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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第七章 人型機動兵器パイロット編
574/821

新兵器

 赤く大きな何かが悠然と降りてきた。敵の戦艦にしてはいつものアダムスキー型の彼等の宇宙船とは形状がまるで違うし何より小さい。駆逐艦か巡洋艦か、先程からのレーザー砲の元凶だろうか?

 しかし、奇っ怪な姿をした敵である。例えるなら……蛸……虫?楕円形の船体から多脚が周囲にびっしりと生えている異形体だった。蛸と言うより足の長いダンゴムシの様な……?真下からそれを見上げているフィーナは思わず

(うわぁ……)

 その姿の悍ましさに素で引いてしまっていた。


ーズシイイイイィィン!ー


 そのダンゴムシの様な機体は地上に降り立つと

《久しぶりだなぁ女神サマ? 今度こそ俺と一緒に来てもらうぜ!》

 聞き覚えのある声がスピーカーを通して聞こえてきた。間違いなくマーズスフィア星人に転生した安室祐一である。

 この異世界には分かっているだけでも三人の転生者が送られている。これだけの異物を抱えていれば歴史が歪んでしまうのも宜なるかなと言ったところだろう。

《ふっふっふ、このカナロアの前ではいかに女神だろうと羽虫に過ぎん!》

 ゆらゆらと動いていた足の一部が何かに狙いを付けたかと思うと


ージャッ! ジャジャッ! ジャッ!ー


「うわあっ!」

「ひいっ!」

「ママ〜ぁ!」

 ダンゴムシの足先から放たれたレーザー砲は盾持ちセイズコナの何機かを撃ち抜いた。学徒兵達の悲鳴が聞こえてくる。

《今のは手加減してやったんだぞ? 全滅したくなかったら従え》

 安室祐一は余裕のある姿勢を崩さない。彼の機体の放ったレーザー砲はセイズコナが持っていた、多脚兵器の表面にも施されていた特殊コーティング済みの盾を簡単に蒸発させていた。

 同じ攻撃をレギンレイヴが受ければ結果は同じだろう。光の壁で味方を守るにしてもこちらからの攻撃も出来なくなってしまうため、現実的な選択とは言えない。

(くぅ……)

 こんな時こそ天界のレアやノルンの出番なのだが、こういう時に限って念話が繋がらない。自身の仕事もあるレアはともかく、天界から常時サポートするというノルンの言葉は何だったのか。

《そうそう、大人しくしてりゃ手荒な真似は……》

 安室祐一のカナロアは一本の足先から触手の様なモノを伸ばしてきた。先端にガラス玉の様なモノが付いている触手はウネウネとフィーナのレギンレイヴの腰に巻き付けようとしてきた。


ーシュルシュルシュル……ー


「はあっ!」

 フィーナは近付いてきた触手を剣で叩き落とすとレギンレイヴを垂直に急上昇させた。


ーゴオオオオオッ!ー


「全機、早急に基地に帰還して下さい!」

 フィーナは上空から地上の学徒兵達に呼び掛けた。その声と共に学徒兵……特に近接戦仕様の十名には出来る事は無く、一目散に引き上げていく。

「ウィンドストーム弾発射!」

「アイスブリット、冷気最大!」

 地上ではクリムローゼ伍長の隊とルー伍長の隊が魔法弾でカナロアに対し全力で当たっていた。

「フハハハハ! そんな魔術が通用すると思うな!」

安室祐一はカナロアの長い脚を畳ませると胴体をクルンと湾曲させて丸まってしまった。


ーゴオオオオオッ!ー

ーカーン! カーン!ー


 防御姿勢を取ったカナロアには竜巻も氷塊も全く通用しなかった。

「ぬおおおおっ! 魔法剣ライトニングボルトォ!」


ーズガッ!ー


 地上ではディルクを連れたドラコ軍曹が大剣に電撃を纏わせた一撃をカナロアに叩き付けていた。

「ダークスラッシュ!」


ーズババッ!ー


 続けてレイスニールも二刀に闇を纏わせた連撃を叩き付けていた。しかし

《そんな攻撃がこのカナロアに効くかよ!》


ーゴゴゴゴゴッ!ー


「ぐああああっ!」

「ぬああああっ!」

「なんで俺までぇ〜!」

 カナロアは丸まったままダンゴムシの様に勢いよく転がりドラコ軍曹とレイスニール+他一名をいとも簡単に弾き飛ばしてしまった。


ーガシャン! ガシャン! ガシャン!ー


 防御態勢を解いたカナロアは脚の一部を吹き飛ばした軍曹達に向けた。

《三下共め、死ねぇ!》


ーキュイイィィンー


 カナロアはレーザー砲発射のためにエネルギーを足先に集中させ始めた。その時


ーズドオッ!ー


 空から一本の光の柱がカナロアの脚を撃ち抜いた。


ーズドオッ! ズドオッ!ー


 さらに光の柱が何本も撃ち下ろしドラコ軍曹達に向けられている脚を一本残らず撃ち抜いていった。

《くそっ! なんだ!》

 立て続けに脚を失ったカナロアに苛立ちを見せた安室祐一は機首を上に向けた。そこには長銃身のライフルを構えたレギンレイヴの姿があった。

《正々堂々勝負しろ! こちとら地上戦仕様なんだ、対空戦闘なんかそうていされてないんだよ!》

 安室祐一は対戦ゲームでキャラ選択を間違えたみたいな事を言い出した。確かに鈍重なプロレスラーキャラで飛び道具持ちの対空完璧なキャラとかに当たったらそれは地獄でしかないだろう。

「はぁ……」

 フィーナはレギンレイヴのコクピットでため息をついていた。このまま高度を保ったまま上空から撃ち下ろし続けていればいつかはカナロアを無力化出来るだろう。

 しかし、それでは安室祐一に分からせるというフィーナの目的が果たせる訳が無い。今のままではフィーナはキャラ性能だけで圧倒しただけでしかない。

 実際にどうかという話では無く、彼がどう思ったかが重要なので安室祐一が負けたと思わなければフィーナの目的は達成出来ない事になる。

(…………)

 フィーナは仕方なくレギンレイヴを地上へと降ろした。相手の手の内に入るのは不本意だが今のままではフィーナの目的が達成出来ない。

 地上にはドラコ軍曹達とは反対側に着地した。すると


ーガシャン! ガシャン! ガシャン!ー


《これでようやく対等に戦えるなぁ! 女神さまぁ?》

 安室祐一はカナロアを旋回させてきた。どうやら攻撃するには機首をこちらに向ける必要がある様だ。これで一応はレイスニール達に攻撃が向かう事は無いはずだ。


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