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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第八章 貴族令嬢編
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忍者vs体育教師

 職員室に辿り着いたベレスフォード先生は灯りが付いているのに気が付いた。見回りに出る前にちゃんと消したはずなのだが……


ーガラガラガラガラー


 職員室の引き戸を開けたベレスフォードは特に警戒すること無く室内に入った。その時

「う、うぅ……」


ードシャアッ!ー


 突然強烈な眠気に襲われたベレスフォード先生はその場に倒れ込んでしまった。

「やった!」

 先生を早々に無力化出来た事に一人の黒忍者が声を上げた。黒の覆面を脱ぎ中からツインテールの少女の顔を覗かせた。

「ほら、アンタ達。さっさと家探しするわよ」

 タチアナ指示の元、五人の黒忍者たちが職員室から目当てのものを探し出す為に散っていく。

「あった! あったわ! 絶対コレでしょ!」

 太めの黒忍者から歓喜の声が上がった。彼女の手には古ぼけた魔法のロッドが握られている。

「でかしたわよアマンダ! とっとと引き揚げるわよ!」

 仕事は終わったとばかりに意気揚々と職員室を後にしていくタチアナとアマンダ含めた取り巻き達。こうして即席の盗賊一味と体育教師ベレスフォード先生との攻防は終わりを告げたのだった。



 翌朝、フィーナ達のクラスではタチアナ達が集まり昨夜の盗みについてある事無い事話して盛り上がっていた。

 彼女達にとっては稀有な非日常を味わえた経験として一種の娯楽となっていたのだろう。戦利品のロッドを教室に持参するという間抜けさまで発揮していた。


ーガラガラガラー


「皆、おはよう! 全員席に着くように!」

 始業開始の時間と共に担任教師であるブライトウェル先生が入室してきた。

「実に喜ばしい事が起きた! 昨日の不正行為の件だが進展があった!」

 ブライトウェル先生はややテンション高めのまま話を続ける。

「アリア・グランヴェール! 長らく済まなかったな、お前のロッドを返しておこう」

 ブライトウェル先生はどこからともなく古ぼけたロッドを取り出すと、アリアの席に近付き元の持ち主にロッドを返却した。

「な、どういう事よ!」

「あいつのロッドはここにあるのに……!」

 状況が分からずタチアナとアマンダは顔を見合わせているが、現実の状況に理解が追いつかない様だ。

「それ本当に本物なんでしょうね!」

「見間違うわけないでしょこんなオンボロ!」

 人目も憚らず怒鳴り合う女子二人が目立たないはずも無く……

「なんだ、お前達。それは昨日無くなった私の祖母のロッドだ。どこで拾ったかじっくり聞かせて貰おうか」

 ブライトウェル先生はアマンダとタチアナの首根っこを掴むとそのまま二人を拉致して出ていこうとする。

「ちょっと放しなさいよ! ただの教師風情が偉そうに……」

「私は知らないわよ。こいつに唆されただけなんだから!」

 王手のかかった段階だからかタチアナもアマンダも自分が助かるために必死である。

「帰ってくるまで自習で良いぞ〜」

 仲違いを進めるタチアナ達を無視してブライトウェル先生は二人を拉致して空き部屋へと消えていってしまった。



(…………)

 事の成り行きを見ていたフィーナは、とりあえずアリアが無事に不正と関係が無い事がクラス中に知れ渡った事に安堵していた。

 タチアナもアマンダもこってり絞られるだろうから今後は大人しくなると良いのだが……

「フィーナさん、聞いた? 実力テスト一番だったんだって!」

 パトリシアがどこから情報を拾ってきたのか、フィーナにとってはあまり有り難くない知らせを運んできてくれた。

「え、あの……私、それほどの事は……」

 過ぎた謙遜は嫌味となる。しかし、本当に運にも左右された実力テストだっただけにフィーナも素直には喜べずに居た。

 同じ事を繰り返してみたところで、同じ様な高得点が出せるとは思ってもいない。

「良かったしゃ〜ん! それなら今日もさフィーナの部屋でお祝いしよ〜よ〜」

 祖母からのロッドを返してもらったアリアは悩みなど微塵も感じさせない屈託のない笑顔でフィーナの部屋に押し掛ける事を提案してきた。

「アリアさん。毎日お呼ばれはフィーナさんにも失礼よ?」

 一人て物事を決めてしまいそうなアリアをパトリシアがピシャリと嗜める。

「あ、ごめんなさい。二日続けて無断外泊はちょっと……」

 フィーナも母親に無断で色々と勝手な行動を決めてしまうというのは抵抗があるのだろう。

 フィーナこそ知らないがレアは彼女を神力で常時監視している為、ある程度は事情を把握出来ている。

 その上てフィーナの行動を見守って楽しんでいるという訳である。

「な〜んだ。あのお菓子美味しかったのになぁ〜」

 二人に断られてしまったらアリアとしても強引には行けない。しかしまぁ、彼女の目的はノルン産のチョコビスケットにあった様だ。

「あ、ノルンさんに聞いてみてあったら明日持ってきますから」

 安易に約束すべきでも無いのだが、ガックリと肩を落としているアリアを元気付ける言葉は今のフィーナにはコレ以外思い浮かばなかった。

「ええ〜本当〜! 流石フィーナちゃん! 私の魂の友よ〜!」

 アリアは途端に元気を取り戻してしまった。ちなみにこの光景もレアは確認済みな為、明日フィーナがチョコビスケットを持参するのはアカシックレコードに刻まれた歴史の様に確定してしまった訳であるが。

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