ヴォルグス砦
ヴォルグス砦まで逃げ延びてきた。嵐・守護とミハムだが、最後に大切な仲間を失ってしまう。
ヴォルグス砦の城壁に立つ警備兵が叫ぶ!
「隊長、砦前方緑が丘向こう側にて戦闘状態発見!!」
「火災も起こってるもようです。大きな炎と黒い煙が見えます。」
隊長が叫ぶ
「警護団、200名正門前に集合」
「ロリーデ城主閣下に報告しろ」
「警護団、様子を見に出撃、正門開け」
「全警護及び各兵団に通達!」
「緊急戦闘配備!!」
「第1~4兵団広場に集合」
「弓隊城壁上に配置に着け」
一気に隊長は指示を出す。
はじけるように飛び交う兵士達、さすがは大陸最強を誇るアースウェイグ帝国軍。
嵐・守護は死闘を続けていた。
敵は【碧緑の団】残存兵力全てを投入して、嵐とミハムを殺そうと襲撃してきた。
嵐はメラの村でもらった聖鉄でできた、アスラス女神の加護を受けた深紅の鎧のおかげで傷ひとつ負っていなかったが、乗馬は満身創痍。
首や足に無数の切り傷刺し傷があり出血が激しかった。
それでも、メラの村の牡馬は走り続けた。
ミハムは馬の首にぎゅっと力の限りでしがみついていた。
ランはお得意の炎の爆撃と同じく炎の剣戟で【碧緑の団】を翻弄し続けた。
【碧緑の団】の団長が叫ぶ
「な、なんだ!!こいつは」
「バカバカ火を噴き散らしながら、こちらの攻撃は全部無効化されてしまうではないか!」
近くにいた傭兵が叫ぶ
「だ、団長、砦から兵隊が出てきやすぜ!」
「!!」
【碧緑の団】団長が大声で叫ぶ!
「帝国兵が到着する前に、あのガキを始末するんだ!!」
嵐・守護が砦から兵が出てくるのを確認して
「よしっ!」
今までの最大火力をぶちかます。
ドッカ-ン!!轟轟轟
怯む、【碧緑の団】の傭兵達
一気に駆け出す嵐・守護
【碧緑の団】と20メートルほど距離が開く
嵐は乗馬に向かって
「あと少しだ頑張ってくれ」
ブヒヒヒ-ン
馬も嵐に答える。
ヴォルグス砦から先発で出てきた警護団200人に声が届くくらい近づいてきた時に嵐が大声で怒鳴る
「アストネージュ伯爵のガキを守っている」
「保護を頼みたい!!」
ヴォルグス砦から出てきた警備兵の隊長は素早かった
「アストネージュ伯爵、、、金獅子近衛騎士団の、、、」
隊長が支持をすぐに出す
「城主閣下に状況を報告、増援を要請、急げ」
「はっ」一人の兵が砦に向かって戻り走り出す。
隊長は続けざま
「あの先頭を走ってくる、赤い鎧の男を助けるぞ」
「面頬下ろせ」
「抜剣し、盾を掲げよ。」
「突撃!」
帝国警備兵200名はランを助けるため、嵐と【碧緑の団】の間に入ろうとした。
嵐が息を噴き出す。
「どうやら、助かったみたいだな」
「ミハム大丈夫か?」
ミハムは怪我や傷は無かったがあちこち焦げて煤けていた。
「何度も、もう駄目だって思ったよ」
・・・【碧緑の団】団長・・・
「たった一人のガキに俺の【碧緑の団】が、、、」
「25年だぞ、25年。やっとここまで来たってのに」
「クソ、せめてあのクソガキだけは殺してやる」
団長が長弓を乗馬の鞍から取り出す。
矢をつがえて弓を引き絞る。狙いは嵐・守護ではなくミハム。
ランには剣や槍、矢が利かないのは、既に戦闘してわかっていた。
矢を放つ。
BYUN!
俺は砦の兵が間近に来て、油断していたのもあった。
矢が後ろよりミハムを狙って飛んできた。
俺が気付いた時は手遅れだった。
矢はミハムの背中に突き立つと思った瞬間。
乗馬が思いっきり跳ねた!
矢は乗馬の腰に突き立った。
馬がミハムを助けたのだ。
ドウッ
乗馬が倒れる。
俺はミハムを抱き、飛び退る。
帝国警備兵が【碧緑の団】から完全に俺達を取り囲む。
続き、砦から大規模な兵団が出てくる。
俺とミハムは愛馬の顔に近づいた。
「おまえ、ミハムを助けてくれたのか」
「ぶひひっ」弱々しく答える愛馬はまさに体中から血を流していた。
腰に刺さった矢は致命傷だった。
ミハムが泣きながら
「お馬さん死んじゃうの?」
嵐・守護は悲しそうな目をして
「ああ、ミハムお前を助けるために自分から矢を受けたんだ」
ミハムは泣きじゃくりながら
「そ、そんな死んじゃいやだよぅ」
大粒の涙が、ミハムの頬を伝う。
嵐「これ以上苦しませるのは、可哀そうだ」
「ミハムお別れを言いな」
ミハムは目からこぼれる涙を拭こうともせず
「う、うん、ぼ、僕もっと立派になってみせるからお馬さんも天国から見ていてね」
嵐が優しい顔になっていた。
「離れていろ」
嵐・守護の両掌から清浄の炎が吐き出される。
愛馬は一瞬で灰になり飛び散った。
「助けてくれて、ありがとう」
ミハムは涙を拭こうともせず、天を見つめていた。
【碧緑の団】はヴォルグス砦から出撃してきた兵団の攻撃をくらい、ほぼ壊滅していた。
団長は自害したと後で聞いた。
一番偉そうな隊長然とした、帝国兵が二人の護衛兵を後ろに連れ俺の前で片膝をつく。
「アストネージュ伯爵のご子息ミハム様でございますね」
ミハムは泣きじゃくった顔で
「うん、そうだよ」
ヴォルグス砦警備隊隊長が尋ねてくる
「こちらの赤い戦士はどのような?」
ミハムはまだ悲しさを引きずっていたのかいつものはきはきと喋り方ではなかった。
「僕を一人で守って、ここまで連れてきてくれたんだ」
「すごく強いんだよ」
警備隊長は丁寧に
「それは、伯爵に成り代わり心より御礼申し上げます。」
「まずは、砦まで戻りましょう、ミハム様どうぞこちらへ」
嵐・守護が少し獰猛そうに
「砦に行くのは良いが、ミハムは俺の傍から離れるな」
「・・・・」
隊長は少し嫌な目をしたが、すぐに
「わかりました。では護衛を務めさせていただきます。」
やっと、ヴォルグス砦にたどり着くことができた。
入城すると、兵士団キルグス大隊長という奴が来て俺に言ってくる。
「ミハル様を保護させていただきたいのですが」
嵐が頑固に
「駄目だ」
キルグス大隊長が少し胡乱げに
「褒美が欲しいのですか?」
嵐が平然と
「ちげぇよ、アストネージュ伯爵の信頼厚い人物はこの砦にいるか?」
突然、後方から通る声で話しかけてきた。
「それは私が一番の適任ですな」
「ヴォルグス砦城主ロリーデ・ガルクスと申します。」
「アストネージュ伯爵が前金獅子近衛騎士団団首をお務めの間、副団首をしておりました」
ミハムが答える
「ロリーデおじちゃんだ」
ロリーデ城主が顔中に喜びを表しながら
「大きくなられましたなミハム様」
俺が話に割って入る
「無礼で申し訳ないが、あんたと2人で話がしたい。」
ロリーデ城主が尋ねてくる。
「そちらは?」
「俺は嵐・守護、傭兵をやっている」
「縁があってミハムを助け、ここまで連れてきた。」




