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北へ(5)

 ジーンが先導し、すぐ後をカベルとカシアを乗せた馬が行く。最後尾でアルは馬車を進めた。左手に見えていた海が消えて森が現れる。ミソサザイのリズミカルで優雅なさえずりに、ジャスミンの香りが道を横切る。道端のハコベに小さなオレンジの蝶が羽を休めている。牛が足を折りたたんで日光浴をしながら口を動かし続けている。地面に埋まった大きな石に乗り上げると馬車が大きく揺れると、ペトラが短い悲鳴を上げた。


「すみません。大丈夫ですか?」

「大丈夫、変な声を出してごめんなさい」

「石に乗りあげたんです。道がよくなくて」

「スメイアはいいところだと思います。ベルメランクにはこれよりも酷い道がたくさんありますから。私も久しぶりに馬車に乗ったものですから油断していました」

「ベルメランクはあまり詳しくないんですが、大きな都市をいくつも造っていると聞きますよ」


「それは誤解です。ベルメランクで大きな都市と呼べるものは三つです。帝国首都のネレフ、ジーレック要塞とそれに連なるザンドルク、それと南にあるジェディフです。そのどれもがガフィール州です。ガフィール州はドニ人たちの土地なんです」

「皇帝ロムルスもドニ人ですよね?」

「そうです。三つの都市以外に続くのはカッサ・ヴィグ、メレーベ、ストルク、レグラールなどがありますが、どれも先の三つには到底及びません。私たちが住むインメルス公爵領のカッサ・ヴィグは比較的良い方なんですけれどね」

「それでもスメイアよりは精力的に開発をしてるんじゃないですか?」

「どうなんでしょうか。でも、こんなに穏やかな日々を感じたことは久しくありませんよ」


 アルは笑った。「戦争をしている国同士なのにですか?」

「そうです。私たちミゲーロ人は、ベルメランクではどうしても息苦しい思いをしているんです。お嬢様をメナスドールへ連れて行く事になったのも、戦争でドニ人に負けたせいなんですから」

「負けた? 確か、統一は対等なものだと思っていました」

「表向きにはその通りですが、事実、エスマルド国はガフィール国に負けたんです。統一合併時にガフィールは州として名前が残りましたが、エスマルドはナトエラ州となりました」

「大変だったんですね……すみません」

「アルさんが謝ることではありません。仕方のないことです。それが戦争に負けるということなんですから」


 太陽が空を赤く染めるまでペトラの話は続いた。カシアの家――インメルス家とは言わなかった――に雇われたいきさつ。そこに雇われていた料理人と母が同郷で昔からよく知っていたからだった。夫と姉が戦争の犠牲になったこと。甥っ子の面倒を見ていること。病気の母親の話。そしてカベル・アルヴァンについて。


「彼は十五歳で騎士団に入団したそうです。エスマルド国時代の話です。当時はレッジ様の父上、ゼノ・インメルス様がご健在でした。タウリ・ヴェニウス男爵の甥で、子どもの頃から男爵に剣術を仕込まれていたそうです。騎士団に入ると、すぐに戦争が起こって参戦したそうです。そこで武勲を上げると順調に出世しました。同時に疎まれるようにもなったそうです。ある時、同じ騎士団員相手に刃傷沙汰を起こしてしまい、番兵として地方を転々としたそうです。ベルメランクが建国されてからもしばらくは同じような状況だったそうですよ」


「僕は別に彼の話はあまり興味がありません」

「あのような顔で、あまり表情を変える人じゃありませんから誤解を受けやすいと思いますけど、そんなに悪い人じゃないんですよ」

「そうですか?」

「今だってほら、お嬢様の面倒をしっかりと見ていますから」


 カシアがミソサザイのさえずりにも負けない朗らかな声を上げて笑うのが響く。


「機嫌が直って良かったと思います」

「まだ、ほんの子どもですもの。ぐずったりするのは当たり前です。それをきちんと対応してくれるんですから、あの人は立派な騎士様だと思います」


 気付けば一匹の野良犬がアルのすぐそばを一緒に付いて来ていた。グレーの短毛種で毛先に泥が固まっている。アルが少しスピードを上げると、やはり犬も付いて来た。


「番兵をやっていた人が、なぜいきなりお嬢さんの騎士になったんですか?」

「それは……私にもはっきりとはわかりません。彼は数カ月前にやはり番兵としてやってきました。初めて会った時は私も怖いと感じました。青白い顔で無表情でしょう? 他の人もあまり彼には近寄りませんでした。そのまま一月ほど過ぎたある日、お嬢様とボール遊びをしている彼を見たんです。その話はすぐさま家中に広まりました。ですけど、誰も事のいきさつを知るものはいませんでしたし、本人に聞こうとするものもいませんでした。そこで私がお嬢様の部屋を掃除している時、お嬢様に意を決して訊ねたんです。『なんであの人と遊ぶの?』って。そうしたら、お嬢様は笑顔で答えてくれました。一人でボール遊びをしていた時に、誤ってボールが外へ飛び出していったそうです。そうしたらそれを野良犬が咥えて持って行ってしまい困っていたところ、彼がボールを取り返してくれたそうです。それ以来、遊ぶようになったそうです。どんな人にも、良いところがちゃんとあるんですよ」


 後ろを付いて来ている野良犬に、ペトラは気づいていなかった。アルは御者台の足元に転がっていた石ころを拾うと、それと知られぬように犬の足元へ投げつけた。驚いて見をすくめた犬は立ち止まると、後ろを振り返って来た道を戻っていった。


「そうですね」


 アルが後ろを振り返って野良犬を探ると、そこにはもう姿はなかった。その日は、鹿が一頭飛び出してきた以外は何事もなく、休憩もせずにほとんど一日中歩いていた。そのせいで、次の日になるとカシアが「お尻が痛いから、馬に乗るのはもういい」と言った。アルはようやく自分の馬に乗り、カベルは御者台へと乗り込むと、その馬車を傭兵二人が前後で挟んだ。


「昨日、気づいたことがある」

 アルはジーンの命令により単騎で先行し索敵を行っていた。カベルは遠ざかるその背中から目を離さずにいた。カシアとペトラは荷台であやとりをしている。


「何ですか?」


「あれはハイセルの馬だ」


 ペトラは驚きの声を上げ、手に構えていたあやとりの紐を乱してしまった。それに対してカシアも驚きと非難の声を上げた。

「それは本当なんですか?」

「間違いない。頭のすぐうしろ、たてがみの奥の傷を確認した」

「あの人の馬が、なぜ?」

 ペトラは荷台から身を乗り出した。カベルはなだめるように彼女を押し返す。

「事情を聞いてもらえないかしら」

「もちろんそうしよう。相手は若いが傭兵だ。金で話をつけられるだろう。それが駄目でも……」

「アルと言ったわ。あの人はきっといい人よ」

「どうだろうか。それはまだわからない。万事においていい人がいるとも思えないな。特に傭兵のような人種にはな」


 ペトラは困惑の表情を浮かべ、そんな彼女の手をカシアがはたいた。

「ねえ、ちゃんとやって。取れないでしょう」

「ああ、カシア様。ごめんなさい」


 アルが合流すると、すぐさまジーンと相談を始めた。それから馬を休めるために休憩を取ることにした。前日の疲れからか馬の動きが鈍くなっていた。

「ここからしばらく民家がありません。野宿をすることになります」


 アルがベルメランクの三人に向けて言うと、カシアが不安な眼差しで大人たちを見回した。


「本当なのか?」

「ああ、あれを見ろ」

 ジーンが南西を向いた。一キロほど先に煙の上がるのが見える。

「あそこがこの辺りでは最後の一軒だ」

「戻るの?」カシアがそっと言った。

「戻ったとしても、結局四日くらいは野宿することになる」

「……それならば、さっさと進んだほうがいいな」カベルはアルが馬を遊ばせているのを見ていた。

「お嬢様、仕方ありません。我慢なさってください」


 カシアは決まり文句のように不平を言ってみせると、足元の石を蹴飛ばした。石が転がっていく先にアルがいた。


「ねえ、遊んで来ていい?」

 カシアは座っているペトラを見る。ペトラはカベルを見る。カベルはアルを確認するとうなづいた。

「……気をつけてくださいね」


 カシアはアルの傍に駆け寄ると二人で何やら話し始めた。二人は連れ立って馬をなでたり、花を摘んで匂いを嗅いだりした。ジーンは離れたところで一人時間を潰していた。三十分もするとカシアは飽きたのかペトラのもとへ戻り、ハムのサンドイッチと牛乳で簡単な食事を済ませた。再度出発するとカシアは馬車に揺られてすやすやと寝息を立て始めた。

 ルビーを透かしたような赤い光が空に広がる。羊雲が東へ向かって流れていく。アルたちは原っぱに立ち止まった。水辺が見当たらずペトラは困った。


「あんたとお嬢ちゃんは少し飲んでも構わないが手持ちの水は、まず馬にやるんだ」


 ペトラはジーンに言われた通りにカシアに水を与えたが、自分は飲まなかった。アルは落ちている枯れ木を集め、ジーンとカベルが馬の面倒を見ていた。


「川まではどれくらいなんでしょうか?」

「明後日には行き着くと思う」

「明後日ですか……」

「我慢してもらうしかない」


 ペトラは自らを納得させるように何度もうなづいた。「そうですね、ないものは仕方ありませんもの」

「二、三日行くとシンの森という大きな森林地帯に入ることになります。そこならば清水が流れていますよ」アルが両手いっぱいに抱えた枯れ木を地面に置いた。

「民家はありませんか?」

「どうでしょう、なかったと思いますね」

 アルが火を熾す。火は一気に燃え上がる。その様子にカシアが声を上げて喜んだ。

「わあ、すごい。ねえ、私にもやらせて」

「カシア様、火遊びはいけません! 火傷してしまいます」

「……ケチッ」


 ペトラはその一言に火がついてカシア目がけて走りだした。カシアは逃げ出そうとしたが、あっという間に捕まるとペトラの怒声が響いた。カシアがふてくされている中、ペトラは諭すように説教を続けた。二人が焚き火に戻ると、誰も一言もしゃべらずに食事を終えた。カシアが就寝すると、ペトラが口を開いた。


「すみませんでした。言い聞かせないと駄目だと思いまして」

「いえ、気にしないでください」

「本来ならば、私のような人間がお嬢様にお説教など以ての外なのですが、奥様から仰せつかっておりますから」

「奥様ってどんな方なんですか?」

「とても優しいお方で、怒る姿を見たことはありません。とてもお嬢様をかわいがっているんですが、その点が心配なのです」

「お嬢さんは一人っ子ですか?」

「いいえ、兄が一人おります。奥様はご病気がちでして、そのせいもあるのですが……教育係のばあやが口説いているんです。親も叱らないとって」

「大変な役割ですね」

「必要なことですから、私は何とも思いません。それがお嬢様のためになるんですから」


 アルは焚き火の番をしながら深夜にそっと馬車をのぞいた。遠目からではっきりとしなかったが、カシアの穏やかな寝顔が見えた。アルはジーンと交代するまで、夜の孤独と乾いた木々を火にくべ続けた。


「何も問題がないのはいいですね」


 もうすぐシンの森に差し掛かるだろうという頃、アルは思わずそう口にしていた。旅はゆっくりと進められていたが、アルの言う通り順調だった。その前日に行商に出会い水と食料を分けてもらったが、特にカシアの要求は沐浴だった。二日は我慢していたが、三日目ともなるとペトラに何度もしつこく話していた。ペトラ自身も心の底からそれを望んでいたが、謝るか、なだめるか以外にできることはなかった。


「雨のひとつでも降ってくれればいいんですが」


 木々が視界に増え始め、道の縁に灌木から出た枝や扇のようなシダが顔を出していた。先頭を行くアルが手を上げて馬の速歩を止めた。

「どうした?」

 訝しむカベルに、アルは上げた手をそのまま顔の前に下ろして人差し指を立てた。カシアが口を開けて身を乗り出している。道の先に弓を構えると上体を動かした。矢が放たれると鷹の鳴き声のような音を上げた。アルは二射目を整えながら拍車をかけた。同時にふいごを吹くような音が響いた。道が左に大きく曲がった先にイノシシが倒れていた。アルの矢が側頭部から貫通していた。馬車が追いつくとカシアが飛び降りてきた。


「何? どうしたの?」


 黒い巨体を前にカシアは興味を惹かれていた。アルがイノシシから矢を引き抜き足を縛った。カシアは獣の口から覗く牙を恐る恐る突っついた。アルは笑いながらイノシシの唇をめくってみせた。


「すごいでしょう?」


 カシアはうなづくと、さらに牙を突っついて硬い感触を楽しんだ。アルはイノシシの口を開いて歯を確かめた。

「これは大体、三歳くらいだよ。イノシシは初めて?」

 カシアは再びうなづいた。「食べたことはあるけど、見たのは初めて」

 アルがイノシシの短毛をなでてみせると、カシアも手を伸ばしてなでた。少し硬い毛に少女は驚いた。

「よく鞣すといいものになるんだよ」

「そうなんだ……これはなに?」

 カシアはユズリハの実に似た黒い玉のようなものをアルに見せた。

「ダニだよ」


 カシアは濁った小さな声を上げてそれを投げ捨てると、手を服で擦った。アルは病気の心配はないと受け合って、イノシシを馬車に積み込んだ。


 アルがイノシシを狩ってから気付けば空は灰色に変わっていた。雨の気配はなかったが、水に浸かっているような雰囲気に包まれていた。分かれ道に朽ち果てた木の標識があった。それを左に進む。すると一軒のあばら屋が見えた。

「どうします?」

 馬上でアルとジーンがあばら屋の様子をうかがう。

「井戸はあるのか?」

「どうでしょう、ここからじゃわかりませんね。僕が見てきます」

「気をつけろよ」


 アルは馬を降りると身を屈めながら近づいていった。カベルがジーンを呼んだ。


「何をしている?」

「あの建物が使えるかどうか、アルが探っている。少し待ってくれ」

「先を急いだほうがいいんじゃないか?」

 ジーンは空を見上げた。空は一面の曇り空だったが、その色も薄くやはり雨の気配はない。

「井戸があれば、と思ってな」

「それは助かります」


 ペトラも馬車を降りてくると、服についたゴミを払った。


「今はどれくらいのペースなんでしょうか?」

「予定通りだと思う。問題ない」

「それじゃあ、ちょっと休憩するくらいいいんじゃありませんか?」


 突然、馬車から脳天を突き刺すような甲高い悲鳴が響く。カベルとジーンは同時に剣を抜いた。カベルは全速力で駆け出し、ジーンはペトラの前に出た。カベルは突きの構えで馬車に突っ込んだ。錆びついた扉を開けたたような悲鳴が響くと、後ろから飛び出した。馬が驚いて後ろ足で立ち上がるが、ペトラは構わず馬車に駆け寄った。


「お嬢様!」


 メイドが悲痛な叫びを上げると馬車から少女が飛び降りてきた。ペトラは彼女をひしと抱きとめる。カシアは恐怖に震え、大粒の涙がこぼれ落ちた。ジーンが大声でカベルに声を掛ける。カベルは周囲を睨むようにしながら右手に剣を、左手にグールの死体を持っていた。成人男性よりも一回り大きい頭には太い血管が何本も浮かび、潰れた鼻はイモムシのように見える。耳は大きくウツボカヅラを思わせ、双眸は黒く白目がない。その顔の毒々しい様子は苦悶に歪む病人のようだった。肩まわりの筋肉が大きく発達し、全部分が長い。指は四本で、そのどれも牙のように太い爪がついている。カベルの剣はそのグールの眉間を一撃で貫いていた。


「逃げろ、魔物の巣だ!」


 アルの姿は見えなかったが、声だけが響いた。カベルは泣いているカシアとペトラの肩を抱くと馬車へ乗せた。すぐさま馬車は元来た道を走り出し土煙を巻き上げる。ジーンは馬に乗ってアルを待った。カベルは振り返ってジーンを見た。

「行ってくれ、すぐに追いつく!」


 カベルが馬に鞭を入れると、大きく馬車は揺れて加速した。ジーンは五秒待った。焦れる心を抑えて待つその五秒は、長く長く引き伸ばされていく。木の板同士がぶつかる大きな音に馬が反応した。足踏みする馬の足音、喉の乾き、木に止まる羽虫、茂みが揺れる。ジーンはそれを見ると馬の腹を蹴った。アルは背後に目をやりながら道に飛び出す。ジーンは左手を差し出しながら、アルに向かって行く。木の陰から飛び跳ねる無数のグールが見えた。

「アル!」

 アルは振り返ると、ジーンはすでに目の前に迫っていた。出された腕をつかむと、身を翻してジーンの背中に乗り込んだ。直後に木の上からグールが一体飛びかかってきた。ジーンは瞬時に反対側に体を反らすと、グールの左脇を突き刺した。グールは小刻みに痙攣し、口を大きく開けて絶叫した。ジーンが大きく剣を振る。魔物は地面に叩きつけられ、きりもみしながら馬の後方に転がった。そこでジーンは馬を急転回させる。馬が唸りながら土煙を上げた。道にはグールの群れが飛び跳ねている。ジーンの拍車がかかり馬は猛然と魔物の群れに突っ込んだ。アルは矢を放っていた。一射目は一匹のグールの足元へ――グールは怯み、腕を引っ込めながら身を縮こませる――、二射目は別のグールの右肩を捉える。三射目は灰褐色のニレの幹に突き刺さった。ジーンは馬が魔物に怯えるのを許さず毅然とした掛け声を響かせる。鳥の巣で騒ぐひな鳥のように大きく口を開けて叫ぶグールの群れにジーンは突撃していく。


「十二!」


 アルが背中から叫ぶと、ジーンが剣で右手の茂みを示す。


「十五!」


 槌のような腕を構えていたグールどもの中を、馬の蹄鉄が振り下ろされる。とっさに顔を隠すもの、飛び退くもの、道を開けるもの。すれ違いざまに、ジーンとアルはそれぞれ二匹のグールを斬りつけた。欲望にかられて飛びかかるグールは空振りに終わり、着地すると体が二つに分かたれていた。十秒も経たないうちにアルの馬を捉える。ジーンが手綱を緩めると、アルは馬を両手で押し出すように飛び降りる。自分の馬にかけ乗り、アルはジーンと馬を駆った。カベルたちにはすぐに追いついた。女二人は落ち着きを取り戻し、騎士は相変わらず悠然と構えていた。


「悪かったな、ケガはないか?」


「こちらは問題ない。これからどうする?」


「少し戻ってから迂回しましょう」


 再出発してからは、アルが先行して索敵し、グールを一匹殺した以外に魔物に出会うことはなかった。暗くなる頃に、海を望む崖の上に出た。そこから北上すると十メートルほどから二十数メートルの高さの崖に囲まれた小さな浜辺に下りる道を発見した。アルが捌いたイノシシ肉で夕食を終えると、女二人は打ち寄せる静かな波音に身を寄せ目を閉じた。

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