23 力が欲しいか?
「ふふふ·····フッフッフッ·····なぁアサヒよ、力が欲しいか?」
「欲しいぜ!」
即答したアサヒに、水撒き用の水を柄杓でぶっかける。
「敬語を使えぇぇぇ!!」
「は、はい!」
顔を拭って、いい返事をするアサヒをキッと睨みつける。
「俺は雑魚だ、と大声で叫べ!」
「っ!?ってめェふざけぶるろぉ!?────」
憤って立ち上がりかけたアサヒに、真正面から水をお見舞いする。
「何がテメェだぁぁ!師匠と呼ばんかぁぁい!!」
「くそ師匠がぁぁぁ!ぶっ〇すしてやるぅゥ!!─────へぶぅ!?」
アサヒが立ち上がるより一瞬早く、レイがバケツを取って水をかける。
「さぁ!俺は雑魚だと大声で叫べ!」
「ちくしょおおぉぉぉ!俺は雑魚だぁぁぁ!」
「····よろしい」
おっといかん、ついニヤケてしまった。バレてないかな?
とりあえず、ビーチチェアの敵討ちで、屈辱的な事を一通り叫ばせた後で、場所を変えることにした。
「さて、修行を始めようか。」
「は?今までのは?なぁ、今までのはなんだったんだよ!?」
アサヒが、若干の絶望の混じった瞳でこっちを見ている。
「人に聞くな、自分の頭で考えられないのか?」
「····グッ!」
哀れなアサヒを無視して、立て付けの悪い家屋の扉を開ける。
─────ここは、村のはずれにある空き家だ。
元は薬草小屋に使われていたのだが、村に商人が来て、定期的に薬草を買っていくようになったので、使い道がなくなったのだ。