表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/70

元婚約者side

 

 施設にいた人間を一人残らず殴り飛ばした。

 面白い。

 少し力を入れただけで人間がボールのように飛んでいくんだ。壁に叩きつけられて人間は血をだらだら流してピクリとも動かない。


 はははは!

 いい気味だ!

 僕をモルモット扱いした報いだ!


 目の前に火柱がたつ。ちっとも熱くない。ガラスの破片がそこらかしこに落ちている。裸足だというのに痛みを感じない。違う。僕が踏むとガラスの方が壊れていくんだ。


 崩れ落ちてくる天井も怖くない。

 当たっても全く痛みを感じない。それどころか、天井そのものが僕に当たって砕けていく。


 凄い、凄い、凄い!

 僕は強いんだ!

 誰も僕には勝てない!





 外に出ると見知らぬ森だった。

 まるで施設自体を隠すかのように木で覆われている。


 久しぶりに見る月。



「美しいな。月ってこんなにキレイだったんだ」


 白衣の男達は僕を「特別な人間」にしていた。


「王都は西か……」


 夜行性の動物になった気分だ。

 夜目が効くだけじゃない。目を凝らせば数千キロも離れた場所まで見える。


 この力があれば。


「あいつ等へ復讐が出来る」


 僕を不幸に陥れた者達。

 貴族でなくなった途端に手のひらを返した奴ら。

 一切味方をしなかった人達。



「そもそもヘスティアが僕と婚約を解消するのがいけないんだ」



 僕は()()()()()()()していただけじゃないか。「愛人を持つな」と言うなら、ヘスティアがもっと僕を構うべきなんだ。「公爵家の勉強が忙しいのです」って一緒に居る時間が減ったんだ。

 何だよ、勉強って!

 将来の夫より優先する事があるのか?

 ヘスティアがちゃんと僕を見てくれないからいけないんだ!



「やっぱり僕は悪くない。僕はただ寂しかっただけなんだ」


 だから、()()()()()()で手をうったんだ。寂しさを埋めるために。ヘスティアがもっと僕を見てくれたら平民程度の女に手を出さなかった!


 こんな仕打ちを受けるなんて……間違ってる。


「絶対に許さない」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  徹頭徹尾自己中心的な思考。  おクスリ打たれる前から更に強力なクスリを使用していたようなもの。  自己暗示と自己正当化。  しかも彼は一人で生きていたともとれる。  誰も彼の人生の内側に…
[良い点] 予想外すぎて面白くなってきました。 ハルクで脳内再生されてます! 更新が楽しみです! (夢オチだったらどうしよう)
[気になる点] 昨日気付かなかったがモルモット番号666 666!Σ( ̄□ ̄;) ダミアン(オーメン)の展開になるのかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ