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後日談 あなたは笑えてますか?

最終話の後日談です


誤字チェックしてもらってる友人にあなたの書くものには甘さが足りないといわれたので

 幸せだったあの頃、思い出せないのはなぜ?



 まだ完全に意識が覚めず夢うつつの中、ゆさゆさと体が揺られている。五月蝿い…思わず揺さぶる手を払い、寝返りを打つ。


「エウナさんー、起きてくださいよー、ご飯できましたよー」


 今度は声付きで揺さぶってきた。ああもう、五月蝿いわね!


「わわっ!ちょっちょっと!?あふぅ…」


 あまりにも五月蝿いので、揺すってくる手を掴むと体ごと布団の中へと引きずり込む。おお、柔らかくて冷たい。

 そのまま引きずり込んだ彼女を抱き枕代わりに抱きしめると、また夢の中へと旅立つ。彼女は最初抵抗するようにじたばたしていたけれど抱きしめた辺りからおとなしくなった様な…腕でもぶつけたのかしらね。どうでもいいけれど、眠いし。


「ちょ、ちょっと!私を抱きしめたままねーるーなー!」


 二度寝は至福ね。



「もうー!何であのまま寝るんですか!おかげでご飯冷めちゃったじゃないですか!」

「それは悪かったわよ」

「しかも…だ、抱きついたままで!」

「あー、あなたって意外と抱き心地いいのね。今日から抱き枕にならない?」

「な…な…。はぁ、ご飯温め直してきますから座っててください」


 そう言うとメリーは調理場のほうへと行った。別に食べなくても死なないし、味なんて関係ないのだから、冷たかろうが不味かろうがどうでもいいと思うのだけれど。せっかく作るからには美味しく食べるって考えなのかしらね。

 …でも、何故私たちは食べなくてもいいのに食事を取ってるんだろう?

 何か、理由があったような…


「ご飯出来ましたよー。んん?何か考え事ですか?」

「ん…ええ、ちょっとね」


 そんなことを考えていると、メリーが食事を持ってきた。今日はきゅうりの漬物に魚の塩焼き、味噌汁にご飯といった完全に和食の内容。ん?和食…?私の生まれは西洋だし、この子も髪の色的に東の方じゃないのは確か。なのに…何で和食?


「そういえば、私たち何で食事をしてるのかしらね?」

「んんー?それは…食べないといけない人が居るからじゃないんですか」

「私もあなたも食べなくても平気のはずよね?」

「そういわれれば、そうですね…」


 そこまで言うとメリーは、ムムムとしゃもじを片手に悩んでいる。まぁ、思い出せないのだしそんな大したことじゃないわね。


「まぁ、理由なんてないでしょう。さ、早く食事にしましょう?せっかく美味しい食事がまた冷めるわ」

「それもそうですかー、って冷めた原因はエウナさんじゃないですか!」


 そしてお互いに頂きます、と言うと食事が始まった。うん、美味しいわね。



□ □ □ □ □


 食事も終わり、手持ちご無沙汰になった私は屋敷の中や外をふらふらと散歩していた。意外と近くに掘り出し物とかも見つかるかもしれないじゃない。灯台下暗しというやつである。意味あってたかしら。

 メリーも誘ったのだけれど、使い終わった食器を洗うとかで調理場に戻ってしまった。何でも放っておくとかぴかぴになって後で大変だとか何とか…今度、私も家事とか教えてもらおうかしらね。


「ん?これは?」


 屋敷の裏、変な箱の隣を見るとお酒が放置してあるのを見つける。ふむ、鬼殺し…か。結構すごい名前のお酒ね。

 実際に鬼が殺せるのかどうかは置いておくとしても、興味がわいたのは事実。それに例え鬼を殺せるとしてもお酒はお酒、飲み物である。こんな誰も来ないようなところで放置されるよりも誰かに飲まれる方が殺す側も本望でしょう。


「ちょっとグラス借りるわよ」

「あいさー」


 思わぬ収穫も手にはいったので早速食堂へと行き、グラスを確保するとテラスへと向かう。メリーも後から勝手に来るでしょうし先に味見といきましょう。

 とくとく、と酒瓶からグラスへと酒を注ぐ。ふむ、色は他のそれと変わらないわね。匂いも…これも対して違いはなし。少し度が強いくらいかしら?

 そこまで観察をすませるとゆっくりとグラスを呷る。あら、意外ね。何であんな場所で放置されていたのかが不思議になるほどに美味しいわ、このお酒。

 ゆっくりゆっくりとグラスを呷っていくと、だんだん頭がぼーっとなっていく感覚が心地いい。また、夜風がほてった体に当たるとこれもまた心地いい。


「これは…いいもの見つけたわね…」

「あー!」


 突然後ろから悲鳴のような声が上がったので、ゆっくりと振り返る。メリーったら驚いた顔しながらこちらを指差して…どうしたのかしら?


「それ私のー!」

「ああ…あなたのだったのね…悪いわね…」

「もー!楽しみにしてたのに…しょうがないので私も飲ませてもらいますからね!」


 メリーは私の隣まで行くとグラスにお酒を注ぎ始めた。

 どうやらこのお酒は放置されていたわけじゃなく…この子が置いといたと。ふむ…となると私が飲むのも悪いし返してあげないといけないわね…。


「メリー…ちょっと…こっち…向いて…」

「はい、なんですかー?」


 そこまでうつらうつらと考え、メリーの方を呼ぶとグラスを煽って口の中にお酒を溜めると、そのままキスをする。


「っん、んぐ!?」


 そのままゆっくりと…こぼれないようにしながら口移しでお酒を流し込んでいく。メリーは目を白黒とさせながらもこくり、こくりと喉をならせて飲み込んでいく。うん…少しこぼれたけれどちゃんと返せたわね…。


「ちょっ…え、エウナさん?い、一体何をしたのでしょうか?」


 ふむ…?何でそんなことを聞いて来るのかしら…?顔も赤い様だし…幽霊も風邪とか引くのね


「何って…お酒…返したのだけれど…」

「返したって…」


 一応問われたので答えてみると…メリーはうつむいてそのまま固まった。ふむ…?何か変なことでもしたかしら…?

 その体勢のままでぶつぶつと何かを言っていたメリーは…ハッと何かを思い出したかのようにお酒のラベルを見ると顔を上げる…。


「あのエウナさん?もしかしたら酔っていらっしゃいますか?」

「馬鹿…言わないで…吸血鬼が…この程度で…酔う…はず…ないじゃない…」


 なぜか呂律が回りづらい舌でそう答える。まったく…まだ飲み始めたばかりだから酔うはずがないのに…変なこと聞くのね…。

 私がそう答えるのを聞くと、メリーは急に私の前へと手を出し


「これ、何本に見えますか?」


 この子…まだ疑ってるのね。いいわ…私が酔ってない事を証明してあげましょう…。


「8本ね…」


 あら…初めて気づいたけれどこの子…指が多いのね…幽霊だからかしら…?それにしても暑い…夜風が心地よいけどそろそろ限界…いっそ脱いでしまおうか…。そういえば…この子冷たかったわね


「酔ってる…絶対酔ってますよこの人…って、うひゃぁ!?」


 なにやらぶつぶつと呟いてるメリーに後ろから近づくと…そのまま抱きつく…。ああ…柔らかいし冷たくて気持ちいいわ…。


「え、エウナさん?何していらっしゃるので?」

「あなた…柔らかくて…冷たくて…気持ちいい…」


 メリーを抱きしめてると眠く…なってきた…。ちょうどいいので…肩のところに顎を乗せるとそのまま目を閉じる…。


「ちょ、ちょっとエウナさん!また寝るんですか!せめて寝るならベットに!」


 目を閉じた辺りで…メリーが何かを言っていた気がするのだけれど…睡魔には…勝て…ない…のよ…。


「あなたは…居なくならないでね…」


 何か無意識に言ったような気がしたが、そのまま私の意識は闇へと落ちた。




 エウナが完全に眠ってしまった後、ひとり残されたメリーはゆっくりと酒を飲んでいた。

 しばらく月を眺めながら飲んでいたが…ふと、自分の肩の上で少し苦しそうに眠るエウナへと視線を向けると


「私は…ずっと傍に居ますよ…エウナさん」


 果たしてその呟きが届いたのかどうかは定かではないが、そうメリーが呟いたあとの彼女の寝顔はいくらか安らかであった。

 ちなみにその次の日、二日酔いでダウンしているエウナをメリーが楽しそうに看病していたとか何とか。


何で最後シリアスにするの?とのこと

( ・з・)ぷっぷくぷー


一応これで完結ですがあと1作 最終回のハッピーエンド版で〆です


少しでも楽しんでいただけたら幸いです

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