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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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新兵面接

不死鳥騎士団創設の多忙さにかまけている所に、一番怖い人が再度現る。

「その書類は、財務局提出、お願いします。」

「城の図面一部変更の打ち合わせの時間を決めて下さい。」

「入団希望者への通知は早目にお願いします。」

リューイがそれぞれ指示を出し、国務長官よりお借りした、有能な文官達が世話しなく動き回る。


黒曜天宮傭兵棟2階を全部借り切り、不死鳥騎士団創設に向けて違う意味で戦場と化していた。


リューイはこういう戦場でも有能さを発揮していた。そこへ不死鳥騎士団団長が入ってきた。赤髪の身長195センチの長身に獰猛そうな眼付きが印象的で存在感のある男である。


「よう、リューイどうだ調子は?」

気さくな感じで声を掛けてくる団長だが、リューイはボソッと尋ねる。

「レィリア様の方は片付いたんですか?」


「あ、ああ大丈夫じゃねぇ?」

(まだ片付いていないなこれは、、、)

リューイは話を変えて「騎士団の構成なんですが、すべて新兵と言う訳にはいきませんから【火の民】戦士を3千、新兵を2千で一般に募集をかけた所、何人の応募があったと思います?」


「3万人くらいじゃねぇ」

「それがですね、25万人も応募があったんですよ。」

「25万?そんなに騎士になりてぇのかね?」


そこにリスティアード皇太子殿下が颯爽(さっそう)と入室してくる。

「それだけ、帝国騎士に(あこが)れていたという事だね」生活の為、出世欲、権力欲いろいろな入団希望理由があるだろうが、何といっても【帝国騎士への憧れ】が一番多い理由だろう。


「それでランガードどういう基準で、合否を決めるの?」


「かなり個性的な騎士団にしてやるから、楽しみにしてろや大将」


「わかった、楽しみにしているね」

っと、そこへ一番会いたくない人が現われる。

「こちらにいらっしゃったのですか?殿下、お探ししましたよ」声が低いんだけど、、、レィリア金獅子近衛騎士団団長である。


サッと!滑るように皇太子はレィリアの前に滑り込み、優雅に右膝を付きレィリアの左手を自分の両手でそっと優しく支えるように持ち、手の甲に口付けをする。


レィリアの顔がパッと赤くなる。


「君にも心配かけてすまなかったね、以後注意するから許してくれるかい?」

(こいつ女たらしの天才だな、、、)


レィリアは(ほほ)を紅色に染めて、「い、以後気を付けていただけるなら、、、」


「ありがとう僕の大事な一振りの剣」と言い、立ち上がりそっと抱きしめる。


レィリアの顔は真っ赤になっていた。

(あんた騙されてるぜ、あねさんよぉ~)


レィリアを優しく抱きしめる王子の顔が俺を見てウィンクしてきやがる。

「じゃ、そういう事で、僕は陛下の所に行くね」と退出して行った。(めでたしめでたし)


っと、俺は振り返った所に、蹴りが真っすぐに飛んで来た。

顔面に直撃して二転して吹っ飛び束になって(うずたか)く積まれていた書類を散らばしながら豪快に吹き飛ぶ。


「あんたはこれで、許してあげる。」


レイリアは誇らしげに武神将を表す。純白の長い外套(がいとう)(ひるがえ)し、長くて真っすぐな金髪を揺らしながら部屋を後にする。


リューイがすっ飛んで俺に駆け寄る。「生きてます?」(そこは大丈夫ですか?だろ)


レィリアの蹴りが、見えなかった!鼻血を出しながら、「見えたか?」とリューイに尋ねるが、「精霊の力を使っていましたよ。僕でも見えませんでした、あれをかわせる人間はこの世にはいないでしょうね」


「武神将ってのは化け物ばかりだな」

(人の事言えませんよ、族長も充分化け物の部類です)


声に出しては「仕事の話なんですけど、入団希望者25万の内書類選考で2万人まで減らそうと思うんですけど、どういう基準にします?」


鼻血を拭きながら「貴族の子弟、金持ちがいる身内、傭兵経験者、武道場通いや剣を握った経験がある奴は全部ダメな」


「それでは、本当の素人の集まりになりますよ」驚きながら言うリューイの目が開いていて、可愛いなこいつとふと思ってしまう。


「それでいいんだよ」


「2万まで減らしたら、直接会って面接な、日取りが決まったら連絡くれよ」鼻血拭きながら出て行く。

(あの蹴りくらって、鼻血で済むんだから充分化け物ですよ、、、)


黒曜天宮の通路を歩いていると、見知った顔の女性が20人位歩いてきた。

「よう、メイラじゃねぇか」


手を前に組、丁寧にお辞儀をして「まぁ、ランさん奇遇ですね、丁度これから傭兵棟に(うかが)う所だったんですよ」後ろの20名はメラの村の者達だ、見覚えがある。


「どうした?」俺が不思議そうな顔で、聞くと鼻血がつ、つ、つぅ~と流れた。(まだ止まんねえのかよ)


メイラが慌てて「ランさん、怪我なさってるじゃないですか」


「大丈夫だ、こんなの怪我の内に入んねぇよ」腕で血をふき取る。


「駄目ですよ、衛生的にもよくありませんよ、ちょっとだけ横になって下さい。」


メイラは優しくて気が弱いくせに、こう言う所は頑固なんだよなぁと思いながら、黒曜天宮の回廊で横になりメイラに膝枕してもらう。(ちょっといいかな?)


メイラの手が青く光り、ランガードの顔に当てられる。

ピタッと鼻血が止まった。

(相変わらず、すげぇ治癒能力だな)


「こんな宮廷内で逢引(あいび)きはまずいぞ!ランガード武神将」銀鷲騎士団団長のオーガス・ビスマルクが幕僚5人連れて、たまたま通りがかったのだ。


不死鳥騎士団お披露目の宮廷舞踏会で知り合った数少ないランガードの戦友だ。


俺はサッと起き上がり、ちょっと顔を赤くしながら「ちげぇよ、鼻血が止まらねぇから治癒してもらっていたんだよ」


くっくっと笑いながら「鼻血が止まらんとは、若いな。溜まってんのか?」


俺は顔を真っ赤にしながら「ば、馬鹿言ってんじゃねぇよ、こりゃ、レィリアにやられたんだよ」


「宮廷のマドンナ、レィリア・アストネージュ武神将に目を付けるとは、貴様新人にしては良い趣味をしておる。」うんうん自分で頷いてるよこいつ、ぜってぇ勘違いしてるぜ


もう言い訳するのも面倒くさいから、ほったらかしていたらオーガス・ビスマルク武神将が急に真面目な顔になり俺に顔を近づけてきてささやくように

「最近帝国、北にある氷雫連山(ひょうだれんざん)方面の雲行きが怪しいようだぜ気を付けときな」いうだけ言って、手を振りながら立ち去って行く。


氷雫連山(ひょうだれんざん)?」ランガードは何かひっかかる物を感じた。


メイラが心配そうに俺の顔を覗き込む。


「ああ、すまん、ありがとうな」挨拶をして立ち去ろうとするとメイラが

「待って下さい。私共、メラの村治癒隊も不死鳥騎士団に配属が決まりました。」


「おおそりゃありがたい、傭兵棟の2階にリューイがいるから会ってやってくれ、俺はこれから財務局に呼び出しくらってんだ、またな」走り去っていく俺をメラの村の人々は「相変わらずですね」と微笑みながら見送る。


そしてあっという間にひと月が立ち、書類選考に残った2万人の面接日である。


特別に黒曜天宮連兵中央広場を借りて面接を行う事にした。

【火の民】1500名が面接官となり入団希望者2万人を5千人にまで絞り込む。


入団希望者も全員平民。当然黒曜天宮の連兵中央広場に入る事も始めてだ、皆 物珍しさと未来を夢見て感慨にふけっているようだった。丸一日がかりの面接だった。というより2万人の面接をよく一で終わらせる事が出来たもんだと自分でも感心する。まぁ、事前に【火の民】には選考基準を明確に伝えて有、入団希望者2万人が並んでいる状態で、【火の民】1500名が見て回り、その場で半数は落選した。


残る1万人に対して【火の民】1500名が一人ずつ入団動機や特技、性格、、、、などなど見定めていく。


時間短縮の為、入団希望者には申し訳ないとは思うが、アースウェイグ帝国開国依頼初めての試みであった為、落選者はその場で言い渡された。


黒曜天宮連兵中央広場の面接会場の一角でもめ事が起こっていた。


もめ事の原因の男は入団試験に不合格とされた、身長2メートル近く、体重も100キロは有りそうな、巨体の持ち主だった。

その者の言い分によると隣の身長175センチくらい体重50キロもないのではないかと思えるひょろひょろの青年が面接を通過して、自分が落とされる理由がわからないというのである。


たまたまその面接官がリューイだったのだ。


その大男が吠えたてる「ぜってぇ納得できねぇ!!」隣の細身の青年に向かって指を差しながら「この、もやし小僧が通過できて俺がどうして不合格なんだよ!」


リューイが感情を込めずに「静かにして下さい。きちんとした基準にのっとって合否を決めてますので、納得ください。」


大男は「そんじゃ、その基準とやらを説明してもらおうじゃないか」


「それは出来ません。」感情を込めずにリューイが答えるが少し苛立ちを感じているようだ、、、


「それで納得しろって言われても、無理じゃねぇか~!」相変わらず大声で怒鳴る。(こういうタイプの男は一番嫌いだ)


「そこの青年と木刀で試合させればわかるんじゃねぇか!」


赤い髪の長身野獣の様な武神将本人であるが、ゴチャゴチャした武神将の装束は肌に合わず、いつも深紅の鎧と大剣だけを帯びた格好だ(誰もこの人が武神将だとはわからないだろうなぁ)


「おお、いいじゃねぇか!そいつが一番てっとりばやぜ」大男が大声で叫ぶ(なんでこんなの選考に残ってるんだ?)


ランガードが細身の青年の所に行き木刀を渡す。

「名前は何という?」

青年はいきなりの展開で、自分が何故あんな大男と試合しなくてはいけないのかかなり動揺しているようだったがしっかり

「フーカ・セロと申します。」としっかり答えた。

ランガードは顔を近づけて「フーカ、全ての力を解き果て」と耳元でささやくとスッと後ろに下がった。


その間に【火の民】達は連兵中央広場に丸く円の試合場を作る為、人並みをよけさせ、場所を確保していた。


ズンズン!大男が木刀持って歩んでくる。一歩歩くごとに地面が揺れるようだった。体が大きすぎて、木刀が小さく見えるほどであった。


フーカと名乗った青年は木刀など今までに持ったこともないような剣の構えさえまともには出来ていなかった。


「では、二人中央へ」リューイが審判をやるらしい


ズンズン人を威圧するような歩き方(品がないとリューイは思う)


フーカはまだ、覚悟が決まらないらしい、、、構えに動揺が見える。剣先も少し震えているようだ、、、


「両者とも構えて下さい。良いですか?」リューイが発する声は相変わらず感情がこもってない。


「いいぜ!」「はい、よろしくお願いします」

と二人から返事が返ってくる。


「始め!!」リューイが叫ぶと同時に大男が木刀を力任せに横に一閃。


バキィ!!


フーカの胴にまともに入った。2転、3転して吹っ飛ぶ、フーカ。口からは血を吐き出し、目から涙が出る。


大男が更に吠える「おらおらー!!」襲い掛かる

BUN!

小さく見える木刀を倒れているフーカに振り下ろす。

フーカは必死で左手を出し木刀を腕で受ける。

BOKI!

「ぐわぁ!!」フーカが叫ぶ。


木刀を受けた、フーカの左腕の骨が折れた。肘から先があらぬ方向を向いている。


リューイがランガードを見る。

ランガードは腕組したままピクリとも動かない。


その時、フーカに変化が起こった。

フーカの回りを風が舞い始め、フーカの目が白く光っている。


大男は最後の攻撃を上段で真上からフーカに向かって木刀を打ち下ろす。


フーカは初めて右手で木刀を振った!

瞬!!一陣の風が(やいば)の如く、大男に襲いかかる。

打ち下ろそうとしていた大男の木刀は粉みじんに粉砕され衝撃をくらって2メートルの巨体が吹っ飛ぶ。


フーカが次の一閃を放とうとした時、「やめろ、お前の勝ちだ」と言ってフーカの右腕を抑えたのはランガードであった。


「メイラ!治癒を頼む、そっちのでかいのにもしてやれ」

ランガードは叫びながら、崩れ落ちるフーカを抱きしめて

「よくやったな」

「あ、ありがとうございます、、、」意識が飛んだフーカである。


優しくそっとフーカを寝かせてやると直ぐにメイラが治癒を始めた。

俺は入団希望者全員に届くような大声で

「不死鳥騎士団というのは、体の大きさや、力の強さ、生まれや育ち、貧乏、金持ちそういうのは一切関係ない!」


「我団に必要なのは心が強く、人を助ける優しさを持つ者だけだ!帝国の為に命を捨てる覚悟の無い者は今すぐここから立ち去れ!」


「わかったか!」


「「「「はいっ!!」」」」


2万人が一斉に返事した。

立ち去る者はいなかった。




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