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第1話 ハズレジョブ

-side ジップス-



 --カーン!カーン!カーン!

 


「ジップス=ボツクーラ様。あなたのジョブはクラフターです!」

「そ、そんな……」



 教会の鐘の音がなり、牧師さんからジョブを告げられる。

 俺や母上が持つ、灰色の髪に赤い色の目。四大精霊のうち、風を司る精霊シルフと火を司るサラマンダー様の加護を授かっていたからだと噂されていた。今日、この時までは。

 魔術師の名門、ボツクーラ家。

 風と火の魔法を使い国内最強と言われている一家に俺は生まれた。

 10歳の俺が今日の洗礼の儀授かった俺が授かったのは、ハズレジョブと言われているクラフターだった。

 戦闘には使えず、鍛冶や料理人のジョブに比べて専門性にもかけるジョブ。全てが中途半端な故、就職にも苦労すると言われるハズレジョブ。

 結果に絶望して目が真っ暗になったちょうどその時のことである。前世の記憶を思い出した。



「はっ……。うわっ!記憶が流れてくる……!!」



 サラリーマンだった時で記憶が止まっている。おそらくそこで死んだのだろう。

 特に何の取り柄もなく、平凡な日々を過ごしていたという、この世界において、何も役に立たなさそうなことだが。

 まあ、なんとかなるっしょ。前世の口癖を口にしながら俺は教会を去ったのだった。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「追放だ」

「はいぃぃぃ……」

「行き先はクライシスアイランドだ」

「承知いたしました」

 


 案の定家からは追放されてしまった。

 この親父、ラスト=ボツクーラは絵に描いたようなクソ親父である。

 本来、この国の法律では12歳までの貴族の子どもは義務教育である。つまり、10歳である俺には教育を与えないといけない。

 だが、愛人とのあいだに生まれた事を理由に俺に対しての教育は0。見かねた他の親戚がこっそりくれていた支援も、全て取り上げて自分のものにした。

 愛人の母親は病気で他界。代わりの義理の母からのいじめにもこの親父は無関心であった。

 どうせ、有用なスキルを貰ってもこのまま利用され続けるだけだっただろうからむしろここで追放されたのは良かったのかもしれない。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 馬車で目的地まで連行されている最中、行き先の事について考える。

 クライシスアイランド--通称ラストダンジョン。

 魔境と呼ばれたその地域は、神話級や伝説の魔物が住むと言われている。

 人が滅多にすまない地域。

 誰の領地でもないその地域に追放されてしまった。

 絶望的な状況。

 まあ、なんとかなる。

 俺の第六感がそう言っている。

 昔から、この世界での俺の第六感は不思議と全て的中していた。



「フハッ!フハハハハハ!あのクソ親父!今度あったらぶっ飛ばせるくらいの力つけてこの王都に戻って来ようじゃねえか!」



 やっぱ、こえーよ。こいつ。やべーよ。

 馬車を護衛するうちの私兵達が言った。

 聞こえてるからな。

 まあ、もううちの私兵でもないし興味もないからほっとくけれど。

 今回もなんとかなるだろう。

 そんなこんなで俺はどんなジョブかも説明を受けない圧倒的伸び代とスーパーポジティブシンキングを引っ提げて魔境へ殴り込みに行くのだった。

 自信だけはあります。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 

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