1 池ポチャ転生
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
レイ・ロストは、前世の記憶の全てを思い出した。
·····池の底で。
「あばぼばぼぼッ!ブクブク····プハッ」
た、助かったぁ····。
·····まさか亀を捕まえようとして池に落ちるとは·····。
池から這い上がり、大きく息をつく。
どちらかというと水たまりに近い大きさの池を覗き込むと、ツヤのある青い髪に青い瞳の美少年がこちらを見ていた。
·····誰?···いや俺か。
頭に霧がかかっている様だ。
おかしいな、俺は家でラノベを読んでいた筈なんだが·····。
おかしな事に、今俺の頭には記憶が2つある。
1つは日本の高校生としての記憶、そしてもう1つは異世界(今の世界)の住人であるレイ・ロストとしての人生····。
前世の自分や家族の顔と名前は覚えていない。ついでに言うと死因も。
何で死んだんだろう?
だが今世の記憶はある。
俺の名前はレイ・ロスト、王国の外れに位置する村、オルタ村に住んでいる7歳男児。あとイケメン····多分。
ここが王国の端っこだって事は知っているが王国の名前は分からなかった。
池の前に座り、頭の中を整理する。
今の俺の人格は高校生だった頃の記憶が元の様だ。
レイ・ロストの記憶を漁る。
孤児で親はいない、赤ん坊の頃にこの村で見つかり村長の子供として育てられる。
特に特殊な経験はしていないようだ。
他の村人と同じく畑を耕して作物を育ててたまに肉を取るために狩りに行く。
他の村との争いも無く平和な生活。
そして村の皆は····。
俺の思考が止まる。
池の前に座った少年の目が見開かれる。
凄まじい形相をしているため周りから見れば恐怖でしかないが、本人は気付いていない。
そして村の皆は···魔法が使える····。
頭にかかっていた靄の様な感覚が消える。
ハッキリと目覚めた俺の脳が最初に考えた事は、
「···異世界キタァァァァァァ!!」