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6 じっちゃんのダメ押し


衝撃···ショック··精神的ダメージ·····。


この心をなんと表せば良いのか·····。


椅子にもたれかかり項垂れる青髪の少年の背中をさするニーファが無言で励ます


だが椅子の少年の顔に生気はない


なぜだ····なぜこんな事に·····ッ····。


始まりは30分程前·····







「ふんふふーん····」


ザクザク


ノリノリで鍬を振るう青髪の少年、ご存じレイ・ロストである。


時刻は3ジール···地球で言う所の3時を回った頃·····。


春まっただ中の村はポカポカ陽気に包まれている。


よいさーこらさーよいさーこらさー·····


ザクザクザクザク


「ふー、今日はこれくらいでいいかー。」


いやー、働いた働いた。


今日耕した分の畑を眺め上機嫌なレイにしばらく働きっぷりを見ていたじっちゃんが話しかける。


「おう、終わったかの?」

「うん」


そうかそうかと頷くじっちゃんが真面目な顔をする。


じ、じっちゃんが真面目だ!

何時も陽気なじっちゃんがこんな真面目な顔するなんて·····


まさかっ!!


「また賭けに大負けしたのか!?」

「しとらんわいっ!」


じっちゃんが怒鳴るが、実際少し前に村の寄合の後に始まった博奕で大金を擦ったので全然説得力が無い。


ちなみにこの世界の通貨はこうだ


=====

白金貨(金貨100枚)

金貨(銀貨100枚)

銀貨(銅貨10枚)

銅貨(銅銭10枚)

銅銭(石銭10枚)

石銭

=====


····とまぁこんな感じだ。

少し差はある様だが大体石銭1枚が1円と同じ位の価値みたいだ。


うちの村は他の村より少しデカいので通貨があるが、基本近所は物々交換なので使う機会はあんまりない。


じっちゃんが賭けで失ったのは銀貨30枚、単純計算で3万円の損失だ。

これにはばっちゃ·····母さんも大激怒。

大乱闘の末にじっちゃんは右腕を骨折した···。


あれは恐ろしかった·····。


「聞いとる?ねぇ、ワシの話し聞いとる?」


おっといけねぇ·····。


「まぁ立ち話もなんだし、一旦家に入るかの····そこのニーファちゃんもじゃ。」


歩き出すじっちゃんの呼びかけにニーファが木陰から立ち上がる。



リビングに入ると、人がたくさんいた。


といっても3人だが·····。


1人は母さんで、他の2人はニーファの両親だ。

何度か会った事があるのでとりあえず挨拶をしておく。


「さて、皆そろったみたいだね·····」


俺達3人が椅子に座ると母さんが口を開く


「今日は2人に伝えなきゃならん事がある。」

「お前にも関係ある事だよ、ニーファ。」


話の始まりそうな気配にニーファの父親が座り直す


白髪のキリッとしたイケメン男性·····。

ふむ、なかなかやるではないか。

····だが俺の方がイケメンだぁ!どんまい。


·····と心の中ではいつも通りだが、上辺はちゃんと真面目な顔をしているレイにじっちゃんが話しかける。


「お主らはそろそろ10歳じゃろ?」

「まあそうだけど·····」


なんか嫌な予感が·····。


「お主ら2人が11歳になったら学園に行ってもらう」

「「!?」」


ニーファと顔を見合わせる


ガクエン?それってあの学園?


·····。


俺は無表情だしニーファも無表情なので、場に謎の空気が漂う


だがいい姿勢でポーカーフェイスを使っているこの少年レイは内心では·····


異世界学園か·····。

なるほど確かに面白そうだ。

·····が、この世界には魔王がいるらしい。

つまり学園に行けば魔王軍と戦いにetc.·····


·····めちゃめちゃ考えてた。


しかし


「学園に入学するには高度な魔法の技術が必要じゃ」


あ·····。


「だから今日から特訓を·····レイ、ど、どうした?」


オデ、魔法使えない·····。

ガクエン、行けない·····。

·····なんかショック。


「俺魔法使えないよ?」

「「···え?」」


しょうがないから皆に伝えとく事にした。

じゃ、学園は諦めて村で平和に暮らすか!


「待って·····」


椅子から立ち上がろうとした俺をニーファが止める


「レイは魔法使える·····」

「いや、使えないよ?」


「でも小石浮かせてた·····」


言ってしまったか····超能力の事は言わない事にしてたのに·····。


何故って?


「詳しく聞かせて?」

「物を持ち上げる魔法ねぇ?」


ゴゴゴという擬音を発してじっちゃんとばっちゃんが俺を睨む


「うちの娘と学園に行きたくないと?」

「そう取ってもよろしくて?」


心無しか····というかニーファの両親も何故か怒っている


「·····何故隠すのかの?」

「だ、だって····」


絶対こき使われるし·····。

物を持ち上げる能力なんて言ったら絶対そこの孫の手取ってとか言われんじゃん·····。


特にじっちゃん。


「まぁとにかく!2人で学園に行くって事でいいかな?」


ニーファの両親が何か言ってるが俺には聞こえない


くっ···幸い超能力だという事は気づかれてない。

物を浮かせる魔法だと思われているのか·····。

それならそれで···いや、駄目だ。

絶対孫の手取らされる·····。

いっそ超能力だと明かすか?

いやその方が····。

いやダメだッ。

くそう·····。

潔く孫の手を取るしかないのか?


「決まりじゃの」

「これからも娘をよろしくお願いします」


だめだ挽回出来そうにない·····。


「じゃ、決まりって事で。またねレイ君。」

「またね」


ニーファの両親の挨拶に定まらぬ返事を返しながらも考える


「ふー、伝えられてよかったわい····あ、そこの孫の手取って」


うわぁぁあぁぁぉぁぁッ!!


こうして俺は椅子に項垂れる事になったのである·····。

高評価、ブクマよろしくお願いしますm(._.*)m

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