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魔女に幸福を  作者: ホタテ
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2023/1/12 全文改稿

「誰って……今の今まで一緒に掃除をしていた同じクラスの者ですが……」

「うぜぇ。知るか。ついて来んな。失せろ」

 え……えぇ……マジかこいつ……

 思ってたのと違うんだが。

「ゴミ捨て行ってもらうの悪いと思って、俺も……」

「ごちゃごちゃうるせぇな。こっちはさっさと終わらせて帰りたいんだよ。お前がどう思おうが俺にはどうでもいい」

 そう言って、軽くショックを受けている俺などお構いなしにスタスタと歩いていく。

 くっ……負けてたまるか!

「一個持つって!」

 無理矢理ゴミ袋を一つ、玖雅から奪う。

 ものすごい目でにらまれた。

 負けるものか……

「お前……殺されたいのか……?」

 怖!

 何でゴミ袋一個持ってやっただけでそんなことを言われなきゃいけないんだ。

「さっきあいつらにも言われてただろ。魔女だから関わらないほうがいいんじゃないのか」

「聞こえてたのか!?」

 地獄耳かよ!

「俺は魔女とか気にしてないし、普通に玖雅と喋ってみたたかっただけなんだけど」

 素直に伝えると「意味がわからない」という顔をされた。

「何なんだお前は。ストーカーってやつか?」

「何でそうなった!?」

 脅されるわ、ストーカー呼ばわりされるわ……

「何なんだお前は」はこっちのセリフだ。

「同じクラスになったんだしさ。仲良くなりたいって思うのは普通のことだろ」

「何が普通なのか俺にはわからない」

 何でだよ……

「同じクラスになったからって言いうのも意味がわからないし、仲良くなりたいっていうのも意味がわからない」

 冗談とかではなく、玖雅は本気で言っているようだった。

 何だ……この違和感……

「海斗。その子にお前たちが抱く感情を伝えても無駄だよ」

 背後からハスキーな声が聞こえて、体をブルっと震わせた。

 いつの間にか、背の高い女性が俺たちの後ろに立っていた。

「先生……」

 この学校の教頭先生だ。

「クレハはお前たちとは違う生き方をしてきた。お前たちの常識は通じない。だから教えてやってほしいのさ」

「おい、ババア。余計なお世話だ」

「ほらみろ。この口の悪さ」

 それは本当に口が悪いだけだと思う。

「俺たちとは違う生き方って?」

「お前、本当に死にたいのか?」

 ――またそうやって脅す!

「よしなさい。クレハ、お前はいい加減クラスメイトたちを仲良くするということを覚えろ。せっかくの高校生活を無駄にする気か」

「うるせーババア。向こうから魔女だの何だのつって仕掛けてくるんだろーが。全く。低レベルなやつらめ」

 玖雅がそっぽ向くと、先生は大きなため息をついた。

「私の予想外なことが色々と起きてな……元々曲がっていたこいつの性格がこの通り、ますますねじ曲がってしまった」

 人の性格にケチつけんな! と、玖雅が噛みつくが無視される。

「予想外なこと?」

「クレハが魔女であるということが周囲に知れ渡ってしまったのさ」

 知られても問題ないんだがね。と、先生は付け加えた。

「この世界では魔女の存在はよく思われていない。多くの誤解が生じている。私をはじめ、他にも魔女はこの学校にいるとは言え、クレハのようにここまで強大な力を持つ子どもを受け入れるのは学校としては初めてだ。正しい知識を持たぬままクレハの正体が知れ渡ってしまった結果がこれだ」

 クラスメイトたちは玖雅を無視――イジメが起きてしまったというわけか。

「せめてしおらしくしていればいいが、クレハはこの通り傲慢だしな……」

 先生の悩みのタネに玖雅はいよいよ襲いかかりそうになり、俺が必死に止めるのであった。

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