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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
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3-13 農具開発2

 夏の上月2週目も終わりの日となった今日、いよいよ小麦の収穫だ。

雨天順延があったが、ぎりぎり予定通りといったところか。

小麦は俺の背丈ほどの高さの穂に実が生っている。これでも低い方の麦だ。



 収穫作業は畑半分という事もあり一家総出であっという間に終わり、今最後に刈り取った分を干し終えたところだ。


「これで終わりね」

「うん、そうだね」

「「終わったー」」

「あとは後日だな」


さて、明日からは乾燥を待ちながら、3つ目の畑の収穫と植え付け作業が待っている。あの日の雨さえなければな・・・・。



 後日乾燥も終わり、脱穀と籾摺りをすることになった。


「んー、普通に力仕事だな」


脱穀はまとめた穂を丸太や板に叩きつけて行う体力作業で、俺を含む子ども組は早々にリタイヤし洗濯板のような溝の入った板でゴシゴシと脱穀した。


脱穀後集めてふるいにかけ、入り込んだ藁などと選別し、次に籾摺り工程に突入する。

こちらは袋に入れて上から棒で叩いて籾を取り除く。


そして籾摺りが終われば手箕(てみ)やふるいを用いて選別していく。


この籾摺りと選別工程をもみ殻が無くなるまで繰り返し行うことでようやく粉ひき前の小麦が出来上がるのだ。



 ほぼ1日掛かりで脱穀と最初の藁とかの選別工程だけは終えることができた。だが籾摺りと選別の方はほとんど終わらずじまいで本日の作業を終えた。


次の日から畑の世話と籾摺り、選別作業の日々がしばらく続いた。





「作るか」

数日掛かりで小麦の収穫後処理を終えそう呟いた。

畑半分でもこれほど時間がかかるのだ、はっきり言ってやってられない。

ゆえに脱穀と籾摺り、選別この3つの工程の道具を作ろうと思う。



・・・・予算足りるかな。





 小麦の収穫が後ろへずれ込んだため少々ハードスケジュールだった夏の上月が終わり、下月へ突入した。


下月はこの家屋群合同の店を出すことになっているが、うちは母とフェリが担当するため俺自身は普段通りの農作業で、比較的時間に余裕がある月になると思う。

そのためこの機会に放置していた織機の方も製作開始しようとも考えている。




 1週目も終わり頃、ようやく農具の方が完成した。

春からの試行錯誤は十数回におよび、5つ目の畑は既に耕した状態と大して変わらない状態になっている。

だが耕す。


完成した農具は牽引部のフックは、より厚みを増やし幅広にして牽引安定性を上げた。

そして耕作部は被牽引部と名称を改め操作部と耕作部に分けた。

トラクターで例えるとフックがエンジンで操作部が本体、耕作部がアタッチメントと言ったところだろうか。


今回設けた操作部はタイヤをつけ高さの基準と錘の台座の役割がある。

錘の台座というのは耕作部の土を切るや掘り起こすなどタイプが数種類あるためそれぞれとの兼ね合いで石などを積載して調整する用だ。

他にもテコの原理による操作性の向上や進路方向の精度を上げるため照準器も導入した。

照準器は進路決定の指標とするためだ。

そういうのも魔術行使中は進路の変更が不可能なのだ。そのため照準器と旗を用いてフックの姿勢と進路を測量する必要があるのだ。

進む角度が1度ずれると10メートルで20センチ近くずれるため耕起工程ならまだしも畝立て工程なら必要なためだ。


耕作部は股グワ状の物と刃を並べた方式の物、培土器の3種類を用意した。

通常の耕起作業には股クワ状の物で十分なのだが、数年来放置した休耕地の固い土壌用に刃を並べた方式を加えた。培土器は畝用だ。



 次の日、畑の世話も終え早速実験開始だ。



「うんうん、わるくない」

既に試行錯誤の結果休耕地のように固い土壌でないためちゃんとした指標にはならないが、手作業に比べて作業速度が少し向上した。

体力的には操作しながら歩くだけなので楽すぎる。


「よし、これからこれを『小型管理機』と呼ぼう」


名付けも終わり、これで新作農具の改良はひとまず完了だ。



 小型管理機を倉庫に納め、家に帰ってきた。


「うーん、あの畑、次はどうしようか」

今年はもう畑で実験する予定はないため畑をどうしようか悩む。

畑本来の使い方については季節的にいくつかあるが、来年以降も継続で開発、改良の機会に恵まれるかもしれないため、多年性作物は好ましくない。かといって他の作物と時期が被る作物も遠慮願いたい。

そう言った条件を鑑みて秋の上月には手間がかからなくて、下月1から2週目という範囲で収穫できる作物が好ましいと結論が出た。


・・・・フーホー以外思いつかないな。それ以外は期間と手間のどちらかが条件を満たさない物しかない。


丁度明後日から5つ目の畑半分の収穫が始まるというタイミングはバッチリなのだが、・・・・フーホーか。奴は今のところ耕す必要がほとんど無いんだよな。小型管理機の出番はまだ先か。


後日、今年の実験も終わったからと両親と話し合い、5つ目の畑全部がフーホー畑と化した。





「さて2人とも、今日から授業を再開するんだが、準備はできてる?」

小麦の処理や店を出すなどで勉強の時間は長期の休みになっていたのだが、2週目も中頃になり漸く再開のめどが立った。


「うん、できてる」


「よろしい。では、・・・・はい、これを持って外へいってて」

「これって、お兄ちゃんが作ってたものだよね。これ何に使うの?」

「それは外へ行ってからのお楽しみさ」



 3人で授業のための道具たちを持って外へやって来た。

家の壁に板書板を立てかけ、敷物を敷いて、


「じゃあ2人とも見ててね」

そう言うと、遂にお披露目に至った傘を紹介した。

結局傘は人数分用意できた時には小麦の収穫が目前に迫っていて既に授業は休みに入っていたためお披露目できず、しばらく空き部屋に放置していた。



 傘を開いて閂を嵌め、スタンドに立てて設置した。


「じゃあ2人とも同じようにしてみて」

おそるおそる2人が同じように開いて嵌めて立ててを行った。


「兄ちゃん、それでこれをどうするの」

「これは傘という道具で日よけに使うんだ、自分の好きな位置に移動させて使ってね。じゃあ本日の勉強を始めます」


授業環境を構築し終え、再開初日の授業のはじまりはじまりー。




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