とある苦労人side
「スタンリー政権が続くと思われたのに、ここにきて一気に形勢が変わってしまった。しかも、スタンリー派閥の一斉に退陣という形で、です」
ビクッと体を揺らしたヤルコポル伯爵。
その一端を担った自覚はあるようだ。
「今、政権を担っているのは嘗て政界で大きな顔をしていた一族の者達です。より分かりやすく言うと、スタンリー元宰相閣下に無能と判断されて追い落とされた政治家達の息子や孫にあたります。流石に本人達は歳ですから自分が表に出るような事はしません。が、今まで溜まっていた鬱憤を晴らそうとします。何しろ、スタンリー元宰相閣下に抑圧されていましたからね。本人は勿論の事、一族でこれから先増長する事は間違いなしの案件です」
スタンリーの爺は敵に容赦なかった。ある意味で公平に対処したと言っても良い。政界から去ったとはいえ、スタンリー公爵家に何かをする事は出来ない。スタンリー公爵家そのものに力がある上に、スタンリーの爺は各家の弱みをしっかり握ってやがる。それも表ざたにされるとヤバいものばかりだ。だからこそ恨みや不満はあれど正面切って逆らえなかった。それは今も同じか。
「政界から追い落とされた中には下位貴族出身から高位貴族に婿入りをしてまで成り上がった者もいます。そういった人達は能力があってもそれに見合う地位を得る事が出来なかった者です。高位貴族の者から見下され蔑まれ、プライドを捨てて媚びへつらい、政略結婚までして地位を築いてきた者達です。苦労して手に入れた地位をスタンリー元宰相閣下によって奪われたと考えてもおかしくありません」
実力だけで出世できる世界ではない。
スタンリーの爺も有能な人材は残って欲しかっただろうが敵対派閥に属している者を引き抜く事はしなかった。いや、出来なかったに違いない。そういった人材は身内に取り込まれている。引き抜いた場合、双方共に不幸な結果になるだけだ。




