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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第七章 人型機動兵器パイロット編
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戦女神

 フィーナは格納庫を駆けている最中、あるものが格納庫の隅に置かれているのが目に止まった。

(あれ……置いていく訳にはいきませんよね)

 安室祐一のカナロアとの戦闘で鹵獲されたレギンレイヴだ。あれを置いていく訳にはいかないが、今はとりあえず脱出艇を目指すしか無い。

 脱出艇に辿り着いたフィーナは片目に赤外線視認能力を付与し、皆が到着できているか確認する。

(皆さん居るみたいですね)

 軽く点呼を取るとフィーナには分かっているがレイスニール達にもメンバーの欠けが無い事を認知させる事が出きた。

「今、ハッチを開けるぞ! 乗り込め!」

 マーズスフィア星人のホセが脱出艇の搭乗口を解放すると

「なんだ? 誰か脱出艇動かしてるのか?」

「ガンスお前、調べてこい」

 勝手に開いた脱出艇を不審に思ったのか近くに居たマーズスフィア星人数人が近付いてきた。

「ダークウォール!」

 その時、闇の壁が出現しマーズスフィア星人達の進路を阻んた。

「全員、乗りましたか?」

 フィーナの声にメンバー達は次々と返事をしていった。どうやら誰一人として欠けてはいない様だ。


ーパアアァァー


 フィーナが透明化を解除すると脱出艇に乗り込んだ仲間達の姿が次々と現れた。

「よし! とっととこんなトコ、おさらばするぞ!」

 操縦席に座ったホセともう一人のマーズスフィア星人の手によって脱出艇の発進準備が進められていく。長い触手を四方八方に伸ばして操作しているところを見るに、マーズスフィア星人達で無ければ操縦は不可能である事が伺える。

「撃て! 逃がすな!」

「脱出艇を破壊しても構わん! 撃て!」

 外からはマーズスフィア星人達からの集中砲火が浴びせられていた。レイスニールのダークウォールも耐久値が限界に近づいている様だった。

「アーススキン!」

 その限界を見計らったかの様に今度はゴル兵長が土魔法の防御力を強化を脱出艇に施した。硬い岩盤に覆われた脱出艇は敵の使うエネルギー弾やレーザー光線では中々ダメージを与えられない。

「格納庫のハッチが開かねぇ! 奴らもうこっちからのアクセスを切りやがった!」

 操縦席のホセから悪いニュースである。本来、緊急避難に使用される脱出艇は、いかなる状況でも確実に船から離れられる様に設計されている。だが、今はそのあらゆる方法が封じられてしまっていた。

「おい! 爺さん! この船を覆ってる岩みてーなの、無くしてくれねぇか?」

「無茶言うな! 解除したらあっと言う間に消し炭になるわい!」

 ホセからのリクエストは秒でゴル兵長から却下された。確かに敵から撃たれまくっている現状で魔法を解除したら脱出艇はすぐにスクラップとなるだろう。しかし、このままではただ死ぬのを待つのみとなってしまう。その時


ーガシャン! ガシャン! ガシャン!ー


 一機の多脚兵器がマーズスフィア星人達の頭上を飛び越えながら脱出艇に向かってきた。機体色が緑なので一般機ではある様だが……今のフィーナにこれ以上逡巡している時間は無かった。

「皆さん、助けに来て頂いてありがとうございました。次は私に皆さんを助けさせて下さい」


ーパアアアァァァー


「お待ち下さい! 少尉殿!」

レイスニールが止める間もなくフィーナは翳した右手で自身を光で包むとそのまま姿を消してしまった。

 今の脱出艇はゴル兵長のアーススキンの岩盤で覆われており中から外に出る事は出来ない。窓などは覆っていないが最低限の視界しか確保していない岩盤の張り方をしているので、そこからフィーナが外に出るのは不可能である。

「今のはまさか転移魔法……? すでに失われた技術のはず……」

 レイスニールはフィーナが転移を使った事に驚いていた。ポータルなどを使って決められた場所同士を跳躍するのと違い、任意で自由に行き来するなど古の高位の魔術師が使える程度のはずなのだ。



(…………)

 転移を終えたフィーナはなんとかレギンレイヴのコクピットに収まる事に成功していた。目視で位置を確認出来ていた事とコクピット内部の作りを熟知していなければとても出来ない綱渡りであった。

 早速フィーナが目視でコクピット内を確認したところ、安室祐一に襲われた時のままハッチがひん曲がっておりひどい有り様だった。


ーパアアアァァァー


 フィーナが神力で原状復帰させるとレギンレイヴはあらゆる損傷が無くなり全てが元通りの状態となった。改造や改修、リファインといった手の掛かる事は全くしていなく元通りにしただけなのでフィーナとしても神力的にも楽チンである。


ーキュイイイイィィィー


 レギンレイヴを起動させると素直な起動音と共に機体に火が入っていくのが分かった。あらゆるランプがグリーン表示であり異常無しをそのまま体現していた。


ーググッー


 フィーナは右ペダルを踏み込むと仲間たちが乗る脱出艇に迫らんとしている多脚兵器に体当たりをかけた。


ードーン! ガラガラガラ……ー


レギンレイヴのタックルを横から無防備に受けた多脚兵器は成す術なく横倒しになり格納庫内をゴロゴロ転がって駐機してあった他の多脚兵器も薙ぎ倒しながらようやく停止した。

 また、転がる多脚兵器から逃げ惑うマーズスフィア星人達は散り散りになり我先にと格納庫から逃げ始めていた。

「これから格納庫のハッチを吹き飛ばします! レイスニールさん! 準備願います!」

 フィーナは敵多脚兵器の様子を見ながら原状復帰のおまけで得た長銃身のライフルを構え格納庫のハッチに銃口を向ける。

(早く逃げてもらわないと……)

 フィーナは格納庫から逃げ出しているマーズスフィア星人達が退出していく様子を眺めていた。ハッチを吹き飛ばして宇宙空間に投げ出されるマーズスフィア星人なんかは見たくない。

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