ロリーデ・ガルクス准将
ロリーデ・ガルクス城主との真剣試合は壮絶なものとなり、勝者は・・・・
明朝にロリーデ城主と真剣試合を控えた前夜。
嵐・守護はベッドに横になって目を閉じて念じた。
(メイラ、そこにいるのか?)
メイラは直ぐに返答してきた。
(はい、ランさんどうしたんですか?)
俺はかなり疲れていたが、気を振り絞り念じた。
(村長が用意してくれた馬が死んだ。)
(・・・・)
俺は経緯をメイラに伝えた。
メイラは優しく答えてくれた。
(お馬さんはランさんの事が大好きだったんですよ)
(ランさんの清浄なる炎で送ってあげたのですね)
(あまり気になさらないで下さいね。きっと、お馬さんも喜んでますよ)
嵐・守護は悲しい気持ちをそのまま念に乗せて
(すまねぇ)
体力の限界がきて、悲しい気持ちのまま寝てしまった。
ー 明朝天気も良く爽快な朝であった。
ヴォルグス砦は早朝から、大勢の兵士で賑わっていた。
中央広場では多くの兵士がぐるりと中央広場を取り囲んでいた。
俺は深紅の鎧と幅広両刃の大剣で完全装備をして、広場中央で待っている。
ズン!ズン!ズン!
遅れてロリーデ・ガルクス城主閣下がすごく大きな馬?
に乗ってやってくる。
白い鎧に自分の背丈よりも大きな大きな白い盾を持っている。剣は普通の平剣だ。
兵士達がざわつく
「ロリーデ閣下は元金獅子近衛騎士団のいでたちだぞ」
「あの盾は相変わらずすごい迫力だな」
ミハムも最前席に陣取り応援している
「嵐さん頑張って!!」
「ロリーデおじさんも負けないで!!」
城主が先に話しかける
「お待たせしたね、嵐殿」
驚いた顔で尋ねる。
「何だいそのでかい馬は?」
ロリーデは優しく諭す様に話す。
「これは竜騎馬というんだよ」
通常の馬より1周り以上大きい体格にびっしりと体中に生えた鱗が銀色に輝く。
顔は馬のそれではなく名前の通り、竜に近い何よりも額から伸びた角が一角獣のように特徴的だ。
城主が語り掛ける。
「アースウェイグ帝国騎士団が大陸最強と言われるのは何故だかわかりますか?」
「いや」
ロリーデは淡々と話を続ける。
「アースウェイグ帝国人は近隣諸国人と比べると大柄であり力が強い事が一つ」
「そして騎士の中には、いろいろな真甦を持った者が多く、いわば特殊能力者が多いという事ですね」
「中でも12人の武神将はけた外れな強さを持ちます。」
「あと、この竜騎馬です。」
「竜騎馬はアースウェイグにしか生息しておりません。」
「竜騎馬はご覧のようにとても大きく強く鱗は剣では切れません」
「そして、竜騎馬は自分で主を決め、生涯1人しか持ちません。もし、その主が死んだ場合は2度と人を乗せません」
「ですから、竜騎馬に認められないと帝国騎士にはなれないのです。」
「この三つが大陸最強を誇る理由です。」
俺は感心しながら、竜騎馬に歩み寄る。
「竜騎馬って言うのか、始めてみるな」
ロリーデ・ガルクス城主の乗る竜騎馬の頭をなでてやる。
竜騎馬はおとなしくしていた。
「!」
城主が驚く、
「竜騎馬はそれほど人懐こい動物ではありません」
「初対面で顔をなでさせることを許す、この子を私は初めて見ました」
「やはりあなたは普通ではないようですね」
俺は普通に犬でもかわいがるように
「そうか?強そうでかわいいじゃねぇか」
竜騎馬の方から顔を寄せてくる
「よしよし」たてがみをなでてやる。
ロリーデはあきれ果てながら
「もう、何が起きてもびっくりしないようにします。」
「では試合の前に話しておきましょう」
「嵐殿は【火の真甦】の中でも能力が強い【炎の真甦】をお使いですね」
「ああ」
「私は【土の真甦】の【鉄鉱石の真甦】を持ってます。」
「試合は真剣を使いますが、命の取り合いはしません。」
「それで、よろしいですか?」
「ああ、それでいい」
ロリーデが竜騎馬から降りながら
「では、始めるとしましょう」
ロリーデ・ガルクス城主は純白で、大きな盾を左手に持って正面に構えながら、嵐・守護と対峙した。
嵐が獰猛に言う
「手加減なしだぜ!」
「望むところです。」
嵐が先に大剣を抜き放つ。
城主は盾を前面に構え、剣は抜かない。
嵐が息を一気に吐き出しながら剣を打ち込む。
「はっ!!」
右斜め上段から真っ向勝負に切りかかる。
ガキィーン!
ロリーデの大盾にはじかれる
団々、嵐の目が獰猛になっていく
「どんどん行くぜ」
嵐は連続して全力で大剣をふるう、2撃、3撃、4撃
ガン、ガン、ガン。
嵐の豪奢な赤髪が逆立つ。
攻撃は全て盾に防がれてしまう。
っと、その時ランが炎の玉に変わって
・・・消えた
ロリーデの反応は早かった。
「!!」
ロリーデ城主の後方に火の玉が現れ人型となる
ボウ。
すぐさまランは大剣で嵐は切りかかる。
ガキィン!!
城主は見事な足さばきで180度回転してランの攻撃をまたもや防いだ。
ロリーデ城主はまだ、剣を抜かない。
嵐は額に汗をにじませながら
「亀みたいなやつだな」
獰猛に吐き捨てる。
嵐・守護の体から炎が全身に吹き出す。
持っている剣も轟々と燃え盛る。
上段から燃えさかる大剣で切りかかる。
ガキィン。
またもやはじかれる。
嵐は本気のフルモードで攻撃を仕掛ける。
「それなら、これならどうだ」
掌から青い灼熱炎玉をロリーデ向けて3連続で打ち込む。
純白の大盾は青い炎もはじいた。
続けざま、炎を身にまとい燃え盛る大剣を何度も何度もロリーデ城主の盾に叩きつける。
10回。20回切りかかるが、ロリーデ城主はびくともしなかった。
「どりゃーーーー」
嵐・守護が燃え盛る大剣を純白の大盾に押し付けて力任せに押し続ける。
「ぐおぉおおお」
じりっ、じりっとロリーデ城主が下がり始める。
「な、なんと、力で押してくるとな」
ロリーデ城主の額から汗がしたたり落ちる。
始めて、城主が剣を抜き放つ。
突如、ロリーデ城主の盾の中央部分に穴が開き、その穴から剣が嵐に向かってまっ直ぐ向かってくる。
嵐はかろうじて剣の切っ先を交わしたが態勢を大きく崩した。
城主は盾を左手で斜めに持ち直しながら、右手で剣を持って一気に攻勢に転じてきた。
態勢を崩しながらも、嵐は左足を軸にして思いっきり右足でロリーデ城主の右手を蹴り飛ばした。
城主の剣が手を離れ空を飛ぶ。
ロリーデはすぐさま盾を正面に持ち直し攻撃に備える。
すると、ランは大盾に向かってまたもや左足を軸にして右足で回し蹴りを盾に向かって放つ。
ドン!!
盾が浮いた。
すかさず、ランは下から再度、純白の大盾を蹴り上げる。
大盾はロリーデ城主の手を離れ宙を舞った。
嵐は燃え盛る全身と大剣を持って躍りかかる。
「もらったぜ!!」
その時、ロリーデの体が真っ黒に全身変化する。
全身黒光りの鉄鉱石のようだ。
突っ込んでくるランに対してロリーデは黒光りの体で炎も剣もはじき肩からタックルする。
完璧に決まったカウンターだった。
嵐は吹き飛び、2回転して広場に倒れて動かなくなった。
ロリーデ城主の勝利である。
わぁー!わぁー!
兵士たちは喝采を浴びせる。