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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
63/93

3-14 ある少年のある日々

 夏の下月2週目もあと2日で終わる今日。

今日も畑の世話をして授業を終えた俺は、家で製作作業をしていた。


いよいよ織機の方に取り掛かった・・・・わけではなくまた別の作品だ。

今回は俺自身がどうこう言うわけではなく母のオーダーだ。


今回の作品は、織機と同じように織る道具なのだが、糸と違って藁を織る(むしろ)織り機だ。

仕組みは糸を織る織機と同じで、今年は藁が潤沢に確保できたから。という理由で藁細工も作ることになったのだ。


筵織り機の特徴としては最低でも1人用の敷物の大きさがいるため、家庭用の織機に比べると大型で、布織りに比べて力仕事なためか垂直織りと言うのだろうか、そういう方式をしているのが特徴だ。


まさか筵織り機のオーダーなんか来るとは思ってなかったので、急遽構想を練って製作しているのだ。

まったく、織機製作はいつになることやら。


筵織り機も織機同様、連続生産性皆無な仕様だったため、こちらは少し改良して製作している。

大幅に改良しないのは時間が無かったことが1番の理由だが、それ以外にもスポーツで例えると同じ競技なのに軽量級と重量級で印象が変わるみたいな感じで細部の傾向が異なるため、検証実験を行う必要がありそうだったからだ。

そのため今回の改良は単純に巻き取り機構の導入とそれに付随する部分の改良する程度に留めた。




「よし、これで大丈夫だな」

下月3週目も折り返し目前に筵織り機が完成した。


筵織り機は基本的に背が高いのだが、今作は巻き取り機構の導入でずいぶん背を低く抑えることができた。


その後母に完成報告し、あとは秋の終わり頃まで部屋の片隅に寄せておく予定だ。

ちなみに、この筵織り機を使うのは基本俺だ。・・・・・はぁ。




 次の日、気を取り直していよいよ織機製作に向けて動こうかとスケジュールを確認している。


夏の下月はもう半週で終わり、秋の上月1週目は前半が収穫作業で、後半がお隣さんAのところを手伝いに行く予定。2、3週目も前半が収穫作業で後半は下月に向けて畑の整備と小麦の種まきが控えている。

秋の下月は1週目後半が時間があって、2、3週目が植え付け作業となっている。


「うん?実質時間が取れそうなのが今と秋の下月1週目後半だけか」


冬までに間に合うかな。




 夏の下月残りの日々を織機製作に費やし、秋の上月に突入した。

約半週間で製材と全体の骨格は作り終えたが、時間のかかる細かな部品はまだ手つかずな状況だ。


そして、

「この作業も久しぶりだな」

秋も少し日が経ち今日は2年ぶりにお隣さんA家の手伝いに来ている。今年の作業も括って干す作業だ。


「そういやウィル、水車の話聞いたか?」

今回もヨークとペアで作業をしていると、ヨークが話題を振って来た。


「水車?いや、そんな話聞いてないな。何かあったのか?」

「いや何かあった訳じゃなくて、なんとこの区に水車を導入する話が出てるんだとよ」


この区には水車というか水車小屋は無い。

だが隣の区にはあるため不便と言うわけでもない。この区の様に水車の無い区はそれなりにあるし、結局都市という狭い範囲でしかないので隣の区に行く位あっという間だ。

だが、

「それって、去年も出て結局流れたんじゃなかったっけ。今年も話だけじゃない」

「いや、なんでもこの前役人と工房の親方連中が川辺で何やらしてたって聞いたんだ。これはひょっとしてって思うだろ」

「ほぉ、それはそれは。・・・それでどの辺の川なんだ」

「どの辺の川っていうかいろんなところで目撃されてるんだ」

「へー、候補地でも回ってるのかね」

「多分そうだろう。この辺にもそのうち来るんじゃないか」

「ここまで聞くと今年は本当に話だけじゃ無いっぽいな。でも今使ってるところけっこう近いだろ、優先順位低いんじゃないかな」

「まあ近くに出来たら儲けものってところか」

「そうだね」


ヨークとそんな話を交えながら作業を続けた。



 しばらく手伝いの日々が続き、


「お前等、これで最後だぞ」


運搬係のユルトが今年最後の運搬をしてきた。


「あとそれくらいか。・・・・干し場所足りるか?」

改めて辺りを見回すと干し場と家の軒下には既に大量のトウモロコシが干されていた。


「つめれば大丈夫だろ」

「そりゃあ多少は大丈夫だろうけど、詰め過ぎると干す意味ないだろ」

ヨークの甘い考えにツッコミを入れたが、確かに干し場所が無いのはいたいな。


「今年はなりが良かったから増設したんだが見通しが甘かったみたか」

「新しく建てようにも、もう建てる用の材料ないだろ。どうする兄貴?」


ユルトが考え出して、そして、

「ちょっとどうするか聞いてくる。一応干す用に準備していてくれ」


そう言ってユルトは親に聞きに行った。


「ウィル、さっさとやっちまおうぜ」

「ああそうだな」



 しばらくするとユルトが帰って来た。そして今回はトウモロコシの茎を抱えていた。


「ウィル、頼みがあるだがいいか」

「うん?なに」

「藁売ってくれないか」


・・・茎と藁で干し場を増設することにしたのか。今回だけの臨時だな。


「うーん、大丈夫だと思うけど一応聞いてくるよ」


一応母に売ってもいいか確認しに行った。



 母に確認を取り、大丈夫だったので藁をリヤカーに積みこみ向かうと、ユルトとヨークの2人で臨時干し場の設営をしていた。


「藁用意してきたよ」

「たすかる、少し待っていてくれ」


しばらくして骨組みが出来上がり、その後骨組みに藁を被せて臨時干し場が完成した。


こうして今年の手伝いは最終日に少々ハプニングがあったものの無事終えることができた。



今回も報酬としてトウモロコシの剥いだ皮を入手したから暇なときにでも紙を作ろう。




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