1-12 幼児プレイ11 奴を忘れる
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現在俺の魔力を感じる能力は低下している。そんな俺が魔力を感じるため考えた秘策、それは魔力を枯渇させて感覚を鋭敏にする方法だ。
前に母が言っていた魔術を使い始めたころには偶に体調を崩す人がいるという話はたぶん正確ではない。俺の今までの経験から魔力を短時間で大量に消費した場合、あの全ての感覚が鋭くなる現象が起こると推察している。さらに使った魔術の種類によっても体調の崩し方が微妙に違うことにも気づいた。物体移動の魔術のときの体調不良は純粋に感覚が鋭敏になる感じで、光の魔術は最初のときは感覚が鋭敏になる感じだと思っていたが、のちに物体移動の魔術で体調不良になったときに気づいた。あれは感覚も鋭敏になっているがそれ以外にも体が冷えていたことを。
魔力は魔術を使う以外にも体の成長に伴っても増えるため、5歳ぐらいから魔術を使い始めた場合、最初に習った光球の魔術ぐらいじゃ魔力を大量に消費できないためあの感覚が起こらないのではないかとも思っている。
つまり俺の秘策は単発もしくは数発で大量の魔力を消費する魔術で魔力を枯渇させ、感覚を鋭敏にし魔力を感じるという方法だ。俺がこの方法を思いついたのは春真っ盛りのころだったが、体調を崩した場合、奴の餌食になるため戸惑っていた。フーホーがいけないんだ、奴以外の奴なら俺は喜んでこの方法を選択したのに。
はーはーはーはーー。パシン!頬を叩き気合を入れる。
俺は奴を克服する・・・・のは現状無理だから、奴を嫌いな俺を封印する。
封印。封印。封印。ふういん。ふーいん。ふーーーーーいーーーーん。・・・・・・
フーホー。ですか?あのジャガイモみたいなやつですね、あれがどうかしましたか?
好きか嫌いかですって。別に好きではありませんが嫌いでもありませんね。まぁ変わった味がする食材と言ったところですね。
なんか大切なことを忘れている気がするが、とりあえず魔力を枯渇させるか。使用する魔術は物体浮遊の魔術だ。前にどれぐらい重い物が浮かせることができるかいろいろ試した際に体調不良になるほど魔力を使えた。あの時より魔力総量が増えているだろうから、さらに重い物にも挑戦しないといけないだろう。この部屋で重い物は椅子、丸太、机、ベッド、衣装入れ。
去年の夏に試したときはこれらの物すべてが動かせなかった。せいぜいがカゴに5つ石を入れて10センチ程浮かすのが限界だった。だが俺が木工を始めたあたりからかなり連続で魔術が使えるほど魔力量が伸びたから、検査をするのが楽しみだ。
まずは去年を越えたかを調べるため、カゴを手に取り外へ石採取に出かける。玄関を出て廊下を歩いていると、ちょうど階段からニックとトリアの兄妹が上がってきたところだった。げっ
「あっウィルだ。ねぇどこ行くの?遊んで」
この言動が子どもの意味わからんところだ。遊んでとどこ行くの?が並列でつながるわけがない。このニックとトリアは俺の1つ下の双子の兄妹で同じ階に住んでいる。一昨年の冬にはよくこいつらの子守りを押し付けられた。そしてなんでか懐かれた。
「石を集めに行くところだから遊べん。それにニックたちは家に帰ってるんじゃないのか?」
「そうだけど、珍しくウィルを見つけたから遊んで」
とにかくニックは遊んでもらいたいようだ。普段こいつらは家に押しかけてこない。こいつらはなぜかラックのことを嫌っている。というより怖がっている。家に遊びに来て、もしラックが帰ってきたらっとでも思ってるのかもしれん。確かに俺に比べればラックはやんちゃさんだが別に乱暴者じゃない。単純にあの年齢ぐらいの子が怖いだけなのかもしれん。ライルにもそんな感じだしな。
「いやだから石を集めに行くって言ってるだろ」
聞けよ人の話
「じゃあボクたちも石集める。また変なことやってるんでしょ、この前も井戸のところで変なことしてたじゃん」
そういやこの前の実験中にこいつらも来てたな、無視したけど。
「変なことって言うなよ。それに今回は魔術の練習だから変じゃない」
変じゃないよね。俺の心配をよそに
「もう魔術使ってんだスゲー。ねぇボクにも魔術教えて。みんなまだ早いって教えてくれないんだ」
「ボクもそのみんなだよ。お前たちにはまだ早い」
「ウィルだってボクたちの1つ上なだけだろ。5歳まで待ってろ言われたんだけど」
ふーん、やはり5歳くらいから魔術を教わるみたいだな。まぁあの集中は子どもには厳しいから3歳じゃ基本無理だな。5歳になるまで待った方が良いと思うんだけどな。さてなんて返答しようかな。
「へーそうなんだ。家庭内の教育方針の違いってやつじゃないかな。魔術ってけっこう危険だから冷静な判断がくだせるようになるまで教えないそうだよ。それが大体5歳のあたりらしいし、そういう判断なんじゃないかな」
納得するか分からんが、適当にそれっぽいことを言っておこう。
「ボクはもう冷静な判断をくだせるよ」
ニックは胸を張って答えた。昔のラックと同じようなことを言ってやがる。
「そうなのか?じゃあ俺は石を集めに行くけど結局お前たちはついてくるのか?」
「うん」
「トリアもそれでいいのか?」
「・・・うん」
ニックと違ってトリアはこうなんて言ったらいいのかな、物静かというか人見知りというか、そんな感じでいつもニックのあとをついてくる奴だ。
場所も変わって井戸がある広場付近で石集めの最中だ。いくつか石をカゴに入れてあとは近くで石を拾っているニックたちの分を加えれば十分だろう。
「ウィル、こんなもんでどう?」
2人は俺に複数の石を差し出してきた。
「2人ともありがと、助かったよ」
「それでウィルはどんな魔術の練習をしてるのさ、見せてくれよ」
別に隠してるわけでもないし見せてやるか。
「いいよ。じゃあちょっと待っててね」
俺はカゴの中からコインぐらいの大きさの石を取り出し、一度ニックたちに見せると、
「cma jsomrose cmimowiueide juteihjo mev」
俺の手から石が10センチくらい浮かび上りしばらく保持してまた落ちてきた。
2人とも目を輝かせて。
「おー魔術だ。なんかしょぼいけど魔術ってやっぱりスゲー」
「しょぼいは余計だ」
まったくニックは。まあ確かにコインくらいの石が浮いただけだからな。見えない糸で吊るした程度のお遊びだ。
「ほかのも見せて」
リクエストが飛んできた。
実を言うと俺が使える魔術の種類少ない。光の魔術、水と物体の浮遊、飛翔、物体の硬化、軟化、水分離そしてこの前教えて貰った水をお湯にする湯沸しの魔術ぐらいしか習ってない。
はぁ。
・湯沸しの魔術は炊事関係
・水操作系と水分離は洗濯関係
・物体操作系は掃除関係
物体硬軟化の魔術を除いて俺が知ってる魔術ってのは家事に使える便利技でしかない。母が覚えてる魔術もあとは、汚れ落としと冷水作りと油分離と送風の魔術と魔学5級のときに使った試験用の特殊な魔術だけらしい。昔はもっと覚えてたらしいが結局使わなくて忘却の彼方へ旅立っていったらしい。
何だよ異世界、もっと仕事しろ。火や水、風の刃とか出させろよ。
愚痴ってもしょうがない。ニックたちは今か今かと待っているようだしこの辺にして、次は何をつかおうか?ここは俺のこれまでの成果の集大成を見せてやるか。
「cma jsomrose cmimooododtao vib」
俺はさっきと同じ石を持ったまま魔術を発動したが、傍目には何も起こってないように見えるだろう、
「ウィル?失敗したのー」
「いいや、これを持ってみろ」
俺が持っていた石をニックに渡すと、
「あちっっ!!ウィルっ何するんだ」
石を持った瞬間、石の熱さにおもわず石を捨てて、俺に怒鳴ってきた。
「すまんなニック。でもいいかよく聞け、魔術ってのはこういう危ない使い方もできるんだ。だから無闇に人に使ってはいけない。その判断ができるまで教えて貰えないのは当たり前なんだから親にあまりねだってはだめだよ。いいね」
あまり魔術を見せるとこいつらまた親にねだるだろうから釘を刺すことにした。目力補正もしっかり入れておいたしな。
「ウィルも説教かよ。・・・・ちぇ、分かったよ。冷静な判断?ってやつを手に入れたらいいってことだろ」
「そういうことだ」
「じゃあウィルは悪い奴だな。俺にあんな石を持たせたんだから」
「そうだよ、俺は悪い奴だよ。だから俺のようになっちゃダメだよ」
ニックの頭をなでなでしながら答えた。
「・・・・」
トリアが頭をこっちに差し出していた。・・・撫でてほしいのか?
なでなで
石を手に入れた俺はニックたちを家まで送り、家に帰ってきた。
ちょっと悪いことしたかな?後日なんか送ろうか。
石を手に入れた俺は早速実力検査を始めた。
まずは皿サイズのカゴを用意して、
「cma jsomrose cmimowiueide juteihjo mev」
カゴ単体を魔術で持ち上げ、そして魔術が発動している間に石をカゴに投入。
ぽい、ぽい、ぽい、ぽい・・・
ちょうど石を10個入れたところで魔術の発動が終わりカゴが落下した。余裕で去年の記録を越えた。
10個石が入ったカゴにもう一度魔術を掛け、
「cma jsomrose cmimowiueide juteihjo mev」
ぽい、ぽい、ぽい、ぽい・・・
それを何回か続け、今日拾ってきた石43個を全て載せきった。そしてまだあまり疲れていない。
ちょっと自分を過小評価しすぎていたみたいだ。たぶんだがすでに去年の限界の5倍は越えている。また石を拾いに行くか、それとも椅子に挑戦するか。
椅子だな。椅子はこの部屋に置きっぱなしだし、丸太と違って薪にされて燃やされることもないしな。でも持ち上げるのは明日だ、魔力的な疲れって予測がしにくいからな。
次の日、家の手伝いも終わりこれで倒れても大丈夫な状態にし、早速椅子を持ち上げられるか試した。
「cma jsomrose cmimowiueide juteihjo mev」
浮いた。感動はない。いけるんじゃないかと思ってたからな。フッ・・・・・・パタン
目が覚めたらもうすぐ夕方であろう時間だった。
体がちょっとぞわぞわする。あの感覚鋭敏状態突入してた、やはり俺の仮説は正しかった。ただし体動かへん。これが糸が切れたあやつり人形状態ってやつか、操り人形様これからは糸が切れたら捨てますから許してく・・だ・いかん。この状態のときは思考が飛躍するから変なことばかり考えてしまう。無心だ。無心・・無心・・無しん・・むしん・・むししん・・むしししん・・虫しししん・・・ダメだむしんってなんだ。
ラックが帰ってきて俺が床に倒れているのを見つけるまでこんなことが頭の中で続いていた。
恥の多い生○を送ってきました。自分には、人の常識というものが、見当つかないのです。自分は王国の辺境に生まれ・・・・・・
ハッ、ここはどこ?ボクはだれ?
ここはアイファルディア王国の都市の1つネマール。ボクは父ベントルと母エアリスを親に、ラックを兄にもつこの家の次男ウィル。
俺が倒れた次の日、俺は母の看病を受けてた。昨日倒れてる俺を見つけたラックは、
「ウィル、また変なことしてるな。何してるんだ」
こうのたまってきた。俺が倒れてるポーズが前衛的すぎたせいか、これも俺の人望がなせる業か。
「おい聞いてるのかウィル」
俺の顔を覗きこんできて、俺とラックの目があった。俺は目で【動けん、助けて】と送ったが、
「うん?このポーズの感想は?だと」
一体どういう頭の構造してんだこいつは。
「うーん、倒れているようにしか見えんな」
まじで倒れてんだよ。声でねー
「うん?もしかしてマジ?」
「・・・・」
目で訴えたのがようやく通じたのか、ラックは急いで母を呼び、そして今この状況となったってわけだ。
「ウィルちゃん、お腹すいてない。フーホーで作った粥よ、たーんとお食べ」
昨日何とか魔力切れで倒れたという事を伝えた俺はジャガイモみたいなもので作られた粥を食べらされていた。フーホー?ああ、あれね。なんかそういう話を前に聞いたことあったはずだけど、いつだったかな?
ふう・・い・・・いやなんでもないな。気のせいだ。
うまうま、この薄味がたまらん。素材本来の味ってやつか、甘くもなく苦くもなく酸っぱくもなくしょっぱくもなく、そしてうまみもない。
「ママこれおいしいね」
「ありがと。ついにウィルもこの味が分かるようになったのね、うれしいわ」
?俺これ初めて食べたはずなんだけどな?ふうい・・
「まだまだあるからいつでも言ってね。じゃあママはちょっと家事をしてるから何かあったら呼んでね」
そういうと、母は部屋を出て行った。
はー、昨日はやり過ぎたな。俺に椅子様はまだ早かったってことだな。魔術ってとっても便利だけど微妙に融通が利かないんだよな。物体浮遊の魔術だけでも、とっても重い物の場合は魔力が足らずに経路分の魔力だけ消費して発動しないし、かと思えば魔力ギリギリで持ち上げれる場合は問答無用で魔力を奪っていくし、セーフティ機構を備えてるくせになんか設定がシビアなんだよな。具体的にいうと全殺しはしませんが半殺しはいつでもしますって感じだ、安全率をもっと大きくとってください魔術管理者様。
ここまで重い魔力欠乏は初めてなったが、別につらくはない。ただぞわぞわする感覚と体が動かなくなるだけだった。今はぞわぞわして感覚が鋭くなる感覚は消え、単純に体が動かしづらいくらいだ。聞いた話ではこの状態が数日続くらしい。体に不自由するだけで思考は普通だから日がな一日考え事しかできない。
夏の上月も3週目に入ろうとした頃俺はようやく通常機動することができるほど回復した。そしてその日からいろいろ再開した。
今現在の魔術で浮かせられる限界重量が椅子様となった。だが魔力は筋力と同じで使わないと衰えるらしいから、ここ数日寝込んだツケを取り戻すのに少しずつ調子を戻していく必要がある。今日のところは椅子様を諦めてカゴを何回浮かせるか試すか。
下月も3週目の中ごろまで、調子を確かめたり秋の収穫のときfp(仮)1.33を作るための部品作りにいそしんだ。
今年は早めに母の実家へ行くらしく、両親がいろいろ準備をしていた。俺はというと最も細工に時間がかかるシャフト作りに勤しんでる。基本的な準備は両親がしてくれるし、シャフトを持っていくためのスペースはすでに準備されているし、あとはあっちに行くだけの段階だ。
やはりあの寝込んだせいで俺は母の実家に行くまでに1つの完品と3つの粗彫を作るのが精いっぱいだった。




