暗殺者の助手は忙しい
ラジオ大賞用に初めて短編書きました!
ご一読の程を!
彼はKと言う。
Kはある人物の助手をしている。その雇い主は毎晩家を出て
行き、翌朝に帰ってくると、
「おい、K!後始末を頼む!!」
と彼に大きな箱を押し付け、部屋に入ると、そのまま寝てしまった。
残されたKは箱を開けると、中から血塗れになった服とナイフが出てきた。
「やれやれ、また派手にやったな」
Kは雇い主の仕事に溜息をつきつつ、それらの処分に取り掛か
った。
Kの雇い主は暗殺者である。これまで多額の報酬を受け取っては、たくさんの人を手にかけてきた。汚職政治家を毒殺したり、悪徳商人を刺殺したり……それらの準備や後始末を担当していたのが、助手のKであった。彼は雇い主の為に、凶器の買い出しに出かけたり、極端な場合では、自らが被験者となって毒の効能を試してみたり…流石にその時は本当に死にかけて、雇い主の看病でギリギリの所で蘇生したものの、雇い主からは大目玉を食らったが……
しかし、とKは昨夜使われた凶器を処分しながら思う。
「俺は決して、ご主人様を見捨てたりはしない。死んでもやり切ってやる」
Kの両親は、貧しかった。生活の為に多額の借金をしており、彼を置いて死んでしまった。
両親を失ったKは、町を彷徨っていたが、飯を買うお金もなく、遂に路上で倒れてしまった。彼は譫言で、
「ちくしょう……オレに力があればあの親を苦しめた借金取りに復讐出来るのに……」
と言った。すると突如、
「その望み、叶えてやってもいいぞ?」
目の前から男の声がした。
「アンタは?」
Kは尋ねた。
「私は殺し屋だ。金と引き換えに標的を始末する仕事を請け負っている。金さえあれば、お前の仇を討ってやる」
「金は……無い」
Kは答えた。
「フッ、それは残念だな。私は金にならない仕事はしない」
男は立ち去ろうとすると、Kは、
「待ってくれ!金は一生かけて払う!あんたの助手になってでも!」
思わず口走ってしまった。しかし、男はニッと笑うとそのまま立ち去った。
果たして、男は借金取り達の首を携えてKの元へ帰ってきた。
「仕事はした。後はお前の身体で払え」
以来、Kは雇い主の為に仕事をしている。
「ご主人様の為なら、俺は……」
と、そこへ家の前に黒い手紙が届いた。新たな依頼だ。
「ご主人様が起きる前に準備しとかなきゃな……」
Kは再び準備をし始めた。こうして、
Kの忙しい日々はまだまだ続く___
最後まで、読んでいただきありがとうございます!
本当はもっと長くしたかったんですが、文字数が…