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【1万1千PV感謝】下町侵略日記  作者: 九木十郎
幕間 ヘレンギースの独白書
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逸脱する勇気は持ち合わせていない

 新たな生活を始めるに当たって、色々オボえねばならないことがあるが、それとは別につらつらと思いエガくことがある。


 そもそもわたしは話すことが苦手だが文章を書くことはさらに苦手だ。

 だがこの世界にはしゃべるだけで言葉を文字にするという信じがたいマ術がある。


 いやマホウマ術ではないから「カガク」と言いかえなければならないか。

 ニホン語そのものもよく分っていないから、文字をオボえるにはちょうどよい。

 何しろこの異界の文字もさることながら、元の世界の読み書きすらツタナかったのだからコレはナカナカはーどるの高いシレンと言ってよかった。


 いや、わたしは何を言っているのだろう。

 そもそも国王ヘイカや教皇ゲイカのオン前に立つときはダイホンがあるからまだよいが、自分の気持ちを素直に話すというコトがこれほどムズカしいとは思わなかった。


 ちなみにこの文章は彩花にたのんでテンサクしてもらっている。

 しゃべったままの文章をそのままインサツすると、ニホン語じゃないニホン語のおんぱれーどで、書いたハズのわたし自シンが理解フノウというフカシギな文になってしまうからだ。


 ソレでも「おりじなりてい」はソン重したいとかいう彼女の信ジョウで、かなりぎこちない文章になっている。

 どうかソコは目をつぶっていただきたい。


 自シンのドクハク書きなのにタ人に見せるゼンテイで書くというのもミョウなキ分だが、日記などもそうらしいので、コレでよいらしい。


 軍のレンラク書などはタンテキに必要ジコウしか書いてないから逆に楽だった。

 文字の読み書きがニチジョウ的に出来る、いわゆるガクのある人々はどうやってこのナン題を解決しているのか。

 正にソンケイに値する。


 しかしこうやって自分の考えたことを文字にして読むというのは、悪くないキ分だ。

 ぼんやりと思いナヤむよりは考えがまとまるような気がする。


 でもやはりムズカしい。

 ムズカしスギて頭がいたい。

 この地では一〇サイにもみたぬ内から市セイの者がほぼ全員読み書きができ、算術まで修トクするという。

 わたしは完全に置いていかれている状タイだ。


 ああ、こんなことなら、コウブン書などをタータに丸投げなどせず、少しは自分で書くようにしておけば良かった。


 いかん、このままではグチのラレツになってしまう。


 彩花が、キョウ味のあるものなら意ヨクもわくだろうと若い男ドウシの何ともおぞましい絵本を見せてくれた。


 絵はタシかにキレイだった。紙もオドロくほど上質だった。

 ニホンの本は大聖ドウの教テンに使われている写本よりも白くなめらかで感タンの声しか出て来なかった。


 しかしそれほどの、ケッシュツしたデキアイの本でこの内容は何と言えばよいのだろう。


 男色というものがあるのは知っている。


 ダ落した僧侶がその道にジ道を上げているという話もよく耳にしている。


 男ショウというナリワイの者も同様で、生きて行くタメにはなりふりかまっていられないのだろう。


 だが無理だ。


 コウイだと思いたいがもうしわけない。


 わたしはまだ天地の加ゴと教えから、イツダツする勇キは持ち合わせていないのだ。

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