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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
59/93

3-10 新たなる始動1

 1年近くが経った。

現在は冬の上月に突入したばかりだ。


春にラックが祖父母家へ行った後辺りから大変だった。

何が大変だったかというと、うちの母の一言が原因だ。


「うーん、これならもう少し畑を増やしてもいいわね」


これである。

母が家事の合間に手伝いに入ってたのだが、植えてる作物の特性上、ほぼ世話がいらない暇な時期が続くのだ。昨年時にはこの時に木工をしていた。


だが俺は増やすのに反対だった。はっきり言って何年も放置してた休耕地など使えるようにするまでどれだけ大変か昨年で身に染みてたからな。

昨年はラックがいたから何とかなったんだ、俺の筋力的にあの固い土壌は厳しい。

ゆえに、


「ボクは嫌だから1人で頑張ってね」

とだけ言った。


「ママ1人でしないといけないの?」


俺は懇切丁寧にどれだけ昨年大変だったか説明すると、


「じゃあ、畑を1つ耕すのと、冬の間に糸を紡ぐのどっちがいい?」

「・・・冬の間糸を紡ぐ以外の手伝いを用意するとかも無いってことだよね」

「・・・・・ええ。・・・・そうよ」

「畑を耕させていただきます」


これが大変だった真相だ。


この話のあと数日とせずに畑を1つ借りた。

借りた畑はうちの非商業用の畑のすぐ前にある畑で、後年には購入予定の候補の1つでもあった畑だ。



 夏の収穫作業の合間に母と一緒に雑草処理したり、世話の合間に耕起作業をしたりして、夏の上月の終わり頃には1通り畑の整備が終わった。

植えるのは半分はフーホーで、もう半分は後年のためにいろいろ実験用にした。



 あとは冬まで昨年より少し大変だったがと同じような状況だった。ただし昨年と違い今年は少々雨が多く日照不足気味で、お隣さん改めお隣さんAの収穫期の応援には呼ばれなかった。

おかげで今年は紙が作れそうにない。あれだけ入手してくるのも変な感じだったしな。


そして今年移住してきたお隣さんBは初年度言う事で手堅くうちと同じフーホーを作ってたため、日照不足の影響を受けていなかった。

お隣さんBとの関係はわるくはない。そうとしか言いようがない感じだ。

世代的にはうちと大体半世代違うため、世代間ギャップがあるのが隔たりの原因だと思っている。まあそこそこの付き合いで様子見だ。

あちらも移住1年目で忙しそうにしてるからな。


これが冬までの俺を取り巻いた事態だ。




 今年の冬は母との約束のためフリー状態だ。

そのため新作を作ろうと考えている。

俺が作ろうと思ってる新作は『織機』だ。


決めた理由は単純に服の値段が高くなってきたからだ。


どうやら他都市では服の原料であるポフンはほとんど生産されていないらしく、そのため布類が高騰していてこちらの交易品として流出しているのが値段が高くなった原因みたいだ。

ポフンは成長度合いによって水の要求が変わる灌漑の要求が高い作物のようで、奪還するまで何十年も放置し続けた都市にはその要求を満たす場所がほとんどなかったってわけさ。

ただし原料のポフンのワタは嵩張るためかこちらに残っている。つまり布や糸ばかり流出してこちらに残っていない状況だ。



 現在ここで使われている織機は机の上や壁に立てかけて使用される全て手で作業するタイプで、1回に作れる布の長さは織機の枠内だけと1回織り終わる毎に糸通しが必要な見てても使っててももどかしい仕様なのだ。


経験上、布を織るより糸車の方が生産量が高かった。ゆえに今回の新作は糸車に合わせて生産効率を上げた織機を作ることだ。


織機の構造は全手織り織機で学習済みだ。

ようは縦糸を順番に上下に分けてその間を横糸を通して、縦糸の上下を反転させてまたその間に横糸を通すを繰り返すのだ。


構想は既に済んでるのでまずは毎度おなじみのミニチュアを作ろう。




 4日後、ミニチュア1号が完成した。


「まあ最初はこんなもんだろ」


まずは全手織り織機から糸の上下動作のみペダル操作に変え、連続的に編めるように織った布の巻き取り機構を付けたのがミニチュア1号だ。


「んー、上出来かな。早速試そうか」


糸はミニチュアということなので細いのを用意した。



「うーん、ふむふむ」



「なるほどなー」


1号の実験の末、もっと凝ることした。生産効率の向上が微妙なのだ。



 2日後、ミニチュア1号にいろいろ取り付けてミニチュア1号バージョン1.1が完成した。

今回は横糸を通したあとに通した糸を整える櫛を本体に組み込み、シャトルも改良を施した。


さぁ実験開始だ。





 冬の上月も終わり頃にミニチュアは完成した。あとは実物大を製作して調整するだけだ。

問題はその大型は何処に設置するかという事だ。うちは普通の家屋のため出入り口は人用で、新作の実物大は分解しないと扉をまず通らない大きさに仕上がりそうなのだ。

それに1度木材商にまで木を仕入れ行った方がいい部品もあって冬の間に完成させるのは難しそうなのだ。

つまり、1度ここで終了だ。

あとは春の暇な時にでも製作しよう。



 俺はそう締めくくり空き部屋兼工房兼物置予備の部屋を出た。

移住してきた家ははっきり言って広すぎるのが空き部屋がある原因だ。

間取りは4Kなのだが、前住居より部屋自体も広いのだ。

こういう家の本来の使い方としては家主一家が1から2部屋に住んで、共有部屋を除いて残りの部屋は出稼ぎ労働者や奴隷用の部屋とするのが本来の使い方だ。ゆえにこの周辺の戸数と畑の比率が偏ってる。


そのためあと数年蓄財して、畑を増やして出稼ぎ労働者か奴隷を入れようかという話もたまに話題になってる。

今は何処も人不足で後々というところだ。



さあて残りの冬はどう過ごそうかな。




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