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宰相side


 ヘスティアはまだまだ若いな。

 ポーカーフェイスが出来ておらん。


 貴族というものは受けた屈辱は決して忘れない生き物じゃ。

 勿論、憎しみも忘れはせん。


 まだ年若い孫娘に聞かせる話ではないのかもしれんが、万が一という事もある。四十年近く平和が続いている。ぬるま湯に浸かった若者には想像もつかんかもしれんな。非日常は人を狂わす。暴力的行為は特に。儂はまともな余生を送れるとは思っておらん。何時か誰かに殺されて人生を終えると覚悟しておる。じゃが、家族が巻き添えになるのは好まん。甘いと言われようが、我が子や孫は可愛い。息子を政治家にしなかったのは儂の個人的な理由じゃ。もっとも、本人も政界向きの性格ではないと知っておったからその道を進まなかったが……。


 王太子は儂の政治生命を断つことが目的じゃろう。

 現国王のように傀儡になりたくない、腐敗した政治を正したいと考えておる。さらに調べてみると、愛妾の入れ知恵もあるようじゃった。儂の代わりに宰相位に据える予定の侯爵。まだ年若く、何の実績もない男。どうやら愛妾とは親密な関係のようだが、王太子はこの事を知らぬらしいな。笑える話じゃ。

 愛妾は、王太子と新しい宰相の二人の権力を手にして自分達に復讐を果たそうという計画のようじゃった。着眼点はいいのう。じゃが、男どもがそれに値する能力を持っているかどうか……疑問じゃな。儂がもう少し若ければ、売られた喧嘩は高値で買ってやったろうが如何せん寄る年波には勝てん。


 耄碌爺は早急に去らせてもらおうかのぉ。







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― 新着の感想 ―
[良い点] 去り際を心得えいるのは耄碌爺といわない。 愛妾の傀儡程憐れなものはない。 この愛妾も国はどうでもいい派か 国の為にと誤った正義感か 隣国にでも侵略されたらひとたまりもなさそう…スパイじゃな…
[一言] 耄碌爺の傀儡になりたくなくて愛妾の傀儡になっている王太子とか、笑うしかない話だな
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