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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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メラの村のメイラ

亜人種の蜥蜴男(とかげおとこ)をかろうじて倒した、嵐・守護(らん・がーど)満身創痍(まんしんそうい)だったが、ダンディグス医師とメイラのおかげで一命をとりとめた。そして一行はついにメラの村に着いたのであったが、、、

ガタン、ガタン、ガタン


嵐・守護(らん・がーど)がうなる。

「う、うう~」


メイラが心配そうに顔をのぞく

「お気が付きましたか?」


今にも泣きだしそうな顔で声をかけてくる。

半泣き状態のようだ。


(らん)「ここはどこだ、、、」


「!あの蜥蜴野郎はどうした!!」


ダンディグス医師が御者をしながら振り向き、声をかけてくる「落ち着きなされ、もう大丈夫じゃよ。あの亜人種はお前さんがやっつけたのじゃよ」


幌馬車の中だった。

 

ダンディグス医師が手綱を握り、後ろを見ながら

「どこか痛むところはあるかの?」


俺は蜥蜴野郎(とかげやろう)に切り刻まれ、全身から血を噴き出していた。


・・・はずだった


矛に貫かれた、左腕を見ても何も傷は残っていなかった。

他の手足や体中切られたはずの傷がが何処にもなかった。


ただ、すごく体が重くかったるかった。

頭もなんだかぼうっとしていた。


(らん)「傷が無くなっている、血も出てねぇ」


ダンディグス医師が前を向いたまま答える。

「お主には感謝しないといかんな、お主がいなかったらわしらは2人とも殺されていたからのぅ」


「傷はワシが治して、メイラが復活再生治癒の術をかけたのじゃ」


「メイラは白魔術の治癒再生能力に優れた力を持っているのじゃ」


「ただ、お主自身が戦いで失った真甦まそは貯まるまで時間がかかるじゃろうから横になっておりなさい。もうすぐメラの村じゃ」


嵐・守護(らん・がーど)はメイラに向かって

「ありがとうよ」と言う。


メイラは慌てながら、手足をばたつかせて言う

「わ、私の事などより、命を助けていただいた(らん)さんに心からお礼申し上げます。」


顔を赤くして、半泣きの状態だ


メイラはかなり内気なんだな、今時珍しいくらい純粋なのだろう。


ぼうっとする頭でそんなことを考えながら


(らん)「ちょっと横にさせてもらうぜ」


ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。


2時間ほど馬車に揺られただろうか?


馬車が大きく曲がり角を曲がると、そこは行き止まりだった。


(どういうことだ?俺は寝っ転がりながら不思議に思った)


ダンディグス医師が皆に声をかけてくる。


「着いたぞよ、メラの村じゃ」


(らん)「なんだって、行き止まりじゃねぇか!」


ダンディグス医師「メイラ道を繋げておくれ」


メイラが馬車の前に立ちなんか呪文のような物を唱える。


メイラの体からうっすらと(もや)の様物が出る。


すると行き止まりだった所に道が、、、現れた。


(らん)「どんな手品だ?」


メイラが微笑みかけてくる「ようこそ、メラの村へ」


「どうぞ、お通り下さい。」


一行はメラの村に入っていった。


(らん)はすぐに感じた。

「なんだ、この瘴気のような物は」


ダンディグス医師が言う

「この瘴気が毒の根源じゃよ」


「おそらく、退治した魔物が吐き散らかしたのだろう」


「メイラ、頼むぞ」


メイラは馬車から降り、両手を上にかざして言霊を唱える。

「メラの村が村長の娘、我メイラが、敬神アスラスに申し上げます。」

「御身の御霊にて悪しき気を(はら)い、黒き(よど)みを白く清浄なるものに戻しこの地に安息を招きたまえ」


メイラの体、全身が光り輝き、メイラを中心にリング状のように光が四方に大きく広がる。


ブ~ン、ブ~ン、ブ~ン

2度、3度、4度、光は村全体を覆う。


(らん)は驚いた。

メラの村からは瞬く間に瘴気が消えうせた。


村人が集まり始める。


「メイラ様だ」


「メイラ様がお戻りになられた。」


歓喜で俺たちは村人に向かいいれられた。


村長だという背の高い痩せ男が、駆け寄ってくる。

「お帰り、メイラ」


メイラが村長に抱き着く

「遅くなってすいませんでした、お父様」


村長が愛娘を愛おしく頭をなでる。

「ダンディグス医師もご健壮で」


「メムラ村長も、無事で何よりじゃ」


「毒消しの薬を持ってきたから早く感染しておる者から飲ませやるのじゃ」


「わかった、すぐに運ばせよう」


そばにいた男たちに声をかける。

「重傷者から早く薬を飲ませてやってくれ」

村人達はすぐに馬車から薬を運び出す。


メムラ村長が俺に目を向けて

「彼は?」


ダンディグス医師が答える

「わしとメイラの命の恩人じゃよ」


メムラ村長が俺に歩み寄ってきて右手を差し出してきた。

「娘が、お世話になったようですね。ありがとうございます。」


「私はメラの村の村長メムラと言います。」


(らん)は差し出された手を握らず物騒な目でメムラに話しかける。


「毒を吐く魔物の死骸はどうした?」


メムラは少し驚きながら答える

「村のはずれに」


(らん)は「案内してくれ」


メムラ村長は少し動揺しながら「し、しかしもう死んでます。」


(らん)は重ねて「この目で確認したい、頼む」


「わかりました。」


メムラ村長も(らん)が何か気になっている様子を悟るとすぐに小走りに案内した。


メイラとダンディグス医師も続く。


村のはずれに着くと皆が一様に驚いた。


5メートルはあろうかという大蛇に、手足をはやした魔物がいくつもの槍に刺されて死んでいた。


手や足には鋭い爪が並び、口は大きく鋭い牙が無数に生えていた。


胴回りは大の大人が4人くらいで手を広げて繋いだ太さだった。


何よりも異様なのは怪物の肌だろう、紫色の液体を体中から汗を噴き出すようにぬめっている。


いかにも邪悪そのものだ。


ダンディグス医師が走ったせいで息を切らせながら、驚愕してメムラに話しかける。

「よくこんなバケモノを倒せたな」


メムラ村長が「この村には、聖なる祠から作られる、神槍があるからな」


「しかし、村人は5人も殺された」


(らん)が話に割って入る。

「みんな下がってろ、こいつはまだ生きている。」


「毒を吐いているぞ」


「「「!!」」」


魔物のいかにも邪悪な目がうっすらと開き、牙を無数にはやした口を大きく開け瘴気を吐こうとする。


轟ごぉーーー轟


爆炎が魔物を焼く。


(らん)が右手を左手で支え片膝をつきながら、掌から炎を吐きだす。


炎が赤から灼熱のオレンジにそして閃光の青に温度が上がる。


「グワァーアァァ」


魔物は完全に一瞬で、灰になって飛散した。


(らん)が両膝をつき荒く息を吐き、両肩を何度も上下させていた。


メイラが急いで駆け寄ってくる

(らん)さん!!」


肩を貸して、(らん)が倒れるのを支える。

「無理のし過ぎです。いくら強くてもそんな無茶をしたら死んでしまいますよ。」


(らん)が額から汗をかきながら「おりゃ、頑丈だけが取り柄だ。心配すんな」


ダンディグス医師「お主にまた助けられたようだな」


メムラ村長が叫ぶ

「こちらの若者を私の家までお連れするのだ」

村人達が即席の担架を作り、(らん)を運ぶ。


(らん)が思う

「とんだボランティアになっちまったもんだ」











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