№3 闇に蠢く鬼
すわっ!オニっ!
ローリアンとララは、その日の昼にエルフ国を発った。
隣国ディオラまでは、半日の道のりだ。
だが、それは一般的なエルフの移動距離であり、精錬された萌狩隊の隊長と副長にとっては、その半分6時間ほどで到着する。
2人は道なき道を駆ける、駆ける。
「隊長」
「何でしょう」
「エルフの国には精霊の加護を受けた駿馬がいます。何故私たちは駆けているですか」
「何故だか分かりますか」
ローリアンは逆に聞き返す。
「・・・分かりません」
「ひとつ隠密行動であること、馬の蹄の音は気取られやすい・・・そして」
「そして?」
「作者がうっかりしていた」
「・・・まさか」
「そのまさかです。あの男は慌てて言い訳がましく、ここにさし込んでいるのです。もっともな理由をつけてね・・・」
「成程です」
「ええ、だから我々は走るしかないのです」
2人は納得しあうと集中し、さらに加速する。
「隊長」
ララはローリアンに呼びかける。
後方の副長を振り返る隊長。
「あの大木」
「ふむ」
2人はスピードを緩める。
「報告にあった・・・失踪現場の大木では」
「ララ詳細を」
「はい。エルフ国より40里(157㎞ぐらい)、ディオラより10里の離れの場所」
「よろしい。ここですね」
ローリアンは即座に理解し、失踪場所を特定すると、2人は足を忍ばせ大木の周りを捜索する。
夕闇が迫る時刻となっていて、辺りが赤く染まる。
大木はゆうに高さ10mは超え、幹の太さ周り3mはある
周りは見晴らしの良い場所となっていて、大木以外目につくものはない。
「ここが失踪現場ですか」
ローリアンは顎に手をやり、訝しがる。
「・・・そう・・・ですね」
ララも腑に落ちず頷いた。
失踪するにしても、あまりに目につきやすく、忽然と消えたサニーの説明がつかない。
夕陽を浴び、伸びる黒い影がローリアンとララの目に映った。
影の頭部には角がある。
「ララ」
「はい。隊長」
一閃。
2人は大きく左右に跳ね、無差別な攻撃をかわした。
地面に叩きつけられた金棒が、大量の土くれを飛ばす。
「穏やかではありませんね」
「誰?」
「ぐふふふ」
身の丈、3m、真っ赤な身体に、石立〇男のようなパンチパーマネント、恐るべき目力に、鋭く尖った牙、上半身は裸で胸毛がりりしくヒョウ柄のパンツを履いている。
「私たちの言葉、理解できますか」
「野蛮なモノ」
「・・・・・・があっはははは、弱小エルフよ。我らを知らぬか」
「ほう知能はあるのですね・・・存じませんが」
「はん、言うわ。我は鬼っ!万力と恐怖を司る」
「オニ・・・」
ララは呟いた。
思えば、どこのわ○めじゃ!




