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クリスマス、決意、新たな暮らし

「お……お兄ちゃん! そ、その……大好きです!」

 年も終わりに近づき、皆が忙しそうにしている中で雲雀は俺にそんなことを言った。

「俺も好きだぞ、で? それがどうかしたか?」

 俺だって好きだし、改めて言うようなことでもないだろう。

「で、ですから……私はお兄ちゃんを異性としてみています……ごめんなさい、気持ち悪いですよね……」

 言ってることは分からないでもない。いや、その現実は大体知っていて目をそらしていたという方が適当だろう。

 気持ちは嬉しい、ただそれに流されていいものかとは考える。

 果たして想いに応えてそれでハッピーエンドとなるだろうか? 世間はろくでもないことに溢れている、兄妹に向ける目は決して温かくはないだろう。

 だけれども……俺は……

「そうだな……俺も好きだぞ……その……女の子としてな」

「お兄ちゃん……うぅ……ぐずっ……へぐっ……ごめん……ごめんなさい」

 それはもう言葉にできない気持ちがあふれ出していた、『俺は』どんな結果になったとしても受け入れることはできる、だが……コイツはそれでいいのだろうか?

 言ってしまった言葉は取り消すことができず、ただ淡々と俺たちに罰を与えるのだろう。だとしても、今の正直な気持ちに嘘をつきたくなかった。

「大丈夫……大丈夫だから」

 俺は妹……いや、雲雀をギュッと抱きしめた。

 頭の奥でチリチリとここで引き下がれと理性が口を挟んでくる。それを押しのけて雲雀を抱きしめる手に力を入れた。

 朝……そう、何事もない朝。

「お兄ちゃん! ご飯ですよ!」

 今日は十二月二十五日、クリスマス、俺たちは部屋で小さなパーティをした。

 俺と雲雀以外誰もいない、二人きりのクリスマスパーティは俺と雲雀の新しい生き方の決意を固める日だった。

 きっとこの先ろくでもないことがたくさん……たくさんあるのだろう。何があろうと、誰であろうと、俺と雲雀をどんなに非難されようとも、俺たちは二人で生きていくと決めたのだった。

 ……数年後

「お兄ちゃん! ほらほら、大学に遅れますよ!」

「代返頼むわ……」

「起きろー!」

 バサリと布団を引き剥がされ、寒気が身体を包む。

 俺たちは同じ大学に通いながら二人暮らしをしていた。「この方がお金がかからないから」と言って両親を説得し、俺たちは見ず知らずの場所で、二人で生活を始めたのだった。

 これからの希望も絶望も、どっちもたくさんあるだろうが、きっと「二人」ならやっていけると確信をして生きていくのだった。

駆け足ですが完結しました。

お読みいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

またどこかで別作品で出会えたらと願って物語を閉めさせていただきます。

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