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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第七章 人型機動兵器パイロット編

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背水の陣

「あ、あの私では動かせるか分かりませんし他の方の方が……」

 搭乗用のエレベーターで上げられているこの期に及んでも、フィーナはこんな事を言っていた。いくら天界で訓練をしたとは言え、地上を少し歩き回ってみた程度でしかない。

 下を見てみると整備兵の皆が自分を期待の眼差しで見ているのが嫌と言う程に伝わってくる。

「撃て! 撃てーっ!」


ータタタタタタッ!ー


 見れば基地の兵士達が小銃やら無反動砲まで持ち出して生身で多脚機動兵器の迎撃に当たっている。

 そんな中、自分がいつまでも腰が引けている訳には……フィーナは覚悟を決めると銀色に光る人型機動兵器に乗り込んでいくのだった。


 コクピットシートに座ったフィーナは天界での記憶通りに人型機動兵器が起動しコンバットモードに移行するのを待つ。その時

(お、きちんと乗れた様だな。計画通りだ、偉いぞフィーナ三等兵♪ それでこそ優秀な私の部下だ)

天界からフレイアからの念話が入ってきた。藁にも縋りたい今のフィーナにとっては文字通りの天の助けであった。

(お前、機体の動かし方は分かるだろうが攻撃方法はチンプンカンプンだろう?)

 フィーナはフレイアが眼の前に居る訳では無いのに思わずウンウンと頷いてしまう。それだけに今の彼女には心的余裕が無い事の現れでもある。

(そうだな。攻撃はレバーの人差し指にあるトリガーを引くんだが問題は狙いの付け方だな)

 フレイアからのレクチャーが続くが現在も敵の多脚兵器はズシンズシンと近づいてきている。目の前のモニターに映し出されている以上当のフィーナは気が気では無い。

(モニターに標準環が二つ有るのは見えるな? それは左右の腕それぞれに即した標準環だ。右手で攻撃したければ右の標準を、左腕なら逆の標準を敵に重ねてトリガーを引けば良い)

 フィーナはフレイアの説明を聞きながら目の前の状況を確認する。

(今はライフルを装備している様だな。よし、今すぐ前進して格納庫の敷地から出て攻撃しろ)

(え? 今ですか?)

 フィーナはフレイアの指示を聞き返してしまった。いざ動かすとなるとやはり心の準備は欲しいのだが……

(今すぐだ! 敵もお前が動くとは思ってない。チャンスだ、行け!)

(も、もう知りませんよ!)

 フィーナが両手のレバーを前に押すと


ーガシン! ガシン! ガシン!ー


 フィーナを乗せたH・A・Wは小走りに前進を始めた。そして敷地を出た所で右レバーのトリガーを引く。すると


ーダンダンダンダンダンダンダンダン!ー


 H・A・Wは手に装備していたライフルの銃口を前方の多脚機動兵器に向けるとオート連射を始めた。


ーカンカンカンカンカンー


 撃ち出された弾丸は目標に命中はしたものの敵の装甲を貫くには至らず、避弾経始も考えられているのかその装甲に対しての攻撃方法としては良好とは言えなかった。


ーガシャン! ガシャン!ー


 しかしフィーナからの思わぬ攻撃に敵は歩みを止め、警戒したかの様に横移動を始めた。

「このっ!」


ーダンダンダンダン!ー


 フィーナは機体を旋回させながら多脚機動兵器を追うようにライフルで攻撃を続ける。


ーガシャンガシャンー


 多脚機動兵器はガニ股気味に立っていたのが足を伸ばして本体の球体部分を上に持ち上げてしまった。

(フレイアさん、これどうすれば良いんですか?)

 攻撃が当たらなくなって焦ったフィーナはフレイアに打開策を尋ねてみる。しかし、天界からの返事が無い。しっかりサポートしてやるとは何だったのか。

(あ、すみません。フィーナさん、どうしました? フレイアさん席外しちゃってて……)

 返事が返ってきたかと思ったら同じ転生課の女神ノルンだった。天界で自分がどう観察されているのか分からないが、皆で見ているのだろうか?

(あの、敵が上に行ってしまって…… こういう時、どうすれば良いんですか?)

「……!」

 敵は攻撃方法が無くなったフィーナの機体を試す様に右に左にと動き始めていたが、一瞬明らかに動きが変わったのが見えた。

 球形の正面に見える円形の開口部、よくあるタコの口の様な部分を明らかにこちらに向け出したのだ。


ーキュウゥゥー


 フィーナが右ペダルを踏みながら両レバーを左に倒すと機体は素直に左にステップした。その時、敵の口の開口部が光ったかと思った次の瞬間


ーカッ!ー


 敵の開口部からビームの様な赤白い光がフィーナの機体の右を掠めていった。もし、さっきの位置に居たままだったら直撃していただろう。

(あ、あんなのどうすれば良いんですか? 初戦であんな事してくるなんて聞いてないですよ!)

 フィーナは機体を動かしながら天界のノルンに助けを求める。足を動かして居ないと敵が狙いを定めようとしてくるからだ。反撃できれば良いのだがフィーナが攻撃できるのは機体の真正面のみ、しかも機体を回避に専念しながらでは照準環を敵に合わせる事も出来ない。

(フィーナさん、照準環はレバーにある親指のところにアナログスティックがあるのでそれを使えば任意に動かせるみたいですよ? 敵に合わせて押し込めばロック出来ますから頑張って! 」

 なんだか家庭用ゲーム機で遊んでいる最中に横からアドバイス貰っている感じである。

「も、目標をセンターに入れて……」


ーカチッ!ー


 フィーナが目標に照準環を合わせてスティックを押し込むと照準環の外縁が赤く光って一回り小さくなり赤字でロックオンの表示が出た。

「えいっ!」


ーダンダンダンダン!ー



 フィーナが機体を動かしながらライフルを撃ち込むと敵多脚兵器は口から煙を上げながらガクンガクンと動きがぎごちなくなり始め


ーガシャンガシャンブアアアア!ー


 少し歩いた後ブースターを吹かして味方の方へと後退していった。味方の中に紛れ込み煙を吹いた多脚兵器は見失ってしまったが、今に至っては何も関係が無かった。

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