太陽の思惑・2
短いです。
リリネルト視点です
「失礼します」
「あぁ、来たな」
王国側の侍女により荷造りを中断させられアルベルトに召還されたリリネルトは努めて平静を保ちつつアルベルトに向き合う。 思い返しても暇乞いの挨拶に過不足は無かったはずだ。 当然リリネルトはここで何かくすねたり機密を持ち出したりもしていないのでわざわざもう一度呼び出す必要がない。 数秒の内に脳内に様々な可能性を巡らせてリリネルトは話を聞く姿勢になる。
「片付け中に悪いな」
「畏れ多い事でございます」
(・・・? やけに勿体ぶっていらっしゃる・・・?)
こういう時のアルベルトは鷹揚に見せかけて実は勿体ぶっているだけだとこの4ヶ月で学習していたリリネルトは益々身構えそうになる。 仕草にも、表情にも脈拍にも魔力にもそれを出さないよう細心の注意を払いながら何でもないように装った。
「今日呼び出した理由はだな」
「はい」
「・・・理由はだなぁ!」
「はい」
「何か、もっとこう、ないのか?」
「・・・?」
王族の仮面が若干剥げ落ちてワクワクから呆れへと移り変わった様を晒したアルベルトの様子を見て、リリネルトは欲されていることを理解した。
眼を見開き、両手を口元に引き寄せ、信じられない!と言いたげな感情を意識して表情を作る。
「お前、表情筋あったんだな・・・」
(そうもしみじみ仰らなくても)
お手本ような驚愕の表情からスンと無表情に戻ったリリネルトを見たアルベルトが溜め息混じりに告げるのを見てリリネルトは流石に微妙な気持ちになる。
「まあ、よい」
「はい」
一頻り嘆いて何か納得したらしいアルベルトの言葉で居住まいを正す。
「今日呼んだのは、お前を勧誘するためなんだ、リリネルト・カロナル嬢?」
「・・・はい」
アルベルトは告げる。
命じることに慣れた口調。 上に立つ者の風格を以て。
「リリネルト・カロナル子爵令嬢、貴女を正式にフルール王国に迎え入れたい」
流石王子さまは接点の作り方も豪快ですね!




