1-10 幼児プレイ9 魔術訓練
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あの忌まわしき錯乱から数日、ついに母に魔術の応用技術を教えて貰える日がやってきた。今日は朝から気合十分だ、どんとこい。
「いつになく気合が入っているわねウィル」
「うん。今日の日を楽しみにしてたんだ」
「あらそおう。じゃあさっそく始めましょうか」
「まず、魔術の練習に入る前に魔学試験の範囲について教えておくわ。その方が明確な目標ができるからね」
「うん分かった」
「まずは最も下の級の7級。項目は認識。これは試験のとき教えて貰うか、どれでもいいから魔術を発動できれば合格。ウィルはもうこれを受ける必要はないわ、受験料の無駄よ。次に6級。項目は魔力量と知識。試験会場で複数の魔術名が言い渡され、期日以内にその中からいくつかの魔術を連続で使用して魔力切れが起こらなかったら合格よ。ここまではいい?」
「もっと具体的な数字は分かる?」
「ええ、そんなに難しいのはないけど大体20個ぐらいの魔術が言い渡されて、そのうち7、8個使えればいいのよ。期限は10日ね。その間だったら何回でも受けていいの」
「魔術の内容は?」
「まぁウィルならもうほとんど合格間違いなしよ。20個といってもほとんどがただ飛ばす距離を変えただけとか、水塊とか土塊の違いぐらいしかないわ」
「そんなんなんだ」
「まぁね、日常生活で便利だと思えるものを覚えてたらいいって感じね」
「なるほど、もう大丈夫だよ次は?」
「次の5級は。項目は応用技術。魔術展開速度操作、肉体同時操作、経路複数保有、呪文省略の4つを項目から総合的に判断されて合否が決まるわ」
いきなり初耳単語が4つも来た。何となく意味が分かるやつもあるが聞いておいて損はないだろうしな。
「詳細は?」
「ちょっと待ってね先に4級とかの話をするから。・・4級はさっき言った5級から下の級すべてのより深い習熟ね。難易度が違うけど3級も同じ内容よ。そして2級から上は3級の合格者しか受けれないから内容は知らないわ。これが魔学試験の概要よ。応用技術以外で質問はある?」
「そういえば試験はどこで受けれるの?」
「魔術師協会ね。支部はここから北西の第3層の南西あたりにあるわ。ついでに試験日は夏と冬の始めの週ね。他のある?」
「ううん、もうない。応用技術の話をして」
「分かったわ。まずは肉体同時操作。これはウィルがもう習得しているわね。動きながら魔術を発動し続ける技、魔闘技と呼ばれることも多いわ」
予想通りこれが俺が木を削るときに使ってるやつのようだ。
「次に魔術展開速度操作。簡単に言うと魔術管理者との経路に流す魔力の操作よ。たしかウィルはこれをパパから聞いてたわよね」
あー確かにそんなこと聞いたな、よく覚えてるな。
「うん聞いたよ」
「これに限らず応用技術はイメージしか伝えられないから教えるの難しいのよね、とりあえず魔術を発動を早めたり遅めたりできる技って覚えておいて」
「3つ目に経路複数保有。これはある魔術を発動中もしくは発動させずにしたまま次の呪文を詠唱し経路を構築する技ね。魔力と集中力が続く限りいくつでも構築可能よ」
ふむふむなるほど。そういう技術もあるんだな。検証不足知識不足はやっぱり痛いな。
「最後が呪文省略。これは呪文の一部を省略もしくは破棄して魔術を発動する技よ。これは私にはほとんどできないわ」
これはもしかして無詠唱系?
「全部の呪文を省略できるの?」
「できるそうよ。でもその場合魔術師ではなく魔導師と呼ぶそうよ。見たことはないわね」
チート神様お願いします。僕に無詠唱をぜひ!
「ウィル?何してるの」
俺が変なポーズをしていたらしい・・・おかしいな、心の中で思っただけなんだけどな。
「じゃあ説明も終わったし、練習を始めましょうか。まずはどの技術を身に着けてみたい?」
「うーん、その前に経路複数保有とかって肉体同時操作は魔闘技みたいな呼称ってないの。なんか言いにくいんだけど」
「うふふ、そうね。言い易いかどうかわからないけど経路複数保有は連発法とか言われたりもするわ。魔術展開速度操作は早遅法、呪文省略は詠唱破棄が同程度に使われてるわ」
「ありがと、じゃあ最初に・・・・
俺の魔術師としてのさらなる一歩が今日始まった。




