12 スライム並の強さだと思った·····
「小僧共、俺が怖いかァ?」
狼男が震える子供達の前に立つ二人に問いかける
2メートルは優に超える体躯に、黒い針の様な体毛が全身に生えている。
狼男はズラリと並んだ牙を覗かせて歪んだ笑みを浮かべていた。
え?これなに?
え?これがコボルト?じゃないよね?
流石にこんなに強そうなのがコボルトじゃないよね?
·····ねぇ?
「ククク··だが安心しろ、俺が用があるのは──」
狼男が指さしたのは、俺·····じゃなくてその隣の二ーファだった。
「······」
二ーファをチラ見するが、いつも通り無感情なので何を考えているのか分からない
「という訳だ、何もしなければお前達に手は出さない。俺の····いや、陛下の為にその小娘は消えねばならん」
犬鼻を押さえて笑う狼を見て青髪の少年は、
「フクク····あーはっはっはっ」
大笑いした─────
「小僧ッ、何がおかしいィ!」
苛立ち爪を構えて威嚇する狼男
フクク·····ククククク····。
なぁんだぁそういう事かぁ·····。
驚かせやがって·····。
恐れることはない、だってあの狼男は───
「お前はスライムだッ!」
「何だと小僧ォォォォォォォ!!」
フヒヒッ、残念ながらこの森にスライムとコボルト以外のモンスターはいない。
何故ならこの森····特に森の浅い所は食べ物がほとんど無い。
なので、いるのは何でも食べれるスライムと少ない木の実を食べて凌ぐコボルトだけなのだ。
食べ物が少なく、動物の類もそれ程多くないので、魔物は進化出来ない。
住んでいるコボルトも他の地域の個体より小さい
そうだ。
進化するだけの栄養分が無いので、コボルトの上位個体では無いだろう。
ならなんだろうか?
そこで俺は気づいた。
·····スライムが擬態しているのだと····。
やばい敵じゃ無かった事に安堵する俺·····
えーと····確かスライムは擬態が出来て火に弱い·····だっけ?
見るからにやばそうな殺気を放つ狼男を前に、スライムの倒し方を思い出そうとする少年
ちなみに狼男がスライムであるという説の確証は無い。
·····というか普通スライムは擬態出来ても喋れないのでこの狼男はスライムでは無い。
少年の勝手な決めつけを侮辱と捉えた狼男が唸る
「よく覚えておけ!俺の名は魔王軍、黒狼団師団長!黒毛のヴォルグ・ガロドルフ!」
狼男が爪を光らせて右手を振り上げる
牙を揃えた口が残虐な笑みに歪む
「お前が人生の最後に聞く名前だァッ!」
黒い腕が、振り下ろされた───────
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