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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第七章 人型機動兵器パイロット編
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核の再起動

 大歓声の白鯨甲板上でフィーナは冷や汗ダラダラであった。レギンレイヴにも表情や目線がリンクしているので外からもフィーナの動揺は丸わかりであった。

《アインホルン少尉、後は任せるぞ。自分のタイミングで地磁気の復活をやってくれ》

 白鯨のブリッジからフューゲル大佐からの通信が入ってきた。今の今になっても女神レアが降りてくる気配が全く無い。さっきから天界に呼び掛けてはいるものの、女神ノルンですら反応無しなのだ。

(もう、自分がやるしかないですね)

 意を決したフィーナは両レバーを通して神力をレギンレイヴの両手に集中させ始めた。生身で行使するよりレギンレイヴでワンクッション挟んでいるのでもしかしたら自分に対する信仰心を減らせるかもしれない。

(あ、あれ……?)

 その時フィーナは自身に不思議な感覚を覚えていた。両手に集中させているはずの神力が抜けていっているのだ。なんだか神力を込めれば込めるほど力が抜けていっている気がする。

「はあっ!」


ーパアアアァァァー


 フィーナは一気に神力の全てを両手に込めそれをマーズスフィアの核に向けて転送した。さて、今のフィーナの神力は零であり出来る事は終了してしまった。後は天界から神力を融通してもらわなければ文字通り何も出来ない。

 マーズスフィア側では死火山や極地方でのオーロラの有無などの観測を行っている様だが、現在のところは地震計などもピクリとも動いておらず、悪い意味でいつも通りらしい。

 仰々しく人目を集めてピカピカとレギンレイヴを光らせたものの、何も変化が現れない現状にマーズスフィア星人達がザワザワし始めた。

「なんだ、何も起きないじゃないか」

「期待させやがって、金返せ!」

「やっぱり二足歩行の猿には無理な話だったんだ!」

 一人が口火を切ると一斉に流れがアースガルド批判に傾いてしまった。

「皆、静粛に! 瞬時に変化が現れるとは限らん! 様子を見るのだ!」

 一応、停戦して和議を結んだ手前、保身のためにもマーズスフィアの皇帝は場を収めなければ自身の権威に傷が付いてしまうため彼も必死である。一方、神力すっからかんのフィーナはレギンレイヴの中で

(ノルンさん! 私の貯蓄今すぐ転送して下さ〜い! ノルンさ〜ん!)

 半べそ状態で必死に天界の女神ノルンに呼び掛けていた。フィーナには仕事の成果として貯蓄している神力が割とある。今はそれを使ってでも何とかしたい気持ちで一杯だった。一気に燃え上がった式典がまた別の意味で炎上し諦めムードが漂い始めたその時


ーパアアアァァァー


 白鯨の頭上に光の柱が出現し、後光をセットした女神レアが純白の翼を広げて群衆の前にその姿を顕現させた。

「二つの星の平和の為にあなた方に神の奇蹟を授けましょう」

 キラキラと神々しく光る女神レアの姿はアースガルドの民だけでは無くマーズスフィア星人達も一目で魅了してしまった。タコ型の生態である彼らでも人知の及ばない高位の存在は本当で解るのだろう。

「あれは……あれが神なのか」

「神話でしかないと思っていたが……本当だったとは」

「神よ、どうか滅びの未来から我らをお救い下さい」

「神よ……」

 マーズスフィア星人達は誰も彼も、皇帝夫妻でさえも床の上に平伏し頭上のレアに祈りを捧げ始めていた。そんなマーズスフィア星人達からの信仰心に満足したのかレアはこれ見よがしに光り始め


ーパアアアァァァー


 神力をマーズスフィア星に加えるとその瞬間


ーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ー


 マーズスフィアの大地が活動を始めたのが誰にでも分かるような地響きが巻き起こった。

「皇帝陛下! 南極の観測基地から報告です! 空に奇跡の光が観測されました!」

「死火山からも噴煙を噴き上げたと報告が! 伝承の現象そのものです!」

 マーズスフィアの各地で異変が起こり始めたのかその報告にやってくるマーズスフィア星人達は後を絶たない絶たなかった。さらに

「皇帝陛下! 各観測地点からのデータを集計した結果、地磁気の存在が確認されました!」

 マーズスフィア星人達にとって奇跡とも言える報告が式典会場に齎された。その報告に式典会場は大歓声に包まれた。抱き合うもの八本の足で器用にハイタッチをする者キスをして喜び合う者など様々だった。

(良かった……)

 その光景をどこかホッとした気持ちで眺めていたフィーナの脳内に

(フィーナちゃ〜ん♪ おかげで信仰心たくさん貰えたわ〜、ありがと〜!)

 レアからの念話が入ってきた。マーズスフィアの地磁気が復活してフィーナもホッとしていたものの、レアからお礼を言われる理由が分からなかった。

(……私、何もしてないですよ?)

 少々腑に落ちない様子でフィーナが答えると

(やっぱり下げて上げるのが一番よね! 信仰心の入りが違うわ! フィーナちゃんのおかげ♪)

 やっぱりイマイチよく分からない返事が返ってきた。

(あの、話が見えないんですけど……)

 おかげと言われても自分は地磁気を復活させられなかっただけである。神力を使った以上核を暖めるプラスにはなったはずだが……

(あれ? フィーナちゃんに地磁気復活を失敗させて私が満を持して成功させるって聞いてなかった? フレイアには伝えておいたんだけど)

 レアから初耳な話が入ってきた。失敗とか成功以前に念話自体繋がってない。

(とにかく、フィーナちゃんの失敗があったから反動で信仰心がうなぎ登りなのよ♪ 下げて上げる! これならこの世界が懲罰異世界じゃなくなるかもしれないわね〜)

 事態は飲み込めないが、どうやら自分はレアが得る信仰心の為の当て馬にされてしまったらしい。

これでは完全にピエロではないか。世界が平和になるのは喜ばしい事だがこんな騙し討ちの様なやり方は納得出来るものではない。

(あの、フィーナさん? ごめんなさいね、フレイアさんがフィーナさんは演技とか無理だから知らない方が良いだろうって)

 突然、フォロー気味にノルンから念話が入ってきた。どうも彼女に念話が繋がらなかったのも意図的なモノであった様だった。

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