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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
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3-31 被害確認

 夜中に始まった緊急事態から早数時間、だが日が出るような時刻はまだまだ先で俺たち避難民は、充満する忌避薬を焚いた匂いの中眠れぬ夜を過ごしていた。

いや、大半の避難民はもう寝静まっている。


少し前には最外区を越えうちの区までラードラットの侵入を許したらしいが、多くの男手が参戦した事により撃退されたそうだ。

殲滅のため一時火が放たれ、その時には多くの悲鳴や感情のうねりがこの辺りを包み込んだが、今は大体鎮火し主戦場が外縁部に移った。

それから目ぼしい情報は入ってきていない。


主戦場が移っても封鎖は解かれず夜と言う事もあり、避難民たちの一部が眠り始めた。

今では避難民の多くがその辺の家屋にすし詰め状態で休息を取っている。

もう外で眠るには厳しい時期だ。


それぞれのグループから寝ず番を出して見張りをしているのが今現在の状況だ。襲撃の峠は越えたと思うが、実際にはどうなるかまだ分からないからだ。



「ウィル、よく起きてられるな」

たき火の近くで寝ず番をしていると相方のユルトが話し掛けてきた。

寝ず番組は大半がおっさんか俺たち位の子どもだ。


「眠いのか?」

「・・瞼が落ちそうだ」


ユルトはちょっと前からウトウトとしたりジャーキングしたりしている。普段なら寝てる時間だし、特に出来る事も無いから仕方ないだろうな。


「休んで来たら?今夜はもう進展なさそうだし、1人でも2人でも変わらないと思うよ」

「だが」

「本番は帰ってからの復旧だよ、どれ位被害が出てるか分からないし、休めるときに休んどけよ」

「・・・すまん」


ユルトが立ち上がりふらふらしながら皆が眠っている家屋に向かって行った。


ユルトが家屋に入っていくのを見つめてから、姿勢を元に戻した。

今夜は考えたいこともできたし、起きていられる間は考え事をしていたい。




 空が白みだした。もうすぐ朝日が顔を出すだろう。

この時刻になるともう出てきている人もいて、俺同様に最外区の方を見つめている。

最外区の方はまだ煙が上がっている。


数人の者が門番に詰め寄って何やら言っているが、彼らに封鎖を解く権限があるわけないだろうに。

あーー、家どうなってるかな。



 農家の者ならほとんどが起きだす頃、ラードラットの撃退完了の報告あった。


その報告後辺り一帯に歓声が鳴り響き、寝ず番明けの体にはとてもとても響いた。


報告後少しして門の封鎖が解かれ、我先に自分の家の方へ向かって行った。もちろん俺たちもその中の一組だ。


「ウィル、大丈夫?あなた寝てないんでしょう」


母が心配げに聞いてきたが、


「若いから1日くらい平気だよ」

「あら、それは言外に私は若くないって意味かしら」


・・・おかしい、深読みよくない。




 門を抜け少し歩くと被害の全容が見えてきた。


「まっくろだー」

何処かで空気を読まない子どもの叫び声が聞こえたが、だが、まさにその通りだ。


区の中央辺りから外側にかけての一帯が散発的に焼土と化していて、焼け落ちた家や倒壊した家、遠くに見える城壁も一部が真っ黒に焦げ付いていた。


更に進むにつれ、地面には血痕やラードラットと思われる肉片が散乱し、早く着いた者たちが農具を使って埋め立て、兵士や参戦者たちがラードラットの死体の焼却処分している風景が目に入った。



「痛々しいな」

うちの家屋群に帰って来た。

途中に見えた畑は壊滅状態だったが、家はあちこちに損傷が見られるが幸い倒壊などはしていなかった。


早く家に入りたいがまだ確認作業が終わっていない。

近くで焼却処分をしていた兵2人の協力を得て、1軒1軒忌避薬で残ってる可能性があるラードラットを追い出す作業が残っている。基本種ならまだしも変種が残っていたら大ごとだ。



 慎重に表と裏の扉を開け、扉から煙を送る。そこそこ時間はかかるが大事な作業で、倉庫も同様だ。


そこそこ時間が経ち、手順も慣れて来た5軒目、それは起こった。


「いたぞーー!!」


場に緊張が走った。俺は家の裏手側に陣取っていた。

陣形は扉正面に兵士1人、俺とリュートが左右に控えている。

俺たちの武器はただの板で、兵士の武器も似たような物だ。

兵士が持ってるのはラードラット用に開発された武器で、まとめて十匹程潰せるような広さを持つ両手持ちのハエ叩きだ。羽子板か?まぁそんな見た目の武器だ。

俺たち全員片膝をついた姿勢になり、いつでも振り下ろせるように板を天高く構えた。



ベチン!!!


待ち構えていた俺たちの前に家から5匹程が連なって出てきたところを、兵士が件の武器で一網打尽にした。


「おーい、やったぞー!」

「りょーかーい」


「ふぅ、どうやら変種はいなかったみたいだな。この調子で次も行こう」

兵士の掛け声で緊張が解けた。


あと残り1棟も同様に処理してひとまず建物については終わった。基本種ばかりで助かった。

後は井戸の中や洗い場、地下倉庫を確認していたら昼になった。



 支給された救援物資で腹を満たし、被害状況の確認に入った。


「全滅か・・・・・・」


倉庫の中の食糧が全滅していた。

辺り一帯に藁が散らかされているため、もしかしたらと思っていたが淡い期待だった。倉庫の土壁にはいくつもの穴が穿たれ、一部の柱は半分くらい削られていた。やつらは木材すら平気で齧り侵入してくる。

不幸中の幸いか、倉庫の中身は多少少ない時期だった。あと1週間遅ければ冬支度用に買い足した分もやられていただろう。


家に入り今度は部屋の確認だ。


「食べ物関係はダメね」

「うん」


調理場に置いてあった食料品も食い散らかされていた。

その他の部屋も荒らされて様々な物が散乱していた。



「「はぁ・・・・・・・」」


被害確認作業が重い、坦々と機械的に作業しないとやってられない。

わずか一晩で多くのものを失ってしまった。




 家の被害確認が終わり、家屋の者総出で周辺の血痕や肉片、糞などを埋めて回っていたら夕方になった。


夕方前には父の安否についても連絡が入った。

父は命に別状はないが、相当数のラードラットに咬まれ治療院で手当てを受けているそうだ。




嫌になることばかりだが沈んでいても仕方がない、明日から本格的な復旧、頑張るぞ!




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