1-15 幼児プレイ14 4歳祖父母宅で3
フーホー粉砕装置1号を修理した次の日、昨日と同じく今日も外で製作作業をしている。昨日の故障の原因はフーホーを入れ過ぎたせいで起こったことだ。刃が金属製なら大丈夫そうだが、金属は高いんだよな。クギ1本ですらそこそこの値段だったこともあり、やはり大量に手に入りやすい木材で何とかしたいところだ。
俺はいろいろ改良案を考えながら作業を続けた。
ふと気づくと、またいつの間にか小さな子どもが俺の作業を見ていた。相手が暗殺者なら俺は2日連続で死んでるな。目線を向けると昨日と同じ顔、つまりイースだ。・・・おいおい、もしかしてまた壊れたのか。
「イース今日はどうしたんだ。また壊れたのか?」
イースは首を振って、
「ううん。今日からなん日かはしゅうかくだからボクはお留守番なの。だから遊びに来た」
俺と同じくイースも収穫の際には役立たずのようだ。
「そうか。でも俺も作業中なんだけどな」
「けどきのうはなんかねむそうにさぎょうしてたから忙しくはないんでしょ?」
見られていたか、確かに昨日は中々の秋日和だったからな。休みなら紅葉狩りにでも行きたいぐらいだったよ。まっ、紅葉なんてこの世界ではまだ見てないけどな。・・・1度考え始めると無性に紅葉狩り行きたくなってくるな。正確には銀杏を食べたい。あいつ殻付きだと臭いけど茶碗蒸しには欠かせないからな、茶碗蒸しに入ってるのにかぎり好きだったな。
そんな取り留めもないことを考えていると、
「ねぇボクのはなしきいてる?」
聞いてない聞いてない。
「聞いてる聞いてる。眠そうだからってちゃんと作業しないといけないから遊んであげるのは無理だよ」
「むー。じゃあさぎょうしててもいいよ。それ見てるから」
おっ、もしかしてイースも木工に興味があるのか?
「ふーん。じゃあ俺は作業続けるよ」
俺は製作作業を続けた。
「ねぇ、きのうもみてたけどどうやって木のどうぐでけずってるの?」
「これは魔術で補助してるんだよ。じゃないとすぐ使い物にならなくなるからね」
「まじゅつつかってたんだ。なんかぶつぶつ言ってるとおもったけど、それがまじゅつのえいしょうなんだね」
アブナイ人認定?たしかに小声で詠唱してるけどさ。知らない人から見たらそう見えるってことか、人前では自重しなければ。
「そうだよ」
「ボクにもまじゅつつかえるー?」
「もう少し大きくなったら使えるんじゃない」
「そうなんだ」
それっきりイース黙って、俺の作業をジーっと見ていた。
たまにリヤカーでフーホーを運んでくるラックに変な顔されたが、昼ごろイースが帰るまでそんなことが続いた。
視線恐怖症になりそうだった。
そんな日が数日続き、ある日の夕方。イースの父親であるネルヴァイスさんが家を訪ねてきた。祖母との会話を聞くに、装置の代金などを払いに来たようだ。戸口から見えるところにはリヤカーに積んだ袋が見える。たしか第4層では貨幣じゃなくて物々交換が基本だと言っていたな、そんなことを考えていると祖母に呼ばれ会話に加わった。
「イヴァとイースの父親のネルヴァイスだ。ウィル君といったねこの前は助かったよ、改めて礼を言う」
こんな子どもにも中々律儀な人みたいだ。
「あれからイヴァもあの道具を大事に扱ってるみたいだし、それにイースの世話を見てくれていたようで、ありがとう」
「いえいえ、こちらも大変いい経験になりました。それにイース君ですが、世話なんてとんでもないただ一緒にいるだけですよ」
「いや、それでも助かる。この時期は他に誰も家にいてやれないから何かあったときのことを考えると心配だったんだよ。君のようなしっかり者のそばに置いてくれていたことに感謝する」
そのあと代金の受け渡しがあったり、その袋の中身がフーホーだったり(だろうな)、なことがあってネルヴァイスさんは帰って行った。
それから数日もしないうちにイースの家庭はまた水場で作業となりお留守番する必要が無くなったので遊び?に来ていない。そして俺たちも帰る日がやってきた。今年は臨時収入もあったおかげで去年より多くお土産を貰ったので去年より持って帰るのが大変だ。
「じゃあ私たちは帰るわ。来年もまた来るわね」
「ああーこい。それにラックは来年には鶏舎に連れてってやるからな」
「ちょっと今そんなこと言わないでよ、宥めるのが大変でしょ!」
「いや、行けるのはうれしいけどそんな宥められるほど子どもじゃねぇよ」
いやーラックも成長したな。去年だったら、いやーっ○ーふっふーなんて言いそうだったのに。
それにしても来年にはラックは鶏舎デビューか、危険そうだが最近は家の近くの養鶏農家の手伝いも板についてきたらしいから何とかなるのかもしれん。それにしても俺が次のリヤカー担当か。・・・何か楽できるもの作りたいな。
やりたいことばかり増えて昔のことを忘れそうだ。
その後俺たち家族は家路についた。あとからジワジワきたのか、家に帰り着く頃にはラックのテンションはメッチャ高かった。ラックもまだまだだったか。
久々に帰ってきた家は俺の心を落ち着かせてくれる。このまま春まで閉じこもっていたいよ~。4歳秋のことでした。




