19 俺は生きるぞぉぉ!!
どうも、レイです。
ただいま現場は混乱を極めています。
巨大化した狼に立ち向かうのは我らがシャムロック····本気を出して金色に輝く姿はまさに勇者!
対するは魔王軍の中核、巨大化狼のヴォルグ!
本気の2人の戦いはまるで神話を見ている様です!
この戦い、一体どうなってしまうのか!?
以上!現場からでした!
「レイ··ダメ····」
ピンクの髪をした少女が、俺の服を引っ張る
「イヤだァァ俺は帰るんだぁ!」
おい二ーファ!手を離せ!
殺人狼と一緒の空間に居られるか!俺は帰るぞッ!
明日には旅館で刺殺されてそうなフラグを立てて家に帰ろうとする青髪の少年を、二ーファが服を引っ張って引き寄せる。
「·····なんで逃げるの?」
なんでって!?
危ないからに決まってんだろォ!
俺死ぬよ!?何か目ェ付けられてるっぽいし!
「さっきは戦ってた····」
いや、あの時はスライムだと思って·····。
「····今他の敵が出てきたら····誰が守るの?」
二ーファの指さす先には、キノコ狩りに付いてきた子供達が固まって震えていた。
いや、散々子供達って言っておいて何だけど俺達と同年代だからね?
むしろアリサとか若干歳上だよ?
·····。
「だから俺は帰るぞォォ!!」
更に強く服を掴まれた
くそう、なんて力だ·····。
うおっ危ねぇっ!
目の前を横切った斬撃にビビった俺は、渋々アイリスの後ろに隠れて戦いを見守る事にした。
狼は今や満身創痍だ。
体には大量の矢が刺さり、失った右腕の付け根からはこれまでの戦いで、かなりの量の血が流れ出ている
出血多量のせいなのか、戦い方もさっきより乱雑さが目立っている様だ。
しかし、満身創痍なのはシャムロックも同じだ。
服は血と土に汚れ、所々が斬撃によって裂かれている
纏っている黄金のオーラは自然治癒の促進効果があるようだが、それでも尚消えない傷があちこちに刻まれている
アイリスもだ。
怪我こそしてはいないが顔色が悪い、飛んでくる斬撃を防ぐ結界を張り、シャムロックに回復魔法をかけるのにかなりの魔力を消費しているからだろう。
····俺もなにか手伝った方が良いだろうか?
シャムロックが放った矢と、ヴォルグの斬撃が高速でぶつかり合う
····目で追えない。
うん、やっぱり俺は観戦してよう·····。