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悪役令嬢の娘の母親という、圧倒的なモブポジションに転生したけど、色々と最悪な状態なので、全てを覆して幸せになってみせます。

作者: 結城斎太郎

「えっ、今は………なんて………?」


「この馬鹿娘の将来についてだ。何も出来ない馬鹿な女だが………まぁ、女である以上、嫁としてどこか良いところに嫁がせればいいだけのこと」


 王都から戻った旦那は帰宅の挨拶もなく、私に突然そう言い放った。旦那の後ろには擦り切れた布地の埃を被ったベージュの服を着た少女が立っていた。



どうやら、通っていた店の娼婦の娘を押し付けられていたようだ。金があるなら引き取れと………喋ることも、読み書きすらも全くと言っていいほど出来ない女の子。



いや、何故………そんな突飛な話をいきなり、私に?



「そんな、色々、急に言われても……」


「うるさい!とりあえず、最低限の教養を付けるためにも、適当な貴族学院に通わせる。それでいいだろ。仮にも俺の子だ。くそ………面倒くさいことに巻き込みやがってからに……」


「ちょっ、勝手に決められても……」


「金に糸目は付けない。お前は俺の言う通りにすればいいんだよ。俺の稼いだ金をどう使おうが勝手だろう?子供が1人増えたくらい、どうにでもなるだろ?」


「ま、息子は………!?」


「お前に任せる。俺は疲れてるんだ。少しは自分で考えて行動したらどうなんだ。ったく、どいつもこいつも馬鹿ばかりでイライラする……」


「………………………!!」


 

そう言って私の前から姿を消す旦那。

 


……………………………………おい、マジでふざけんなよ。


なんでもかんでも、大人しく聞き入れるだけの女だと思うなよ、くそ野郎が。






❁❁❁❁❁




私は、ひょんなことから(ひょんって何?)ゲームの世界に転生してしまった。




 ここは、前世の時に実家に引きこもってやりまくっていたスマホアプリの恋愛シミュレーションゲームの世界。


一部の界隈では熱狂的なファンを数多く抱えていた、知る人ぞ知るソーシャルゲームである。



 主人公が新しく入学する貴族学院に王国の次期国王となる王子と許嫁である上流貴族の令嬢も入学してくるという導入から始まる。


その後すぐに時間経過の幕間があり、翌年まで時系列が進められて、そこに資産家で貴族階級の人間と同等以上の扱いではあるが、正式には庶民として入学してくる。


 大まかな登場キャラと最初の流れはこんな感じ。


逆ハーレムのような状態で進むのだが、このゲームの特徴で、一般的な恋愛シミュレーションとは違って複数のルートが確立されているものではなく、どういうシナリオを踏んだとしても、主人公は最終的に王子と結婚することになる。



途中経過で、王子の許嫁がめちゃくちゃに性格の悪いクソ女だっていうことが明らかになり、王子は昔から政略結婚だのなんだのっていうしがらみの中で生きてきて、結婚については全くもって乗り気ではなかった。



その間に、主人公の女とはクラスメイトという形で仲良くなって、次第に惹かれ合いながら、最終的には許嫁のクソ女をこっぴどく振るというもの。


いわゆる、ざまぁ系スカッと系に重きを置いたゲームではある。



そんなゲームの主人公に転生………じゃなくて。


何故か、ゲームに設定されているプロローグ以前の時系列にあたる、許嫁となる令嬢の子供時代の頃に転生してしまったのだ。


意味わからん。まじで意味わからん。


何より意味がわからないのは、その令嬢の父親の嫁という……本編で一言喋るだけのモブ女に転生しているのだ。


ね?意味わかんないでしょ?


しかも、前述の通りに旦那はクソ。物語の流れなら、その娘もクソに育つ。(⟵決めつけんなし)


多分、ゲームのシナリオ通りに進むから、私じゃどーにもこーにも変えられない。



後、物語には一切出てこないんだけど、この令嬢の弟としての、私の実の息子が居る。



その子は凄い可愛い!!


もうね、なんていうんだろうね、言葉でなんて表現出来ないくらいに可愛いんだよ?(語彙力)



シナリオをなかなか変えるっていうのは、今まで経験の中で難しいのはあったけど、全く変えられないわけじゃないことも知ってる。



物語の大まかな流れを覆すようなものではない限り、いくらでも私の人生は変えることが出来るんだ!


ゲームのシナリオ通りだと、私は令嬢の入学式のすぐ後に心労が祟って亡くなっている。原因は書かれていない。



だって、モブだからね!?(怒)



いやいや、死にたくないんですけどって話なわけです。


後、寿命が5年しか無いとか勘弁して欲しいので。そこも含めて何とかしないといけないんですよ。



息子を置いて死ねるかって話なわけで。




(こうなったら、令嬢の方は上手く面倒を見ながら、なるべく息子と関わらせないようにして………息子と私だけで暮らせる力を身に付けなれば………!)



令嬢の父親であるクソ旦那も、物語においては完全なモブ扱い。モブとモブの世界線なら、物語に関わることがないので、割と変えることが出来ることに気付いている。


だから、そこを利用するしかないって訳。




だから、私はクソ旦那に慰謝料やら何やらを請求して、財産分与も私有利になるように進めて…………令嬢の親権は取らずに、息子と二人だけで暮らせる世界線を作り上げる!!


一度きりの人生、ゲームの世界なんだし。


散々のように好き放題やられてきたんだ。多少は私の自由にしたっていいよね?


駄目なんて言わせないからね!?




(よしっ、まずは旦那の不貞行為の吊し上げからと…………)




楽しくなってきたぞ♪


さぁ、ショータイムだ!!







❁❁❁❁❁









それから、7年後。


ゲーム版のシナリオが終わりを迎えた頃の話。



私はしっかりと生きております。運命を見事に変えてやりましたよ!!ありがとうございます!!(誰に?)



その後、旦那とは離婚をし、財産分与も7割程度を頂きながらも、更に多額の慰謝料をふんだくったので、実際には旦那の持っている財産のほぼ全てを私の懐に収めることができた。


ざまぁwwwってことですね。はははっ。



その後の令嬢の娘は、私が優しく接しても反抗反抗の連続で、結果としてはシナリオ通りに性悪ワガママの女に育った。


王子の婚約者になったものの、振られてしまったので、その後日談として残された資産家の男に頑張ってアプローチするが、こっぴどく振られてストーカーのようになってしまうというオチ。


こちらも、はい、実に原作に忠実となっております。



旦那の方は、私に財産を譲ってしまったので、めちゃくちゃに貧乏になり、庶民以下の生活を強いられるようになった。


どうやら、例の娼婦と再婚させられ、娼婦の使用人をやりながら、毎日のように尻に敷かれているらしい。



可哀想………なんて微塵も思いません(笑)



私の方は巨額の財産を使って、新しく商売を始めた。それが見事に庶民と貴族を問わずに大きな反響を呼び、旦那から貰った財産よりも多くの富を得るようになった。


そして、国王から直々に私個人として上流貴族への昇格が言い渡された。



そのおかげもあってか、息子にも、貴族学院よりも更に格式の高い学校に入れることも出来た。



理想の人生、前世の時よりも遥かに良い人生を手に入れることが出来た。


もう、こんなに幸せでいいのだろうかと思ってしまう。



「お母様!今日もお出かけしましょう!」


「うん!今日はどこに行く?」



今日も息子は可愛い。


今年で十三歳になる息子、これから何かと衝突することもあるけど、親子の愛があればどうにでもなるよね?


異論は認めません!!!!

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