第3話 初めてのクラフトスキル
―side ジップス―
「戻ってきたか」
神界から魔境へ戻ってきた。まさか神界に行けると思っていなかったので驚きである。
さて、ヴィー様が後で色々手配してくれることが分かったが、やる事は山積みである。
まずは棲家の確保。
「洞窟かなあ……」
何せまだクラフトのやり方が分からないのだ。
となると、あらかじめある程度住みやすい環境へ移動するのがいいだろう。
比較的簡単に雨風凌げるとなると洞窟がいいか。
「とはいえ、移動するのも危険な気がする」
神界から神様も見ているとは言え、魔境の魔物は危険に違いない。
今の俺は戦う術も持っていない。
ここが安全だと言う保証もない。
夜間には恐ろしい魔物が出てくるだろう。
一応持ち物には結界が張れる道具を持ってきたが、魔境相手の生物にそれだけで生き残れるかは非常に謎だ。
「これを強化とかできればいいんだけど」
ただの結界ではなく、聖域のような感じ。家みたいな居心地の良さと圧倒的な耐久性を誇る場所ができてくれればいいんだけれど。自分で言ってて流石に強欲だと思えてきた。
――ピッカーー!
その時、地面に落ちていた周りの石と結界の道具が光り出した。
「え!?何だろう!?もしかして、強化できる材料って事?」
うーん。どうするか分からない。とりあえず、なんか叫んでみるか。
「クラフト!……は違うか、作成……も違うか。強化!」
――ピッカー!
あたりだ。いける、いけるぞ。
まだ少ししかできていない。もっと強化できそうだ。
「強化!強化!強化!強化!……」
何回か強化すると、大きい1軒屋くらいの大きさになった。
周りにあった石も全て吸収して見晴らしも良くなった。
「なかなかいいのではないか?」
おそらく今のがクラフターのスキル――クラフトスキル効果だろう。
初めてクラフトスキルを使ったけれど、まあまあの出来だったのではないか?
「それに、おそらくこの結界かなり強化されている」
普通に雨風くらいだったら弾いてくれるだろう。
元々、この結界は俺の親友である公爵家の嫡男、リチャードが俺が魔境に追放されると聞いて急遽送ってくれたものだ。公爵家が持っていたものなので質の良さは保証されている。俺のクラフトスキルがしっかりと機能しているとするならば、それがさらに強化されたのだ。完全に守り切れるという保証はないがそこそこしっかり守ってくれるのではないか?
それにしても、リチャード。数少ない俺の友達に心配をかけてしまったが今頃元気にしているだろうか?最後に挨拶も出来なかったが、まあ幼馴染とはいえ、元々お互い頻繁に連絡する感じでもなかったし大丈夫か。あいつは、王子の側近でもあったから色々忙しいのだ。今頃俺のことなど忘れて楽しく過ごしているだろう。
お互い自由に生きようやとあいつとの思い出を振り返りながらそう思う。
「それはそれとして、獲得してしまったのかもしれない」
この超絶危険な魔境において。
「引きこもれる場所!自宅警備員ができる自宅!サイコー!」
さて、とはいえ、まだこの結界の外に出ることは危険だ。
なので、今後は衣食住の確保だな。
畑でも耕しますか!
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