10 キノコ狩り②
倒木に生えているキノコを摘み、背中の袋に入れる
「のっこのこーのーキノコーこのキノコのこっのー♪」
のこっこのこのキノコ、このキノコのーー···。
·····。
·····キノコ採取飽きた。
半分近くまでキノコが詰まった袋を地面に下ろし、木の根元に寝転ぶ。
キノコの袋を持った皆が集まってくる
「取ったよ~」
子供達が寝ている俺の横に袋を置いて各々で休み始める。
隣に置かれた袋を見て思う
なんで俺に渡すんだ·····
「ね、ねえレイ君···」
茶髪の女の子が声をかけてくる
この子はええと確か·····アリサか·····。
「どしたの?」
「あの!良かったら魔法を教えてくだ「レイ····そろそろ帰る時間·····」
「·····」
アリサが泣きそうな顔をしている
え?なんて?
二ーファに遮られて聞こえなかった
「今何か言った?」
「い、いや····なんでもない···です···」
「?」
何故か悲しげなアリサに疑問符を浮かべながらも、そこらで遊んでる子供達に声をかけて帰り支度を始める。
木々の隙間から見える空は既に日が落ちかけている
こりゃ早く帰んなきゃ····村の大人の計画通りになっちゃうぞ。
この遠足はじっちゃんに進められて来たのだが、出発前にじっちゃんが、「わしが初めて倒したのはコボルトじゃたっけ?」
だとか、村のおじさんが「おらはスライムだっただ」
とか不穏な会話をしているのを聞いてしまったのだ。
まず間違いなく魔物と俺達を戦わせるつもりだ。
おお、こわいこわい·····。
こうして帰路に着いた俺ははしゃぐ子供達を連れて、胃を軋ませながら森を引き返し始めた