平凡な日常
「遂に完成した!」
「長かったぁ」
「まあほぼサボってたからだけど」
作品を見ながらのんきに話している俺らは、とある田舎の高校の美術部員生。
一部を除けば、自他共に認める陰キャとオタクの集まりである。
そして友達とだらだらと喋っているのが俺、相川卓也。名前を聞く限り、『運動してそう』とか『イケメンだろうな~』とか思うだろうが、そんなことはまったくない。
いやあるかもしれない。
まあそんなことはどうでもいい。俺は、運動神経が悪い、人と話すのが苦手、オタク、陰キャ。と言われ続け、最近は認めつつある、そういう人間なのだ。
そしてそれも今はどうでもいい。
今、俺たちが完成して喜んでいるのは魔方陣だ。
計算するやつではなく、魔法を使うときの。
なぜ俺たちがそんなものを作ったのか、それは俺たちに一番合っているからだ。俺たちは一部をのぞいてオタクだ。当然魔法にも夢見てしまう者も多い。だがいくら作る作品が自由だからといって、無駄に金のかかる魔法のエフェクトを作るわけにもいかない。そこで思い付いたのが、一番金のかからない、簡単な魔方陣だったのだ。
だがあんなことがおこるなど、誰も、
「ところでこの魔方陣なにに使...う..ん..」
「あれ...?今」
「魔方陣が...」
「光った...?」
想像もしなかっただろう。