表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷の溶ける時  作者: 千斗
5/12

4

 

剣は真剣になると一直線だ。真っ直ぐだ。まさに『真剣』という字そのもの。曲がりもしなければ折れもしない。それも、剣を全国レベルの剣士へと成長させた理由の一つではあるだろう。卵が先か鶏が先かの話のように、剣道が剣を真っ直ぐな性格にしたのか、それとも真っ直ぐな性格が剣を全国レベルの剣士にしたのかはわからないところではあるが。

 まるで漫画の主人公のような男。――真っ直ぐで素直で愚直で、馬鹿。

「話さなきゃいけないことって何よ。いい加減話して」

「ちょっと待てよ、まとまらねぇんだよ……」

「だったら砂の城作る前に頭動かしなさいよ……!」

 学校から徒歩十分、自宅まで残り五分の距離。そこには『鳴神(なるかみ)公園』がある。小さい頃は私も剣もここでよく遊んでいた。高校生にもなるとさすがに訪れることはほとんどなくなったが、剣は未だこの公園で竹刀を振る姿が目撃されているらしい。

 その鳴神公園の砂場。既に砂の城は私の身長を越えていた。

 話さなければならないことがあると本気の顔で言われて、のこのことついてきた私が間違いだった。この剣道馬鹿に大事な話をすらすらと話せる程の言語能力があるわけがない。

「あー、まとまった」

そう剣が言った頃には砂の城は剣の身長を越え、砂の城を隔てているためにお互いの顔は全く見えなくなった。

 というか、そんな馬鹿でかい砂の城を作ってどうするんだ。砂場の砂がほとんど無いじゃないか。とんだ大作だ。

「やっと話せる……」

「それはこっちの台詞よ。やっと聞ける……あ、門限忘れないでよね」

「大丈夫、そう長い話じゃないから」

 ……今まで何故こんなに待たされたんだ。その大作を壊してやろうか。

更新遅れ申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ