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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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モリビス大森林前の開けた大地には、【火の民】【砂漠の民】戦闘部隊が約2万名。復活したエルフ族入れて約3万2千名、治癒部隊等、合計約5万2千名ものランガード軍団が、深緑を背にして展開していた。


悪しきエルフより、生まれ変わった金髪で秀麗なエルフ族3万名は意識は戻ったが、戦うまでには回復していない、それに武具も無い。


己が主君ランガードが、残った同胞7万名を連れて戻った時の救助のために、炎真甦戦士達の後方に佇んでいた。

それを指揮するのは、見目麗(みめうるわ)しく誇り高いエルフ族女王エーリア・ティンクルだ。


火の真甦の強者共(つわものども)の脇には、無敵の帝国騎士、不死鳥騎士団が控えていた。

中には、リューイの恋人で最強真甦を持つ【天の真甦】所有者リンも静かに、闘志を燃やしていた。


そして、残ったこのランガード軍団を指揮統率するのは、妖精王がキルヘッシュ・アクティアである。

妖精族150名を従え、この地に結界を張りエルフ族と共に純白の甲冑に金色の装飾がされた、見事なまでに(まばゆ)い姿で佇んでいた。


絶対的恐怖ドラゴンに怯え、パニックになり散り散りになった、10万名ものヒト達は、姿は既に見えず逃亡の際に、怪我を負った者や押し倒され残念がらも亡くなった者たちの救出、埋葬は完了していた。


後は強爆(ごうばく)の炎王ランガード・スセイン一行の帰還をただ待つのみであった。


そして、その頃ランガード一行は、リューイに(つか)まり超神速で猛々(たけだけ)しく聳え立つ(そびえたつ)連なる岩山の上空をヒトの目には、写らない速度で飛んでいた。


岩山の東側、始めて見る景色であったが、一同はその異様さに驚愕の念を感じえなかった。


岩山の西側、砂漠王国がかつてあった側から見た、岩山連山はいたって普通の標高3千メートル級の高々と聳え立ち、屹立している堂々とした景観であった。


しかし、その裏は、、、、



漆黒の闇に包まれた、まるで異世界の様な有様は、黒い霧が立ち込め視界を奪っていた。


何よりも只よらぬ感じは、纏わりつく邪悪な意思のような空気というか、呼吸するだけで吐き気をも呼び起こしそうな、ねっとりとした悪寒さえ感じるその空間の中に感じた。


「これは、悪の巣窟そのものであるな」


東海白竜王ベルフェムが、ぼそりと呟く。


「ああ、こりゃかなりやべぇぞ!!悪しき強い力をえれぇ数、感じやがる」


ランガードが、両目を赤々と燃やしながら、不快感をそのまま吐き出す。


「リューイ、悪しきエルフがいる場所までの道は行けそうか?」


「ええ、敵はまだこちらの存在に気付いていないと思います。今なら行けそうです。」


「気を抜くなよ」


「はい。」


超神速で、突き進むランガード救出部隊は、漆黒のネバネバした視界が全く聞かない、霧の中をランガードから教えてもらった、記憶を頼りにやや速度を落とし調節しながら赤い炎を吐き出しながら進む。


全く周囲が見えない状況で、地下に通じる階段を4人は飛んで降りていく。


今のところ、敵の攻撃は全くない。


邪悪で強大な力は、増すばかりだが、、、、


(リューイ、注意しろ敵の気配を感じる)


真魂交信で、伝達する。

声を出すのも、危険な感じで緊張感がより一層高まる。


全く視界が聞かない、漆黒の大地に静かに降り立つ4人、、、


BUN!!


それは前触れも無く突然起こった。


邪血族の攻撃だ!!


咄嗟にランガードが炎の弾幕(だんまく)を張り、敵の攻撃、、、


らしきものに対応する。


何かが、、、


もの凄い速度で飛んできた。


しかし、ランガードの炎の弾幕で全て消し炭となる。


リューイが、炎の真甦を使って明かりを照らす。


な、なんとそこには7万名の悪しきエルフ族の前に立つ。


悪鬼血族10席に座す、残り8人のうち6人がいた。

その中に3強鬼族豪(きょうきぞくごう)(さん)の席に座すル・シュペインが、中央に黒き鎧を纏い二振りの剣を腰に下げ、凶悪な笑顔で佇んでいた。


そして、今のランガード達への攻撃は、考えるも(おぞ)ましい、悪しきエルフを無造作に投げつけてきたのだ!!


ランガードは、敵の攻撃と判断し、悪しきエルフを焼いた。


それは、卑劣極まりない【罠】であった。


ル・シュペインが、横にいる悪しきエルフの腕をつかみ無造作に首を切断する。


「「「「!!!!」」」」


「武器を捨て、おとなしく死ね。さもなくばここのエルフを殺す。」


言いざま、さらに一人悪しきエルフの首を切り落とす。


これは、、、【罠】だ。


先の攻撃で、3万の悪しきエルフを救出する所を見られた結果、こちらの攻撃を読まれてしまったのだ。


残った、7万の悪しきエルフを救出に来ると、、、



あまりに非道な行為にランガードが怒りに燃える。


燃える!燃える!燃える!


「ベルフェム!7万の悪しきエルフを結界に閉じ込めろ!」


「な、なんと!数が倍ではないか!」


白き白竜王にしても、7万の悪しきエルフを水龍の結界に閉じ込めるには、無理がありすぎる。


全ての真甦を使っても、不可能かもしれない、、、


それを簡単にやれッとランガードは言う。


「吸血鬼どもは俺達が相手する!!急げ!!」


「無茶にもほどがあるであるよ」


文句を言いながらも、ベルフェムは聖剣水壁宝龍号すいへきほうりゅうごうを呼び出し、力強く舞う、うねる強流水が地上から湧き上がり、みるみる上空20メートルほどまで舞い上がり咆哮と共に、水龍が出現する。


悪しきエルフの首を描き切ったのは、悪鬼血族5席に座すマギダラ・ゲイッシュという者だった、、、


マギダラ・ゲイッシュはランガードのとてつもない怒りを買い、次の瞬間には強炎で焼き尽くされ、灰も残さず消滅した。


ランガードの両目は、囂々(ごうごう)と燃え上がり、暗闇の空間を赤々と照らし出し、灼熱地獄に変えていた。


ランガードの背からは、炎竜帝の強炎の翼が豪快に羽ばたき火の粉をそこら中に撒き散らし、漆黒の闇の空間から太陽の空間へと変貌させていた。


そして、ランガードの頭上には、炎でできた炎竜帝の顔が燃え上がり出現する。

右手には抜身の魔鉄大剣が、真っ赤に炎を激しく吐き出しながら深紅の刃を炎で超高温にして、触れるだけで消し炭になりそうだった。



あまりのランガードの怒りの勢いに押され、流石(さすが)の悪鬼血族5人も対応に遅れる。

しかし、いち早く自らを取り戻し、強烈な攻撃をかけてきたのは3強鬼族豪が一人、ル・シュペインが双刀の剣を両手で抜き放ち、ランガードの強爆炎に向けて双刀の剣よりいでし、黒き闇を面で張り、ランガードの強烈な炎に対抗する。


闇と炎が激しくぶつかりあい、衝撃が漆黒の空間、、、洞窟のような場所を揺らす。


驚いたのは、リューイとイグシアだ!!


ランガードの【力】に対抗できるものなど、リスティアード皇帝陛下くらいしかいないだろうと思っていたのだから


その(きょ)を付かれた!!


悪鬼血族、残りの4人が一斉にランガードに向けて襲い掛かってきたのだ。


ガシッ!!


ランガードの右方向から襲ってきた悪鬼血族2匹の邪剣を超神速でリューイの燃え盛る愛剣が、受け超神速で押し返す。


左方向から襲ってきた悪鬼血族の2本の剣は、イグシア鷹王の燃え上がる曲刀が、受けすかさず燃える右足で蹴り飛ばす。


見事な連携である。


【罠】にはまっても窮地に陥っても、すぐさま態勢を整え反撃に移れる。


簡単なようだが、歴戦の戦士にしかできない離れ業である。


ランガード達は、悪鬼血族の注意を自分たちに引き付けておきたかったのである。


ベルフェムが水龍結界を張り終わるまで、、、、


そして、結界を張った後は、、、、



東海白竜王【水龍の牙】にして、四海聖竜王が率いる竜王が一人。


白き肌は、透明で双方の目は翡翠(ひすい)でできたような美しさで、体型も女性の様に細く腰も(あで)やかにくびれていた。


普段は、飄々(ひょうひょう)としている、ベルフェムだが今は、全くいつもの彼ではなかった。


双方の目は、透き通るように白く輝き、周囲からは無限の様に大量の水が、沸き上がり、水龍と合体していく。


水龍は、どんどん体積を増し、大きく大きく巨大化していく。


(南海紅龍王も無茶を申すものよ、7万人を一気に連れ出すとは、、、、)


真甦を練り上げ、練り上げ更に水龍をでかく広く大きくしていく。


ランガード達と悪鬼血族の戦いは、壮絶であり派手さにおいては、類を見ないであろう。


双方陣営とも、戦闘の激しさの割には、お互い損耗(そんもう)を出していなかった。


それだけ、3強鬼族豪ル・シュペインの強さが比類なき強力さであると言える。


リューイもイグシアも【炎の真甦】の強者にして、凄腕の使い手である。


ランガードも加えて、天敵である【炎の真甦】戦士相手に互角に戦っている悪鬼血族を称賛するべきだろう。


ランガードがついに吠える


「ベルフェムまだか!!」


「人使いが荒すぎるであるよ。後少しで何とかなるである」


白竜王の頬に伝うのは、大量の汗である。


持ちうる真甦の全て以上を使って、7万人もの悪しきエルフを閉じ込めるのである。


咆哮する馬鹿でかい水龍は、津波の様に悪しきエルフ7万名を問答無用で、乱暴ではあるが飲み込みその結界の中に閉じ込める。


「で、できたである。そんなに持たないであるよ。」


「引くぞ!!」ランガードが吠えるが同時に


「そう上手く行かれてしまっては、吾輩も立場がないので、抵抗させてもらうよ」

3強鬼族豪ル・シュペインは両手に持つ剣より、炎を閉じ込める漆黒の重たい(・・・)霧と同時にリューイの超神速に劣らぬ速さで、ランガードに襲い掛かる。


ガン!!


ランガードの前に、リューイとイグシアが燃え上がる剣で、3強鬼族の3席に座す者の剣を受ける。


リューイが叫ぶ


「族長!!ここは僕らで止めます!!」


「先にエルフ族帰還を優先してください!!」


イグシアも同じ気持ちだ。


この場に残り、悪しきエルフ族とランガードとベルフェムを逃がすために、、、


「時間がありません!とっと行ってください」

リューイが始めて、主君であり敬愛するランガード族長のケツを蹴飛ばす。


蹴飛ばされた、ランガードは親友の【本気】を汲み取り


「おめぇら、すぐ戻るからぜってぇ死ぬなよ!!」


苦渋の表情で、言い切るとランガードはベルフェムの元迄一気に移動し、顔中から汗をたらえ流しているベルフェムの肩に触れる。


7万の悪しきエルフと東海白竜王ベルフェム、南海紅龍王ランガードは、リューイとイグシアをその場に残し掻き消える。



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