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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第1章 幼少期編
18/93

1-17 幼児プレイ16 贈り物2

本日もよろしくおねがいします

 試作型糸車の実演から3日、ようやく完成した。この2日間母には朝昼晩とまだなのっと催促の嵐。家はピリピリした雰囲気で父もラックも居心地が悪そうだった。


「できたー」

この数日は本当に大変だった。試作は2日で作ったが、あれは試験的側面が強くいろいろ簡略して作った代物だ。完成品を作るにはそれなりに時間がかかり本来ならあと数日はかかる作業量だったが催促のおかげで3日で作り上げた。

俺頑張ったよマミー。


 完成した糸車の構造自体は試作型と違いはない。だが回転速度が安定するように回転車を4角形から8角形に変更したり、子ども部屋に置かれていた机はそのまま糸紡ぎ専用の台に様変わり。元々子ども用で最近は俺もあまり使ってなかったのでそろそろどっかの家へ譲るつもりでいたらしいから使ってもいいことになった。

他にも糸巻き部と回転車を結ぶ糸が太くなったり、糸巻き部にC型クリップをつけて糸を留めるようにしたり、ペダル周りもリニューアルしたりと、多少重厚感のある仕上がりとなった。


「ママ完成したよ」

俺がそう言うと、ここ数日怖かった母の顔が笑顔になり、

「分かったわ」


そう言うとワタで一杯のカゴを持って、子ども部屋へ入って行った。コワい。

俺は怖かったのでちょっと水を飲んで一息してから、糸車の使い勝手が少し変わってるのを思い出し、それを言おうと扉から覗いてみると、・・・問題なし。変わってる部分も使いこなしてる。俺は久しぶりに人心地についてそっと扉を閉じた。



 いやー母怖かったな。大体のほほんしてるからあそこまで豹変した母は初めて見たよ。それにしてもあの道具は確かに今までの糸巻き棒よりも早いのは間違い無いけど、豹変するほどのモノか?・・いや、豹変したんだから大変な代物なんだろう。


んーやっちゃったか。糸紡ぎは奥様方の主産業の1つだからな、その1つに革新的?な道具を導入したってところか。

でも後悔はない。この装置が広まればもっと服が手に入れやすくなるだろう。服って買えば高価だから下着以外は着た切り雀なんだよなここの生活って。

俺は前世では風呂好き・・ではないな、単純に毎日入る習慣があっただけだが、それでも風呂上りに毎回同じ服は着たくない。まぁ風呂じゃなくてサウナだけどな。



 その日の夕方、俺はさらなる改良案を考えて木板に記入していると、ようやく母が子ども部屋から出てきた。入ったときにはカゴいっぱいに入ってたワタが糸の束になっていた。


「ウィルちゃーん、あれは素晴らしいわー。今までの作業に比べて何倍も速くて楽だわ」

まぁだから作ったんだけどな。それに久々のちゃん付けだ。・・・ヤヴァい。


「ふーんそうなんだ、へー」

気のない返事できりぬけ・・・


「それでねウィルはあの道具をどうするつもりなの?」

「今回のはママへのプレゼントとして作ったんだけど、次からは売ろうと思ってる」

「それは待ちなさい。こんなものいきなり売り出したらこの町が混乱しちゃうからダメよ」


「混乱?なんで?」

「これは今までのと紡げる糸の量がまったく違うわ。だから紡ぐ前のワタがみんなにいき渡らなくなるから誰かに恨まれることになるわ」


・・・なるほど。つまり糸の原料のポフン(こっちの木綿)だったかな?あれの収穫量と紡ぐ糸の量がトントンと言う訳か。

この糸車を市場に流すには先にポフンを増産するか、他の働き口を作らないといけないってわけだな。・・俺の守備範囲外だな。残念だが今回これを作るのはあきらめよう。だがいずれ・・・


「そういうことなんだ。じゃあ今のところ増産はしないことにするよ。でももう作ってるあれはどうするの?分解して薪にする?」

オール木材仕上げ、糸風味だから可能だ。


「あれは使うわ」


・・・えぇー。

「・・・何で?(ジト目発動)


「あれは売り出すのはダメだけど、家だけで使う分には問題ないわ。そうすればもっと刺繍の時間も取れるから収入が増えるわ」

「そーなんだー。あれはママへの贈り物だからあとはお好きにどうぞ」


この言葉を残し、俺は部屋へ帰った。



こうして俺の衣服増産計画は無期限延期が決定した。





 日は流れ、秋も深まりそろそろ秋の伐採の日が近づいてきたため、今年も父は出張だ。

俺は冬の間、こっちに卸すフーホー粉砕装置1号を製作するため大量の木を必要としている。ぜひ豊伐でありますようにと豊伐の神コトピン(想像神)に祈りつつさらに数日が経った。




だが俺の願いは聞き入れられなかった?




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