1-19 幼児プレイ18 微躍進の冬
本日もよろしくお願いします
季節は冬。俺は今フーホー粉砕装置1号を量産中だ。伐採も無事に終わったため市場に木が流れ、装置数台分の木を入手することができた。秋には1台1台部品を作って、組み立て、調整をしていたが今回は予定も押していないため、先に全ての部品を作ってから一気に組み立て、調整する方法をとった。
たまに周りの子ども達と遊び、さらに子守りもしつつ、ゆっくり製作した結果冬の上月が終わる頃に6台完成した。そう完成してしまったのだ。つまり冬の下月の間はオールフリーだ。
オールフリーイコール休日ではない。オールフリーニア暇なのだ。もちろん家事の手伝いは毎日のようにあるがこれは含めていない。最近は丸太を運んだり、水汲みの一部も俺の手伝いに組み込まれたが、基本食事は外食、丸太は嗜好品の類である我が家では量なんてたかが知れてる。
並行して行っていた魔術訓練も冬の始めごろに椅子は攻略して順調に滑り出しており最近は魔力の流れを感じ取り、僅かだが任意に動かせるようになっている。
今年は粉砕装置を製作したので母も特に新たなことは言わなかったし、去年と同じようにボタンを作ってもよいが今年の夏ぐらいから今までのや俺が作ったのとも微妙に違うボタンがちらほら出てきていて、ボタン穴を開けている服もたまに見るようになった。著作権とか意匠権とかこっちで聞いたことないからたぶん模倣し放題なのだろう。まぁそんな権利があってもなくても面倒ごとがありそうなのでボタン作りはほどほどにするつもりだ。
そして春の間まで暇な俺はヤスリを作っている。1回失敗したきりそのまま作らなかった工具である。
昨日、暇だなーと思い、何かないかと道具箱をいろいろあさってたらクギが出てきて思い出したのだ。このクギたちは去年の春市で買って1代目木ナイフを壊してしまったあの忌まわしい事件のときに、もうこんな過ちはすまいと大事に道具箱の底に仕舞い込んで今まで忘れていたのだ。11本中5本はあのとき失われてしまったがあと6本ある、この6本を使って何か作ろうと考えた結果、クギに溝を掘ってヤスリにする計画を立てた。
今回は失敗しないように慎重に慎重を期して作った結果1日がかりで1本のヤスリが完成した。完成した翌日早速試してみると木を削ることはできた。だがちょっと目が細すぎたようだ、次の1本はもっと溝を大きく掘ることにしよう。
そんなこんなで6本中3本をヤスリにした。3本ともそれぞれ目の粗さを変えて作ったため用途に応じた使い方ができるようにした。そして1本はヤスリを作った後試しに木を削ってみたとき折れてしまっため、残りのクギは2本となった。
残りのクギはどうしようかと考えた結果、1本はキリになってもらいました。まあこれは柄をつければよかっただけなので板でサンドイッチしてあっという間に完成した。残った最後の1本は特に思いつかなかったので道具箱へ引き返してもらった。次は思い出すのはいったいいつになるのだろうか?
ヤスリが完成したため今までナイフやカンナでしていた曲面の加工の時間が劇的に改善された。
よし次はノコギリだ。
ノコギリの刃をナイフで仕上げるの大変だと思い手を出していなかったが、ヤスリを手に入れた俺にはできると思い挑戦だ。
まずはノコギリの刃用に三角のノミを作成し、次に薄めの板材にカンナを掛けて更に薄くし、刃のギザギザにするところに三角のノミを当て硬化の魔術を発動、そして木ヅチで、
カンッ!
・・・きれいに穴が開くもんだな。毟れるかどうか賭けだったがこれでさらに刃作りが楽になったな。
全ての刃を打ち抜いたのち、ノコギリを引いたときに切れるように三角の山の片方にヤスリを掛けていく。
シュコシュコシュコ・・・・
シュコシュコシュコ・・・・
終わった終わったー。あとは柄を作って刃部分を嵌めれば完成だ。
「しっかり紐で締めてっと、・・・・完成した。おつかれっしたー」
木ノコギリが完成した。細かい作業して疲れたから試すのは明日にしよう。それにしてもこれも1本作るのに2日掛かりか。次からはもう少し早く作れるとはいえ世のノコギリ職人さんも大変だな、おつかれさまです。
次の日、最初の試しと言うことで薄めの板材から始めることにした。
「よし、行くぞ」
ノコギリに硬化の魔術を掛け、・・・いざ。
カッ、ギーコギーコ。ギーコギーコ。・・・・
いけるな。やはりナイフで切るより早いしやりやすいな。さて切り終わったことだし、刃の様子はっと、
!!2箇所欠けてやがる。・・・だが他の刃は大丈夫っぽいな、もう少しノコギリの使い方がうまくなれば刃の消耗を抑えることができるのだろうか?それとも刃先の形状を要検討ということだろうか?
まあ春までまだ時間はあるからいろんな刃で試してみようか。




