ヘルプミー ~迷 え る 子 羊 に 救 い の 手 を~
彼の好きなものはチキン
これは、何も考えなくたって答えられるわ!
じゃあ、嫌いなものは?(ふふふ)
(What's he dont like food?)
ヘルプミー
(迷 え る 子 羊 に 救 い の 手 を ・ ・ ・)
「甘ったるい匂いがすると思ったら、さくらかよ」
さくらは、右手で持っているホットチョコレートをズズッと口に流し込み、ゴクリと飲み込む。
そして、左手には板チョコが握られている。
それを見ている、全開に開けられた窓から、今にも飛び出しそうな勢いの青ざめたシュウの顔
「ほれ、犬もお食べ」
「さくらって俺のこと嫌いだろ」
笑顔で板チョコをシュウの前に、ズンと差し出すさくら。
これでも、さくらはシュウの彼女だ。
青筋を立てながら、こちらもまた笑顔で答えるシュウ。
さくらは、不満げな顔で板チョコをシュウの前から引いて、ホットチョコをまた一口飲む
「美味しいのに・・」
「どこが」
「シュウは、そんなんだからへタレって言われるんだ!やーいやーい」
「て言うか、それ絶対関係ない!」
さくらは最後にチョコレートを一気に喉に流し込む。
それを見てシュウは更に顔色を悪くした。
「あ、わんことさくら。こんな所にいた」
聞えたのは太郎の声
その後ろにはユウもいた。
そして、何気に傷つくシュウ。
「何かあった?」
「いやいや、別に何もないよ。ぬふふ」
何故か1人でに笑い始める太郎に白い目を向ける一同
「頭打ったんじゃない、太郎?」
「さっき、亜紀に変人扱いされたのがショックだったんじゃないかな?」
「亜紀もとうとう愛想尽かしたか」
その言葉に太郎の耳はピクリと反応したのをは見逃さなかった。
「シュウッッ!!」
「なっ、何だよ!?」
うふふ、と笑う太郎。その後ろには一体どうしてか、誰の趣味なのか分からない、古代エジプトっぽい銅像が威厳よく佇んでいた。
むふふv
「昨日、シュウは他の女の子を抱きしめあっていたぁっ!!」
「んなぁ!?」
シュウはソファーからズッコケタ。
「・・・それ、本当かなぁ・・?」
「ち、ちがう、さくら!あれは、あいつが!!」
「あ、やっぱ本当だったんだv」
今何と言った、太郎・・・
ああ、ハメラレタ・・・(涙)
「シュウ・・」
「は、はい。さくら(怖ッ)」
さくらはシュウの目の前まで笑顔でツカツカとやって来る。
笑顔が怖かった。
むしろ、怒っていてくれたほうが人間らしい・・
「ばかぁ」
「え?」
さくらは俯いて肩を振るわせ始める。
予想外の展開にシュウは慌てだす。
「さくらを泣かせた~」
「最低だね」
言いたい放題の2人はこの際、気にしない。
「さくら、違うんだよ。あれはあの女が・・・
急に・・・
急に顔を上げたさくらの目に会う。
その瞬間、シュウは、何か、を悟った。
あ、
死ぬ・・ (ちーん)
「私の事は遊びだったのねっ!!」
瞬間、さくらの可愛い(どこが)拳が飛んでくる。
ヒュルル
ドカーン!!!!
少しばかり効果音が変なのは気にする事ではない。
数百メートル、壁を突き進みながら(ぶっ壊しながら)シュウは飛んで行った。
あの女が、いきなり抱きついて(突進して)きたんだよーっ(涙っ)
薄れ行く記憶の中、悲痛に叫んだシュウの声はさくらに届く事はなかった。
太郎とユウはさくらに「ブラボー!」と拍手を送っていた。
+++
「こうなったら、作戦Dを実行するしかないわね(ふふ)」
「さくら、あなた何時もにもまして怖いわよ?(太郎に似てきた気がするわ・・)」
いや、さくらに影響されたのが太郎なのだろうか・・・
亜紀は不適に笑うさくらを見て言った。
「今日は一緒に帰れないから。」
さくらは荷物をまとめていた。まるで今から山に修行に出かけて行くような感じだ。
「私の事は探さないでね」
ドアノブを掴んで今にも飛び出しそうなさくらの後姿を二ヤリとした表情で見守る。
「面白くなりそうね」
「さっすが、亜紀。分かってるv」
「私は楽しい事が好きなのよ」
あはは
笑いあって、さくらは出て行った。
作戦D 開始!
+++
ここはどこだ・・・?
朝方、シュウは目を覚ました。
周りが暗い。
見渡しても暗いし、狭い。上手く動けなかった。
「NO!」
そして、突然体が引っ張られた。(しかも足を)
すると、光がシュウの目に映る。
ああ、ワカタよ。
俺、今まで壁に突っ込んでいたんだね。
この現実に、今にも男泣きしそうだ。
「シューウーっ」
「おぎゃはぁ!(出たぁ!)」
「何驚いてるのよぅ」
昨日とは180度、いや、世界がアウストラロピテクス時代に戻ってしまったほど、違うさくらの態度にシュウは恐れを感じる。
朝からなんて運が悪いんだっ!
「まだ、怒ってる?」
「ん、何が?(キラキラ)」
「昨日の事・・(ガクガク)」
「そんな昔の、どうでもいい事なんて覚えてないの」
笑顔で言うさくらに涙するシュウ
昨日、自分は生死を彷徨ったというのに、彼女は「どうでもいい」と・・・
「でね、シュウに私からプレゼントがあるのvv」
「プ、レゼント?」
嫌な予感が体中を駆け巡る。
正直、よくここまで生きてきたと自分を褒めてあげたい。
よく頑張ったな!!シュウ!
もはや、現実逃避。
だが、シュウは逃げてはいけないっ!と自分を叱ってさくらを直視する。
「じゃーん!!」
だが、現実は厳しかった。
「私の特製のチョコケーキだよ!」
ああ、やっぱ
怒ってるよ・・・この人
「さぁ、食べて!」
「・・・(絶対、毒入ってる!・・・食べたら死ぬっ!)」
シュウは一向に食べようともしない。
溜め息をして、さくらは儚く笑った。
それに目を見開くシュウ
「いいよ。もう、シュウとは終わりだね」
「はっ!?」
そう言って、さくらは姿を消した。
その消え方がジャパニーズ、ニンジャのようだった。
前、さくらが太郎と一緒に「戦隊ヒーローごっこ」をしていたのを思い出す。
そしてシュウは泣きながら、その時「ピンク」の隊員役をしていた事を思い出してしまった。(何でピンク!?普通は女だろ!)
今でもあの時の屈辱は、心の傷は癒えない・・・
シュウは数分動けなかった。
・・・
チュンチュン(鳥の囀り)
その囀りが、馬鹿と言っているようだ。
「俺は振られたのかぁ!?」
やっと、言えたのはこの一言。
「とうとう愛想つかれたんだね」
「よく、ここまでもったものだよ」
「太郎、ユウ・・・何でここに(聞いてたなっ)」
ひょっこりと、どこからともなく現れた2人をキッと睨みつけた。
2人は、笑顔でドゴっと殴る蹴るの暴行を加える。
シュウは「キャン」と吠え逃げた。
「それよりさ、早くさくらに誤っといた方がいいんじゃない?」
「そうそう、このままじゃ、本当に終わっちゃうねぇ」
「だはぁ!(分かってるって!)」
シュウは名犬のごとく、さくらの匂いをマーキングし始める。
「さくらの作ったケーキを食べないなんて、君は馬鹿だね」
「(毒入ってても)食べればよかったのに」
と、シュウにはもはや2人の声が聞えていないのか、急に走り出した。
「ていうか、絶対さくら面白がってるよね」
「僕たちも行こう!」
今日も彼等はハイテンションだ。
「さくらぁ!!」
「あ、シュウ」
数分後、犬から戻ったシュウはさくらを見事見つけれた。
「さっきは、ゴメンな!・・・チョコレート食うから!」
何とも輝かしい笑顔だ。
「うんうん。私こそ、少し本気で怒っちゃってゴメンね」
あれ?・・・少し、なんだ
当たり前じゃん
「でも、ごめんね。チョコレートもうないの」
「何で・・?」
うふふ
「科学の吉田先生にあげちゃったから」
さようなら。吉田、尊い犠牲だったな
シュウは普通なら怒りを示すが、この時は心より、感謝した。
「ごめんな、食べてやれなくて」
「うんうん。いいの。アレ失敗作だったし」
そうですか
「あーあ、今頃、吉田センセー死んでるね」
「まぁ、いいんじゃない?」
太郎とユウはこっそりとつぶやく。
そこへ亜紀がやって来た。
「さっき、科学室辺りから、叫び声や呻き声が聞えてきたんだけど?」
あなたたちのせいかしら?
「やぁ!!亜紀。残念ながら僕たちは関係ないんだ!」
「そう。なら、よかったわ」
「僕たちは真面目な生徒だからね。」
問題はそこか?
「シュウ、やっぱ、大好き~v」
「俺も、大好きだー」
我らの青春時代は今日も平和です。
しかし、犠牲になった者は如何に。
思い返せば、古代エジプトっぽい銅像から始まった、この恐怖
数時間後、【何か】を片手にして、うつ伏せに倒れた吉田は発見された。
最後の彼の言葉は「水をくれ」だったと・・・
彼はしばらく意識を取り戻さなかったそうだ。
次は、作戦 X だ!
迷 え る 子 羊 に 救 い の 手 を ・ ・ ・