが、きっちり野菜として育っていた。
「いやいやいや!?早すぎんだろ!!」
『ふふん!我らの力を使えば可能なのです〜』
ドヤ顔ドライアドさんである。
昨日はちょっと手直ししておきます!みたいな感じだったのに、まさかここまでとは。
「でも、これで当分の食料に困らないのはありがたいか。ありがとう!ドライアドさん」
『役に立てて良かったのです〜!』
魔境とは思えない程にほんわかしてしまう。
「うーん、でもなー」
結界の中で飯を食べるのも微妙なので、結界の外に出る。相変わらず外は不気味だ。いつ魔物が出るかも分からないし、安全も確保されていない。
あれ?でもおかしくない?
「ドライアドさん」
『なんなのです?』
「なんでこの作物魔境の魔物に狙われてないの?」
そう。普通これだけ美味しそうな作物が沢山あったら匂いでわかるし、すぐに襲われててもおかしくない。
『それはジップス様が愛子だからです〜』
『それに私たちも強いのです〜』
『バックにサラマンダーがいると分かっていて襲ってくる魔物さんはここにはいません〜』
『そもそも魔境にいる魔物は知能が他の地域の魔物より断然高いのです〜だから強いのです〜』
なるほど。シルフ様とサラマンダー様がバックにいることを本能的に感じとっているのか。
一定以上ランクが高い魔物は知能と直感力に優れていると聞く。
特に魔境の魔物ともなると別格だろう。真に恐るるべき魔物は身体能力が高い魔物ではなくて知能が高い魔物とは冒険者の間で良く言われることだ。
シルフ様とサラマンダー様には見守ってくださり感謝しかない。
『私たちも強いのです〜』
「はいはい」
大事なことなので2回言わなくても伝わってるよ。
『ムー信じてないのですー』
まあ確かに、強いと言っても魔境の魔物が恐れるほどではないだろう。
何せこの愛らしい見た目である。これで強いのはあまり想像ができない。
――っと、いけないいけない。せっかくドライアドさんが朝ごはんを作ってくれたのに早くしないと冷めてしまう。
急いで渡されたバスケットを見る。
中には焼きトマトのようなものと瑞々しいレタスに似た葉っぱ、あと調理されたパプリカなどにおそらくベリー類で作られたであろうソーズがかかっていた。
美味しそう!
「早速いただいてもいいかな?」
『もちろんなのです〜!』
――パクリッ!
「……!!」
『いかがなのです?』
俺が何も言葉を発しなかったのが心配だったのかドライアドさん達が不安そうにこっちをみてくる。
「すっっっっっごく!!美味しいっ!」
『よかったです〜!』
ドライアドさん達は嬉しそうに俺の周りを舞った。
――キラキラキラ
――ぽんっ!ぽんっ!ぽんっ!
舞っている最中、ドライアドさんの頭に花がさきそれが俺のところへ落ちてくる。
気になって拾ってみる。いい香りがするお花だ。
『わ〜久しぶりにお花さんが産まれてきたのです〜』
『そのお花は食べれるのです〜ジップス様に食べて欲しいのです〜』
――パクリッ!
「うーん!うまい!」
レモンと蜂蜜が合わさったような味がする。
――ピロンッ♪
[ドライアドの花を使いました。レベルが2に上がりました。スキル:整地を手に入れました]
……?
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